【編集長の視点】新報国鉄は前期業績上ぶれ着地も今期業績伸び悩みを嫌って急反落
- 2015/2/20 10:30
- 編集長の視点
新報国製鉄<5542>(JQS)は、寄り付きの売り気配から137円安の781円まで売られて急反落している。寄り付き段階のジャスダック市場の値下がり率ランキングではワーストワンとなっている。前日19日大引け後に12月期決算を発表、前2014年12月期業績が、昨年8月の上方修正値を上ぶれて着地したが、今2015年12月期業績は伸び悩みを予想したことを嫌い、昨年9月18日につけた昨年来高値1035円を前に利益確定売りが先行している。
■低膨張鋳鋼は液晶露光装置・半導体製造装置向けに続伸
前2014年12月期業績は、利益が、昨年8月の上方修正値を1500万円~5000万円上ぶれ前々期比23.9%増収、2.57倍経常増益、2.69倍純益増益と大幅続伸した。主力製品の低膨張鋳物の売り上げが、スマホやタブレットに支えられて液晶露光装置向けや、半導体製造装置用も一部回復して全前期比約28%増と伸び、シームレスパイプ用工具も、原油価格下落の影響を受けずに堅調に推移、この増収効果とコスト削減効果に同社鋳物工場跡地に住宅展示場がオープンし土地貸与が始まったことなどが要因となった。今2015年12月期業績は、土地貸与の通年フル寄与などから売り上げ37億5000万円(前期比1.5%増)、経常利益4億4000万円(同1.0%増)、純利益4億3000万円(同0.1%減)と予想している。市場で期待されていた2ケタ増益予想を大きく下回っている。
■25日線で下値確認・値固めを進めPER6倍台の売られ過ぎ訂正も
株価は、昨年8月に前期業績の上方修正に同社・埼玉本社の鋳物工場跡地の有効活用策として進めてきた住宅展示場のオープンの好材料が続いてストップ高を交えて昨年来高値1035円をつけて12月の712円安値まで調整、足元では東証1部の電炉株が、業績再上方修正や増配などで人気化したことに反応して割安株買いが再燃し調整幅の3分の2戻し水準までリバウンドした。きょう20日の急落で25日移動平均線(804円)を下抜けており、この水準での下値確認・値固め次第でPER6倍台の売られ過ぎ訂正に進む展開も想定される。(本紙編集長・浅妻昭治)