【編集長の視点】アスカネットはエンディング関連株人気に今期1Q決算発表先取りがオンして反発

 アスカネット<2438>(東マ)は、前日6日に16円高の1467円と反発して引けた。同社株は、北朝鮮の核実験強行に伴う地政学リスクの高まりの影響で、利益確定売りが続き25日移動平均線を下回って下値を探っていたが、8月23日から開催された「エンディング産業展2017」で出展した特許出願中の新WEBサービス「tsunagoo(つなぐ)」が、話題を集めたことを手掛かりに下げ過ぎ訂正買いが再燃し、加えて前日6日に発表予定の今2018年4月期第1四半期(2017年5月~7月期、1Q)決算を先取り、業績期待を高めて相乗効果を発揮した。実際に前日6大引け後に発表された今期1Q業績は、増収増益で着地しており、一段と株価を押し上げるとみられている。

■新WEB―サービス開発・特許出願でMDS事業の遺影写真加工と相乗効果

 「tsunagoo(つなぐ)」は、遺族から会葬者へ訃報をスマートフォンで配信し、さらに共有画面からは供物発注などまでを可能とする業界初の新WEBサービスである。「団塊の世代」が高齢化する多死社会を迎え2040年には年間死亡者がピークを迎えると予測されているなか、口頭での訃報の伝達などの遺族の負担を軽減させるもので、同サービスを出展した「エンディング産業展2017」の模様も、大手テレビ各社で紹介され入場数も前年実績を上回って閉幕しており、関心の高さを示した。同社主力のメモリアルデザインサービス(MDS)事業の遺影写真加工サービスなどと連携効果を発揮して、業績を押し上げる見込みだ。

 このほか同社は、経営の第3の柱として注力中のAIプレートも、新製法を開発して国内外の展示会へ積極的に出展するとともに、大手商社などと業務提携も締結してアジア市場にも拡販を進め、量産体制の構築に取り組んでいる。今期のAI事業の売り上げは、小ロット案件が中心となった前期の6000万円(前々期比3.4%増)から1億6000万円(前期比2.6倍)へ大きく伸びると予想している。

 一方、今期1Q業績は、前年同期比12.9%増収、4.7%営業増益、5.4%経常増益、7.1%純益増益と続伸した。MDS事業で遺影写真加工収入が堅調に推移して、AI焼香台の売り上げを計上、パーソナルパブリッシングサービス事業では、稼働率の上昇や各種経費の適切なコントロールで売り上げが大きく伸び、セグメント利益も大幅増益となったことなどが寄与した。今2018年4月期業績は、AI事業の海外・国内展示会への出展費用や量産化技術の開発費用が増加することなどから、売り上げ56億9600万円(前期比4.7%増)、営業利益7億7100万円(同3.7%減)、経常利益7億7600万円(同3.6%減)、純利益5億4100万円(同5.5%減)と前期の過去最高からの小幅減益転換を見込んでいる。ただAIプレートや今回展示の新WEBサービスの動向次第では、業績上ぶれ余地も兆してくる。

■25日線割れで目先売り一巡を示唆し急騰特性の再現期待を高めて上値チャレンジに弾み

 株価は、ロボットベンチャーへの資本参加に前期第4四半期の高利益進捗業績がオンして年初来高値2514円まで買われ、今期業績の減益転換予想で1771円安値と下値を試し、AIプレートの国内外の展示会出展とともにリバウンド、25日移動平均線水準で中段固めを続けてきたが、米国ハイテク株安・東証マザーズ市場の下落とともに1420円安値まで突っ込んだ。同安値から下げ過ぎとして底上げ、新WEBサービスを手掛かりに25日線をクリアしたものの、足元では地政学リスク懸念で再び25日線を下回った。この調整で目先売り一巡、ダメ押しを示唆しており、AIプレートを材料に再三、ストップ高した急騰特性の再現期待を強め一段の上値チャレンジに弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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