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ラクーンは調整一巡して上値試す、利用企業数増加基調で18年4月期2桁増益予想
- 2017/9/25 06:49
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ラクーン<3031>(東1)はBtoB電子商取引スーパーデリバリー運営、クラウド受発注COREC事業、BtoB掛売り・請求書決済代行サービスPaid事業、売掛債権保証事業を展開している。18年4月期第1四半期は2桁増益だった。利用企業数が増加基調で通期も2桁増益予想である。株価は調整一巡して上値を試す展開が期待される。
■企業間ECサイト「スーパーデリバリー」運営が主力
アパレル・雑貨分野の企業間(BtoB)電子商取引(EC)スーパーデリバリー運営を主力として、クラウド受発注システムのCOREC(コレック)事業、BtoB掛売り・請求書決済代行サービスのPaid(ペイド)事業、売掛債権保証事業など周辺領域へ事業を拡大している。またスーパーデリバリーの越境ECサービス(海外販売)「SD export」も展開している。
17年4月期セグメント別(連結調整前)売上高構成比はEC事業(スーパーデリバリーとCOREC)58%、Paid事業15%、保証事業26%、営業利益構成比はEC事業53%、Paid事業7%、保証事業40%だった。
出展企業と会員小売店の増加に伴って月額課金システム利用料売上が積み上がるストック型収益構造である。なお決算短信および有価証券報告書のセグメント情報においては、間接コスト(本社費用)を全てEC事業負担としているため、EC事業のセグメント利益は他の事業と比べて相対的に小さく表示されている。
17年4月期のスーパーデリバリー全体流通額は16年4月期比2.6%増の98億34百万円、スーパーデリバリー会員小売店数は1万8148店舗増の7万520店舗、出展企業数は51社増の1189社となった。またCORECユーザー数は1万1092社となった。Paid加盟企業数は2200社を超えた。
Paid事業はサービス改良によって業種・業態を問わず、あらゆるBtoB向けサービスへの導入やFinTech分野への展開も推進している。9月11日にはPaidが、これまで導入企業の取引先に提供してきた「銀行振込」と「口座振替」という支払方法に加えて、新たに「コンビニ払い」を追加したと発表している。
■18年4月期1Qは2桁増益
今期(18年4月期)第1四半期(5~7月)の連結業績は、売上高が前年同期比7.5%増の6億12百万円、営業利益が12.3%増の1億06百万円、経常利益が11.1%増の1億04百万円、純利益が19.9%増の69百万円だった。
全ての事業が増収増益と好調に推移した。売上総利益は7.8%増加し、売上総利益率は85.5%で0.2ポイント上昇した。販管費は積極的な人材採用や広告投資などで6.7%増加したが、販管費比率は68.2%で0.5ポイント低下した。
セグメント別(連結調整前)に見るとEC事業は売上高が5.0%増の4億11百万円で営業利益が0.4%増の45百万円だった。スーパーデリバリー全体流通額は7.0%増の25億40百万円だった。国内が小売業以外の事業者への流通増加などで2.5%増と堅調に推移し、海外は68.9%増と大幅伸長した。スーパーデリバリー会員小売店数は17年4月期末比5151店舗増の7万5671店舗、出展企業数は9社増の1198社、商材掲載数は8665点増の64万6317点となった。CORECユーザー数は1417社増の1万2509社となった。
Paid事業は売上高が21.6%増の1億15百万円で営業利益が5.1倍の9百万円だった。加盟企業が順調に増加し、取扱高増加で営業損益が改善した。加盟企業数は2400社を超え、グループ内含む取扱高は23.6%増加の45億14百万円となった。
保証事業は売上高が6.3%増の1億90百万円で営業利益が8.0%増の54百万円だった。16年8月開始した「URIHO」の伸長も寄与して、グループ内含む保証残高は17年4月期末比11.6%増の126億64百万円となった。
■18年4月期通期も2桁増益予想
今期(18年4月期)連結業績予想(6月9日公表)は売上高が前期(17年4月期)比8.1%増の25億50百万円、営業利益が16.4%増の4億90百万円、経常利益が17.1%増の4億85百万円、純利益が17.3%増の3億円としている。配当予想は未定としている。
経営基盤強化に向けた先行投資を継続するが、スーパーデリバリーにおいて成長余力のある海外市場の流通額拡大、小売以外の事業者の流通額拡大、国内流通の本格的な成長路線への回帰に注力し、COREC、Paid事業、売掛債権保証事業も順調に拡大して2桁増益予想である。
通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高24.0%、営業利益21.6%、経常利益21.5%、純利益23.1%である。ストック型収益構造であり、通期ベースでも好業績が期待される。
■株価は調整一巡して上値試す
株価は7月の年初来高値725円から反落したが、9月6日の直近安値562円から切り返しの動きを強めている。9月22日には638円まで上伸した。調整が一巡したようだ。
9月22日の終値620円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS17円14銭で算出)は36倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS108円89銭で算出)は5.7倍近辺である。時価総額は約115億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から切り返してサポートラインを確認した形だ。調整一巡し、好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)