【どう見るこの相場】過度な警戒感後退して一旦はリバウンド局面だが、基本的には様子見ムード

どう見るこの相場

■一旦リバウンドだが、好材料乏しい状況に変化なし

 前週(9月4日~8日)は、北朝鮮が核実験を行ったことを受けて再び地政学リスクが高まり、日本株は週初から調整色を強めた。為替は概ね1ドル=108円台後半~109円台前半で推移していたが、週末8日には米FRB(連邦準備制度理事会)の追加利上げ観測も後退して、一気に1ドル=107円台前半までドル安・円高方向に傾いた。そして日経平均株価は下値を切り下げる形となり、8日には5月1日1万9144円62銭以来の安値水準となる1万9239円52銭まで調整した。

 今週(9月11日~15日)は、北朝鮮問題に対する過度な警戒感が後退し、一旦はリバウンド局面となりそうだ。9月末期限の米国の債務上限・政府機関閉鎖問題が12月まで先送りされたこともプラス要因だ。

 ただし積極的に買い上がるだけの好材料に乏しい状況に大きな変化はない。そして基本的には様子見ムードと閑散相場に大きな変化はなく、本格的な上昇局面への転換は期待薄だろう。

 11日の国連安全保障理事会での決議案採決を巡って再び緊張感が高まる可能性もあるだろう。また観測史上最強レベルに発達したハリケーン「イルマ」が米国フロリダ州に上陸したことで、被害状況次第では米国の景気に与える影響や、財源問題に対する警戒感が強める可能性もあるだろう。さらに次週9月19日~20日には米FOMC(連邦公開市場委員会)を控えている。米FRBのバランスシート縮小や追加利上げに対する観測が一段と後退して、為替が一段とドル安・円高方向に傾く可能性もあるだろう。

 国内では4~6月期決算発表を通過して好材料が乏しいうえに、東日本の長雨や日照不足による個人消費への悪影響が警戒され、さらに為替が1ドル=107円台までドル高・円安方向に傾いたことで、自動車など輸出関連企業の業績上振れ期待が後退している。

 またチャートで見ると、日経平均株価は25日移動平均線が抵抗線となって上値下値を切り下げる形となった。下降トレンド入りの形だ。リバウンド局面で25日移動平均線を突破できなければ、調整長期化が警戒される。

■ディフェンシブ性強い好業績の内需系中小型株に注目

 物色面では、軟調だった主力大型株をリバウンド局面で一旦買い戻す動きが強まりそうだ。ただし基本的に様子見ムードに大きな変化はなく、本格的な上昇局面への転換は期待薄だろう。医療・介護・シルバー関連を中心に、ディフェンシブ性強い好業績の内需系中小型株に注目したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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