フライトホールディングスは電子決済ソリューションが牽引して中期収益拡大期待

 フライトホールディングス<3753>(東2)は電子決済ソリューションを主力としている。18年3月期第1四半期は大幅増収で黒字化した。通期は大型案件の反動で減収減益予想だが、中期的には電子決済ソリューションが牽引して収益拡大が期待される。株価は調整一巡感を強めている。

■システム開発や電子決済ソリューションなどを展開

 傘下のフライトシステムコンサルティングがシステム開発・保守などのコンサルティング&ソリューション(C&S)事業、および電子決済ソリューションなどのサービス事業、イーシー・ライダーがB2B向けECサイト構築パッケージなどのECソリューション事業を展開している。

 17年3月期のセグメント別売上高構成比は、C&S事業が23%、サービス事業が74%、ECソリューション事業が3%だった。収益面ではサービス事業における大型案件によって変動する特性が強い。

■C&S事業はPepper関連を強化

 C&S事業では、ソフトバンクロボティクスの人型ロボットPepperの法人モデル「Pepper for Biz」に関して、17年2月新サービスとして、コンテンツマネージメントソリューション「Scenaria」をジエナ社と共同開発した。そしてロボアプリ開発者を支援する「Pepperパートナープログラム」において「ロボパートナー」認定を取得している。またソフトバンクと日本IBMが共同で行う「IBM Watson エコシステムプログラム」に参画し、ビジネスおよびテクノロジーパートナーに選定されている。

■電子決済ソリューションはマルチ決済端末など展開

 電子決済ソリューション事業では、スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末「incredist」と、スマートデバイス決済専用アプリ「ペイメント・マイスター」を展開し、電子決済事業に関して複数暗号鍵の切り替えに関する特許、無線を使った複数機器の設定に関する特許、複数加盟店の切り替えに関する特許を取得している。

 スマートデバイス決済専用アプリ「ペイメント・マイスター」は、iPhoneやiPadをクレジットカード決済端末に利用する大企業向け国内初のBtoB決済ソリューションである。10年9月に提供開始し、高級ホテル・レストラン・観光タクシー・旅行代理店など幅広い業種に導入されている。

 16年3月スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末の新製品「incredist premium」の日本国内での販売を開始した。磁気クレジットカード、接触型ICクレジットカード(EMV)、非接触型ICクレジットカード(コンタクトレスEMV)、および日本独自の電子マネーに対応した決済端末である。米国ではセキュリティー基準審査を依頼中であり、審査が終了次第、米国子会社FLIGHT SYSTEM USAを通じて米国での販売を開始する。

 16年8月には「incredist premium」の電子マネー対応第一弾としてNTTドコモ<9437>の後払い電子マネー「iD」がサービスインした。

 また「incredist premium」は、16年12月Mastercard、VISA、AmericanExpressのコンタクトレスEMV(ICカード国際規格EMV技術を用いた非接触IC決済対応のクレジットカード)に関するブランド認定を取得、17年5月JCBのコンタクトレスEMVのブランド認定を取得、17年6月DiscoverのコンタクトレスEMVのブランド認定を取得、中国銀聯のコンタクトレスEMVのブランド認定を取得した。

■18年3月期1Qは大幅増収で各利益とも黒字化

 今期(18年3月期)第1四半期(4~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比3.0倍の6億05百万円、営業利益が66百万円の黒字(前年同期は1億03百万円の赤字)、経常利益が72百万円の黒字(同1億15百万円の赤字)、純利益が57百万円の黒字(同1億16百万円の赤字)だった。

 サービス事業において既存の大口顧客向け「incredist」追加納品を売上計上して大幅増収となり、各利益とも黒字化した。

 セグメント別(連結調整前)動向を見ると、C&S事業は売上高が5.8%増の1億32百万円で営業利益が15百万円の赤字(同6百万円の赤字)だった。サービス事業は売上高が7.6倍の4億46百万円で、業利益が1億68百万円(同30百万円の赤字)だった。ECソリューション事業は売上高が25.8%増の23百万円で営業利益が6百万円の赤字(同0百万円の赤字)だった。

■18年3月期通期は大型案件の反動で減収減益予想

 今期(18年3月期)連結業績予想(5月15日公表)は売上高が前期(17年3月期)比20.7%減の25億円、営業利益が56.0%減の2億60百万円、経常利益が56.2%減の2億50百万円、純利益が50.9%減の2億円としている。配当は無配継続としている。

 前期計上の大型案件の反動で減収減益予想である。第1四半期はサービス事業において大口顧客向け追加納品を計上したが、通期ベースでは顧客の導入スケジュールが流動的としている。中期的には電子決済ソリューションが牽引して収益拡大が期待される。

■株価は調整一巡して反発期待

 株価は水準を切り下げてやや軟調展開だが、8月1日の年初来安値870円から切り返しの動きを強めている。

 8月30日の終値963円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS21円15銭で算出)は46倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS75円94銭で算出)は13倍近辺である。時価総額は約91億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線突破の動きを強めている。調整一巡して反発が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る