【編集長の視点】Jトラストは地政学リスクは織り込み済みとして今期1Qの好決算を買い直して反発

 Jトラスト<8508>(東2)は、3連休前の前週末15日に8円高の896円と反発して引けた。15日朝7時前に北朝鮮が再び弾道ミサイルを発射した影響で同社の株価もやや下ぶれたが、地政学リスクは織り込み済みとして警戒感が後退して為替相場が落ち着き、日経平均株価も、反発に転じるなか、改めて同社が、今年8月10日に開示した今3月期第1四半期(2017年4月~6月期、1Q)の好決算を見直して下げ過ぎ訂正買いが再燃した。また、今年9月7日に発表した今年8月の金融事業の月次データが、国内、韓国、東南アジアとも好調な推移を示したことも、業績期待を高めている。

■国内、韓国、東南アジアの金融事業が構造改革効果も加わり営業利益を大きく伸ばす

 同社の今期1Q業績は、利益がV字回復した。売り上げが、前年同期より3.8%増で着地し、営業利益が、同2.86倍と大きく伸び、税引前利益が22億5200万円(前年同期は4億7100万円の赤字)、純利益が17億7900万円(同9億6800万円の赤字)と黒字転換した。同社は、「既成概念にとらわれないファイナンスサービスを提供する企業体を目指す」グループビジョンに基づき、経済成長の期待できるアジア地域の事業を拡大させるとともに、ネットワーク化によるシナジー効果が最大化できる事業展開を進めており、国内金融事業では、信用保証業務の保証提携先金融機関が7行に増加し、韓国金融事業では、新規貸付や債権譲受けで銀行業の貸出金が増加して営業利益が同4.44倍となり、東南アジア金融事業では、Jトラスト銀行インドネシア(BJI)の事業構造改革を進め、貸出金の質的改善や継続的な回収活動の強化などによる事業構造改革効果で人件費、その他経費も減少したことなどで営業利益が1億5400万円(前年同期は11億7100万円の赤字)とV字回復したことなどが寄与した。

 今3月期通期業績は、期初予想から変更はなく、売り上げ894億9000万円、営業利益100億5800万円、純利益81億3700万円と見込んでいる。今期からIFRS(国際財務報告基準)を適用するため、日本基準で集計した前期実績とは単純比較できないが、日本基準により57億6900万円の赤字で着地した前期の営業利益は、IFRS基準では9億円の黒字となり、これと比較すると今期営業利益は、実質で11.17倍の大幅増益の計算となる。

 なお、今年8月の月次データは、国内金融事業の債務保証残高が前年同月比69.8%増、韓国金融事業の貸出金残高が同28.9%増と大きく続伸し、東南アジア金融事業は、高水準をキープしたBJIの貸出金残高のほか、インドネシアで共同出資で設立したマルチファイナンス会社GLFI社の融資残高も1804億ルピアと新規寄与を示した。

■PER11倍、PBR0.6倍の割り負け修正で三角保ち合いを上放れ年初来高値目指す

 株価は、今年2月に前期3Qの好決算や設立40周年記念の株主優待制度などを歓迎高して年初来高値1400円をつけ、その後の相次ぐ欧州のテロや北朝鮮の弾道ミサイル発射などの地政学リスクへの警戒を強めて年初来安値786円へ突っ込み、今期業績のV字回復予想などを評価して986円の戻り高値まで下げ過ぎ訂正をした。足元では、再び北朝鮮の核実験などの地政学リスクの高まりで下値を探り25日移動平均線を出没する三角保ち合いを続けた。PERは11倍台、PBRは0.63倍と割り負けており、三角保ち合いを上放れ年初来高値へのキャッチアップに弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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