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- 【アナリスト水田雅展の銘柄分析】カナモトは下値固め完了感、15年10月期業績増額の可能性を評価して切り返し
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】カナモトは下値固め完了感、15年10月期業績増額の可能性を評価して切り返し
- 2015/2/20 07:25
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
建設機械レンタル大手のカナモト<9678>(東1)の株価は、14年9月高値4905円から急反落し、今期(15年10月期)業績の慎重な会社見通しも嫌気して調整局面だったが、3000円近辺で下値固め完了感を強めている。今期業績見通し増額の可能性を評価して切り返し局面だろう。なお3月6日に第1四半期(11月~1月)の業績発表を予定している。
建設機械レンタルを主力として、海外向け中古建設機械販売、土木・建築工事用鉄鋼製品販売、IT機器・イベント関連レンタルなども展開している。北海道を地盤に東北、関東、中部、近畿、九州にも営業拠点網を拡充して全国展開し、12年6月には道路建機レンタルと道路工事施工のユナイトを子会社化した。環境保全設備や地下施設建設機械などの製造・レンタルを手掛ける子会社KGフローテクノは14年4月、中国・上海に現地法人を設立した。
14年9月に新長期ビジョンおよび中期経営計画を発表し、55期の19年を見据えたグループの目指す姿を新長期ビジョン「BULL55」として示した。実行計画である17年までの3ヵ年中期経営計画「BULL53」では、経営目標数値として17年10月期の売上高1500億円、営業利益190億円、ROA5.0%以上、ROE10%以上などを掲げている。
15年1月には北関東エリアで6店舗目となる日立営業所(茨城県日立市)を開設し、営業拠点数は171拠点、子会社・アライアンスグループを含めると349拠点となった。
また2月3日には、インドネシアに現地法人カナモト・インドネシアを設立(14年8月設立登記)し、現地パートナー企業のプロベスコ社が新設した子会社と共に、15年1月から営業を開始したと発表している。新長期ビジョン「BULL55」で海外展開強化を今後の成長エンジンとして掲げており、インドネシアへの進出はその一環としている。
今期(15年10月期)の連結業績見通し(12月10日公表)は売上高が前期比2.4%増の1286億円、営業利益が同3.1%増の169億60百万円、経常利益が同3.3%増の166億10百万円、純利益が同2.4%増の95億20百万円としている。
配当予想については年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。前期との比較で5円減配の形だが、前期の年間35円には会社設立50周年記念配当15円(第2四半期末に5円、期末に10円)が含まれているため、普通配当ベースでは10円増配となる。
東北や首都圏では建設需要が底堅く推移するが、その他地方の建設需要は財政支出が減少傾向で公共工事に不透明感を増していることや、技能労働者不足による入札不調や着工遅延などの懸念もあるため、今期は売上高、利益とも小幅な伸び率にとどまる慎重な見通しとしている。
ただし震災復旧・復興関連工事、防災・減災・耐震化関連工事、老朽化インフラ補修・更新関連工事、都市再開発関連工事、激甚災害現場の復旧工事などが活発であり、リニア新幹線着工や20年東京夏季五輪に向けた工事の増加なども背景として、建機レンタル需要は高水準で推移することが予想される。会社見通しは保守的であり、今期業績見通しは増額の可能性が高いだろう。中期的に良好な事業環境に変化はない。
株価の動きを見ると、14年9月高値4905円から急反落して調整局面となり、今期業績の慎重な会社見通しも嫌気して一段安の展開となった。ただし12月中旬以降は3000円近辺で下げ渋る動きとなり、下値固め完了感を強めている。
2月19日の終値3055円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS264円15銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.0%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1758円24銭で算出)は1.7倍近辺である。
週足チャートで見ると13週移動平均線が抵抗線の形だが、3000円近辺で調整一巡感を強めている。予想連結PERに割安感も台頭している。今期業績見通し増額の可能性を評価して切り返し局面だろう。