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寿スピリッツは自律調整一巡して上値試す、18年3月期2桁増収増益・増配予想
- 2017/9/21 06:34
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
寿スピリッツ<2222>(東1)は「お菓子の総合プロデューサー」を企業ビジョンに掲げ、首都圏エリア展開強化や商品プレミアム化などの重点施策を加速している。18年3月期2桁増収増益・増配予想である。株価は上場来高値圏から一旦反落したが、自律調整が一巡し、好業績を評価して上値を試す展開が期待される。
■「お菓子の総合プロデューサー」として地域限定ブランド菓子を展開
地域限定ブランド菓子の製造・販売を主力とする持株会社である。全国各地のお菓子のオリジナルブランドとショップブランドを創造する「お菓子の総合プロデューサー」を企業ビジョンに掲げている。さらに「ワールド サプライジング リゾート(WSR)宣言」を経営スローガンに掲げ、中期経営目標を売上高経常利益率20%としている。
17年3月期の販売チャンネル別売上構成比は、通信販売7.2%(うちルタオ通販5.8%)、店舗販売(直営店舗、催事)43.3%、卸売(駅・空港・高速道路SAなどの小売店、代理店卸、OEM)46.9%、海外2.4%、その他0.1%である。駅・空港・高速道路SAなど交通機関チャネルでの土産品としての販売比率が高いことも特徴である。またクリスマス・年末年始・バレンタイン・ホワイトデー商戦などで下期の構成比が高くなる季節特性がある。
■首都圏WSR化展開など重点施策が大幅伸長
重点施策として、プレミアム・スイーツブランドの創出と育成(地域・チャンネル特性にマッチした商品開発推進、主力商品リニューアルによるバージョンアップと価格改定、販路開拓やリアル店舗と通販の融合、新業態店の拡大)、インバウンド対策の強化(国内主要国際空港における免税売店等への販売強化、直営店舗での免税対応強化)、首都圏でのWSR化展開(シュクレイの多ブランド展開推進や販路拡大、グループ各社による期間限定店舗展開の推進など)、海外展開、生産性向上による製造採算改善などを推進している。
重点施策の17年3月期売上高は、国内主要国際空港でのインバウンドが16年3月期比2.4倍の19億60百万円、海外(台湾現地法人売上高+韓国・香港向けロイヤルティ含む国内出荷売上高)が41.5%増の7億78百万円、シュクレイ(首都圏WSR化)が95.9%増の92億75百万円と大幅伸長した。18年3月期目標値はインバウンド25億円、海外12億円、シュクレイ107億70百万円を掲げている。
■18年3月期2桁増収増益・連続増配予想
今期(18年3月期)の連結業績予想(5月15日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比10.6%増の360億円、営業利益が15.7%増の44億50百万円、経常利益が15.4%増の45億円、純利益が22.4%増の31億50百万円としている。配当予想は5円増配の年間30円(期末一括)としている。重点施策を中心とした取り組みを強化して2桁増収増益・連続増配予想である。
第1四半期(4~6月)連結業績は、売上高が前年同期比17.8%増収、営業利益が43.6%増益、経常利益が43.1%増益、純利益が3.0倍増益だった。売上高、経常利益とも四半期ベースで過去最高を更新した。国際線ターミナルでの販売強化などのインバウンド対策や、首都圏WSR化展開などの重点施策の取り組みが奏功し、生産効率改善なども寄与した。特にシュクレイの収益拡大が牽引した。重点施策はインバウンドが2.0倍の7億66百万円、海外が79.3%増の2億62百万円、シュクレイが28.0%増の22億39百万円だった。
通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高22.0%、営業利益12.0%、経常利益12.2%、純利益17.6%と低水準の形だが、下期の構成比が高い季節特性があるためネガティブ要因とはならない。首都圏WSR化展開の積極推進などで好業績が期待される。
■株主優待は毎年3月末に実施
株主優待制度は、毎年3月末現在の100株以上~500株未満所有株主に対して2000円相当の自社グループ製品、500株以上~1000株未満所有株主に対して4000円相当の自社グループ製品、1000株以上所有株主に対して4000円相当のグループ製品+3000円相当の直営店舗利用優待券(代替商品送付可)を贈呈する。
■株価は自律調整一巡して上値試す
株価は8月1日の上場来高値4250円から反落し、3600円近辺でモミ合う形だったが、9月20日は3900円まで上伸した。
9月20日の終値3870円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS101円22銭で算出)は38倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は0.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS409円20銭で算出)は9.5倍近辺である。時価総額は約1204億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線が接近して水準を切り上げた。サポートラインを確認した形だ。自律調整が一巡し、好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)