【アナリスト水田雅展の銘柄分析】セーラー万年筆はモミ合い煮詰まり感、15年12月期営業黒字化見通しを評価して上放れ

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

万年筆の老舗でロボット機器事業も展開するセーラー万年筆<7992>(東2)は2月16日に前期(14年12月期)決算を発表した。計画を下振れて赤字が残ったが、前々期(13年12月期)に比べて赤字幅は縮小した。そして今期(15年12月期)は黒字見通しとしている。株価は36円~41円近辺でモミ合う展開だが煮詰まり感を強めている。今期黒字化見通しを評価して上放れの展開が期待される。

文具事業(万年筆、ボールペン、電子文具、景品払出機、ガラスCD、窓ガラス用断熱塗料など)、およびロボット機器事業(プラスチック射出成形品自動取出装置・自動組立装置など)を展開している。

文具事業はブランド力の高い万年筆を主力として、中期成長に向けて電子文具への事業展開も加速している。ロボット機器事業は1969年に開発に着手した歴史を持ち、09年にはプラスチック射出成形品用自動取出ロボットで世界初の無線ハンディコントローラ搭載RZ-Σシリーズを開発した。

2月16日に発表した前期(14年12月期)の連結業績(7月31日に売上高を増額、利益を減額、10月31日に売上高・利益とも減額、2月16日に売上高・利益とも減額)は、売上高が前々期比11.7%増の61億72百万円、営業利益が91百万円の赤字(前々期は2億87百万円の赤字)、経常利益が2億38百万円の赤字(同3億11百万円の赤字)、純利益が2億09百万円の赤字(同3億59百万円の赤字)だった。配当予想は無配継続とした。

新製品の市場投入遅れ、連結子会社の写楽精密機械(上海)の売上不振などで売上高が前回予想を下回った。さらに中国における在庫の特価販売、営業外での株式交付費1億08百万円の計上、特別損失での写楽精密機械(上海)の清算手続開始に伴う事業整理損29百万円の計上、投資有価証券評価損20百万円の計上なども影響して、各利益も前回予想を下回った。

ただし増収効果で前々期に比べて赤字幅は縮小した。赤字が残ったが収益は改善基調だろう。セグメント別売上高を見ると文具事業は同2.8%増の42億22百万円、ロボット機器事業は年末にかけて受注が急回復して同37.4%増の19億49百万円だった。

今期(15年12月期)の連結業績見通し(2月16日公表)は売上高が前期比2.1%増の63億円、営業利益が1億10百万円(前期は91百万円の赤字)、経常利益は85百万円(同2億38百万円の赤字)、純利益は80百万円(同2億09百万円の赤字)で、配当予想は無配継続としている。

増収効果で営業黒字見通しだ。国内文具事業では前期末に発売した新機能ボールペン「G-FREE」が好評であり、消費増税の影響も一巡するだろう。ロボット機器事業は前期末から受注が回復傾向を強めている。高価格の上位機種の拡販も寄与するだろう。なお写楽精密機械(上海)は15年度中に清算結了予定としている。収益は改善基調だろう。

なお前期実績が計画を下回ったため、中期経営計画(14年~16年)の最終目標達成年度を1年延長するととともに、新たな数値目標を設定して17年12月期に売上高経常利益率2.5%以上、有利子負債11億円以下とした。

また今後の業績計画では17年12月期に売上高70億70百万円、営業利益2億円、経常利益1億80百万円、純利益1億35百万円とした。基本戦略として、文具事業ではターゲットを絞った特徴ある製品の開発、新規販売チャネルの開拓、海外市場の再構築、新規事業の推進、ロボット機器事業では射出成型機用取出ロボットの拡販を推進する方針だ。

なお前期まで数期連続して当期純損失を計上しているため、継続企業の前提に疑義の注記が付されている。

株価の動きを見ると、36円~41円近辺でモミ合う展開が続いている。ただし前期業績の下振れに対するネガティブ反応は限定的であり、モミ合い煮詰まり感を強めている。

2月18日の終値39円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS64銭で算出)は61倍近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS15円35銭で算出)は2.5倍近辺である。

週足チャートで見ると26週移動平均線を挟んでモミ合う展開だが、徐々に下値を切り上げている。今期営業黒字化見通しを評価してモミ合い上放れの展開が期待される。

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