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マーケットエンタープライズは18年6月期営業黒字化予想、事業ドメイン拡大戦略推進して収益改善期待
- 2017/8/31 06:23
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
マーケットエンタープライズ<3135>(東マ)はネット型リユース事業を展開し、中期成長に向けて新サービスによる事業ドメイン拡大戦略も推進している。17年6月期は営業赤字だったが、18年6月期は営業黒字化予想で収益改善が期待される。株価は調整一巡感を強めている。
■インターネットに特化してリユース品買取・販売事業を展開
インターネットに特化してリユース(再利用)品を買取・販売するネット型リユース事業を展開している。
買取総合窓口サイト「高く売れるドットコム」をフラッグシップサイトとして、複数の自社運営WEB買取サイトを通じて一般消費者や法人からリユース品を仕入れ、全国のリユースセンター(16年4月現在8拠点)で在庫を一括管理する。そしてヤフオク、楽天市場、Amazon、Ebayなど複数の主要Eマーケットプレイスに出店した自社運営サイトで一般消費者や法人向けに販売する。販売サイトのサービスブランドは「ReRe(リリ)」に統一した。
16年10月27番目の専門買取サイトとなる中古スマホ・タブレット専門買取サービスサイト「スマホ高く売れるドットコム」を開設、17年2月中古農機具・農業機械の買取専門サービスサイト「農機具高く売れるドットコム」を開始した。17年3月宅配レンタルサービス「ReReレンタル」を開始、17年6月「コト消費」時代の新メディアとして趣味とその道具に出会えるウェブメディア「ビギナーズ」を開始、富裕層向け買取コンシェルジュサービス「プライベートバイヤー」を開設した。
■ITとリアルを融合させたマルチチャネル対応が強み
販売の実店舗を持たずにEC(電子商取引)によってリユース品の売買を行うサービスである。ITとリアルを融合させて仕入・販売ともマルチチャネル対応で全国的な仕入・販売網を構築していることが強みだ。
コンタクトセンターにおける事前査定サービス、出張・宅配・店頭の3チャネルによる買取サービス、全国のリユースセンターでの在庫一括管理という、コンタクトセンターからリユースセンターまで一気通貫のオペレーションシステムを特徴とし、独自の単品管理ステムと全国販売網によって高い在庫回転率を実現している。
■中期成長に向けて事業ドメイン拡大戦略を推進
中期経営目標として3~5年の間に売上高100億円、営業利益10億円の達成を目指すとしている。中期成長戦略では収益基盤強化を目指し、事業拠点拡大の水平展開、取扱商品拡大の垂直展開、そして新サービス構築による事業ドメイン拡大戦略を推進する。
水平展開では仕入基盤拡充に向けて、全国主要都市への新規リユースセンターの開設を推進し、出張・店頭買取における人口カバー率の向上や買取コンバージョン率の向上を目指す。垂直展開では取扱商品拡大に向けて、比較サイト運営・専門企業などとのアライアンスを強化し、高単価・低粗利益率帯の車・バイク・不動産など、低単価・高粗利益率帯の衣類・本など、未取扱商材や依頼情報のマネタイズゾーン拡充を図る。そしてシェアードエコノミーを実現する社会的インフラの一翼を担うべく、積極的なIT投資によって新サービスを創造・拡充させるとしている。
16年8月には光通信<9435>と合弁でMVNO(仮想移動体通信事業者)のMEモバイルを設立し、16年9月MEモバイルが高機能中古スマホ・タブレットと低価格SIMカードを組み合わせた低価格通話サービス「カシモ」を開始した。
■引越しシーズンの第4四半期(4月~6月)の構成比が高い収益構造
収益面の特性としては、転居に伴う商品の買い替えや新規購入などのニーズが高まり、買取依頼・販売が集中する春季の引越しシーズンにあたる第4四半期(4月~6月)の構成比が高くなる一方で、第1四半期(7月~9月)は売上高が減少して営業損益が低水準となりやすい傾向がある。
■17年6月期(連結決算に移行)は営業赤字
前期(17年6月期)の連結業績(第2四半期から連結決算に移行)は、売上高が56億30百万円、営業利益が7百万円の赤字、経常利益が4百万円の黒字、純利益が19百万円の赤字だった。
前々期(16年6月期)非連結業績との比較では、売上高は15.8%増収と好調だったが、売上総利益率の低下や販管費の増加などで各利益は減益となり、営業利益と純利益は赤字だった。
前期(17年6月期)と今期(18年6月期)を中長期成長に向けた戦略投資期間と位置付けて、人員や設備をはじめとした積極的な先行投資を行っている。そしてMEモバイルにおけるMVNO事業立ち上げ初期投資で、高性能スマホ・タブレット端末を低価格で販売していることも影響した。また前期開設した徳島コンタクトセンター関連で人件費などが増加した。
なお計画との比較では、売上高は3億39百万円、営業利益は12百万円、経常利益は12百万円、純利益は25百万円、それぞれ下回った。第4四半期に販売単価が高く売上総利益率の低い高単価商材の仕入シェアが想定を上回り、期末時点の保有在庫について保守的に再評価して評価減を行ったため、原価率が想定を上回った。純利益は繰延税金資産取崩で税金費用が増加したことも影響した。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期(非連結)12億05百万円、第2四半期(連結)13億90百万円、第3四半期(連結)14億93百万円、第4四半期(連結)15億42百万円、営業利益は71百万円の赤字、0百万円、14百万円、50百万円だった。四半期ベースで営業損益は改善している。
■18年6月期は営業黒字化予想で収益改善期待
今期(18年6月期)の連結業績予想(8月14日公表)は売上高が前期(17年6月期)比17.2%増の66億円、営業利益が55百万円の黒字(前期は7百万円の赤字)、経常利益が51百万円の黒字(同4百万円の黒字)、純利益が29百万円の黒字(同19百万円の赤字)としている。配当は無配継続としている。
リユース市場・EC市場が拡大基調であり、水平展開(全国主要都市への新規拠点開設)や垂直展開(取扱商材と顧客層の拡大)強化などで2桁増収予想である。利益面では、戦略的投資期間と位置付けて2拠点新規開設などで費用が増加するが、営業黒字化予想である。
■株価は調整一巡感
株価は上値の重い展開だが、徐々に下値を切り上げて調整一巡感を強めている。
8月30日の終値592円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS5円71銭で算出)は104倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS179円80銭で算出)は3.3倍近辺である。時価総額は約30億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線が下値を支える形だ。調整一巡して出直りが期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)