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【アナリスト水田雅展の企業レポート】バルクホールディングスは住宅事業売却して収益改善、18年3月期1Q大幅増益で通期増額の可能性
- 2017/9/4 09:59
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
バルクホールディングス<2467>(名セ)はコンサルティング事業、マーケティング事業およびIT事業を展開する持株会社である。18年3月期第1四半期は大幅増益だった。住宅関連事業を売却して収益が大幅改善した。通期は増額の可能性が高いだろう。株価は調整一巡して戻りを試す展開が期待される。
■コンサルティング事業などを展開する持株会社
コンサルティング事業、マーケティング事業、およびIT事業を展開する持株会社である。連結子会社バルクがコンサルティング事業とマーケティング事業、マーケティング・システム・サービスがマーケティング事業、ヴィオがIT事業を展開し、アトラス・コンサルティングを持分法適用関連会社としている。
住宅関連事業のハウスバンクインターナショナル(HBI社)の全株式を17年3月に売却した。今後はグループ内で高いシナジー効果が見込めるコンサルティング事業、マーケティング事業およびIT事業に経営資源を集中して収益基盤を強化する。
■プライバシーマーク・ISO27001認定取得支援に強み
コンサルティング事業は、個人情報保護など情報セキュリティマネジメント分野におけるプライバシーマーク認定取得支援、ISO27001(ISMS)認証取得支援、および運用支援を主力としている。
バルクは情報セキュリティマネジメント分野のリーディングカンパニーである。プライバシーマーク認定取得は国内トップクラスの1600件超、ISO27001認証取得は500件超の取得支援実績を誇っている。自社社員によるコンサルタント、ISMS審査員資格保有者の在籍、自社開発の支援ITツールによる作業負担軽減、教育支援メニューや取得後の継続維持・運用サポートメニューの充実などを強みとして、あらゆる業種・業態への対応実績を持つ。このため企業にとっては短期間での取得が可能になる。
15年6月に業界初の情報セキュリティマネジメントシステム運用支援クラウドサービス「V-Cloud」をリリースした。その後は更新比率が大幅に上昇し、クラウド利用社数が大幅に増加している。月額課金型のため顧客囲い込みによってストック収益拡大にも繋がる。
16年5月には、大企業向けに効果測定型コンプライアンスリスク診断プログラム「V-Risk」サービスを開始した。情報漏洩や内部統制など企業内部に潜在化・顕在化するリスクの分析、コンプライアンス診断、コンプライアンスリスクの対策提案および対策支援、効果測定までオールインワンサービスで提供する。
■マーケティング事業は新製品モニター調査などが主力
マーケティング事業は、バルクがマーケティングリサーチ事業、マーケティング・システム・サービスがSP(セールスプロモーション)事業や広告代理業を展開している。
バルクのマーケティングリサーチ事業は、大手メーカーの新製品開発時のモニター調査などを主力としている。調査の企画・設計・分析・実査から商品企画などのマーケティング戦略支援まで、企業のマーケティング活動における課題を総合的にワンストップで解決・支援する。
マーケティング・システム・サービスのマーケティング事業は、スーパーなど食品流通事業者のフリーペーパー、食品・飲料メーカーのSPツール・ノベルティ制作などでクライアントの課題解決を総合的に支援している。関東の大手スーパー向けを主力としている。
■IT事業は開発リソースをグループ内システム開発にも活用
IT事業はヴィオが、大手SIベンダーからのビジネスアプリケーションなどの受託開発を主力として、オリジナルのパッケージソフトを活用したITソリューションサービスも展開している。
グループ内にシステム開発会社を持つことで、開発リソースをコンサルティング事業の運用支援ツールなどグループ内のシステム開発に活用できるメリットもある。
■アライアンス戦略も推進
アライアンス戦略も推進している。15年8月バルクがITコンサルティング事業のITbook<3742>とコンサルティング事業分野で業務提携、15年12月バルクがブーメランイット・ジャパン(BIJ社)と情報セキュリティ分野で業務提携、16年1月バルクがPICC社と業務提携した。
17年6月にはバルクおよびヴィオが、Everforth社(東京都)とデジタルマーケティング分野で業務提携した。
■18年3月期1Qは住宅関連事業売却で大幅増益
今期(18年3月期)第1四半期(4~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比50.4%減の2億39百万円、営業利益が67.0%増の10百万円、経常利益が87.1%増の10百万円、純利益が2.3倍の9百万円だった。
住宅関連事業のHBI社を売却したため大幅減収だが、営業損益が大幅改善した。売上総利益は24.0%減少したが、売上総利益率は42.0%で14.6ポイント上昇した。販管費は28.4%減少したが、販管費比率は37.7%で11.6ポイント上昇した。なお住宅関連事業の前年同期の売上高は2億10百万円、営業利益が5百万円の赤字だった。
セグメント別(連結調整前)に見ると、コンサルティング事業は既存案件・新規案件とも順調に推移して、売上高が10.2%増の55百万円で営業利益が10.4%増の18百万円だった。
マーケティング事業は、マーケティングリサーチサービスが堅調だったが、セールスプロモーションが一部既存顧客における広告予算削減の影響を受けたため、売上高が19.5%減の1億58百万円で、営業利益が16.2%減の16百万円だった。IT事業は売上高が8.1%減の27百万円で、営業利益が58.9%減の1百万円だった。人的リソースを戦略的にグループ内のシステム・新サービス開発支援に振り向けた。
■18年3月期通期も大幅増益予想で増額の可能性
今期(18年3月期)通期の連結業績予想は、売上高が前期比36.5%減の10億87百万円だが、営業利益が35.8%増の34百万円、経常利益が64.0%増の38百万円、純利益が4.3倍の29百万円としている。住宅関連事業を売却して全体の売上高は大幅減少するが、赤字事業が無くなるため大幅増益予想である。
コンサルティング事業では、情報セキュリティマネジメントシステム運用支援クラウドサービス「V-Cloud」の導入数が増加基調であり、ストック型収益の伸長が期待される。また主要ターゲットを大企業にシフトしてストック型収益を一段と伸長させる方針である。通期予想は増額の可能性が高く、中期的にも収益構造転換と収益改善が期待される。
■株価は調整一巡して戻り試す
株価は6月~7月の戻り高値圏147円から反落したが、130円台で調整一巡感を強めている。9月1日の終値は136円で、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS3円87銭で算出)は35倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS90円53銭で算出)は1.5倍近辺、時価総額は約10億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で下げ渋る形だ。調整一巡し、収益改善を評価して戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)