- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- 綿半ホールディングスは自律調整一巡して上値試す、スーパーセンター事業の好調で18年3月期営業増益予想
綿半ホールディングスは自律調整一巡して上値試す、スーパーセンター事業の好調で18年3月期営業増益予想
- 2017/9/26 08:05
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
綿半ホールディングス<3199>(東1)はスーパーセンター事業や建設事業などを展開する持株会社である。スーパーセンター事業の8月既存店売上は8ヶ月連続で前年比プラスと好調であり、18年3月期営業増益予想である。株価は上場来高値圏で堅調だ。自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。
■スーパーセンター事業や建設事業などを展開
スーパーセンター事業、建設事業、貿易事業を展開する持株会社である。17年3月期セグメント別売上高構成比はスーパーセンター事業63%、建設事業32%、貿易事業4%、その他事業(不動産賃貸事業)0%だった。
■スーパーセンター事業はM&Aも活用してエリア拡大と業態多様化を推進
スーパーセンター事業はM&Aも活用してエリア拡大と業態多様化を推進し、17年3月期末店舗数はスーパーセンター11店舗、ホームセンター21店舗、食品スーパー5店舗の合計37店舗となった。
綿半ホームエイドは長野県中心にスーパーセンター業態とホームセンター業態、綿半フレッシュマーケット(キシショッピングセンターが17年1月商号変更)が愛知県中心に食品スーパー業態、綿半Jマート(Jマートが17年4月商号変更)が関東甲信越エリアにホームセンター業態を展開している。17年1月には綿半パートナーズを設立した。グループのスケールメリットを活かした商品仕入原価の低減やPB商品の共同開発・相互供給を推進する。
■建設事業は長尺屋根工事や自走式立体駐車場工事に強み
建設事業は、綿半ソリューションズ(16年4月、建築・土木を主体とする綿半鋼機と、鉄構・橋梁構造を主体とする綿半テクノスが合併)が、建築・土木・住宅リフォーム工事、鉄骨・鋼構造物の加工・製造などを展開し、長尺屋根工事などの外装改修工事および自走式立体駐車場工事を強みとしている。
長尺屋根工事では、工場の操業を止めずに老朽化した屋根の改修工事を行うWKカバー工法で特許を取得し、工場・倉庫・物流センター、商業施設、駅舎関連などに豊富な工事実績を誇っている。自走式立体駐車場工事では、柱の少ない認定品「ステージダブル」など国土交通省の認定を多数有している。大型SCの立体駐車場などの工事実績が豊富である。
17年7月にはイオンモール神戸南に隣接する立体駐車場に綿半ソリューションズの手掛ける雨水貯留柱(実用新案登録済)が採用された。また17年7月には沖縄県浦添西海岸に建設予定の大型ショッピングセンターに併設される立体駐車場の建設工事、17年8月には(仮称)ららぽーと名古屋港明に併設される立体駐車場建設工事を受注した。
■貿易事業はジェネリック医薬品向け天然原料などを輸入販売
貿易事業は医薬品・化成品向け天然原料輸入専門商社の綿半トレーディング(16年7月ミツバ貿易が社名変更)が展開している。
ジェネリック医薬品向けアセトアミノフェン(解熱鎮痛剤)や、メキシコ特産でヘアワックス・口紅などに使用するキャンデリラワックス(取り扱い数量国内1位)など特定分野に強みを持ち、製造部門はHMG(ヒト尿由来の排卵障害治療薬)原薬を製造して医薬品メーカーに販売している。
■スーパーセンターは既存店売上と店舗網拡大、建設は工事採算に注目
スーパーセンター事業は既存店売上高と、M&Aも活用した店舗網拡大戦略が注目される。建設事業は基本的には第4四半期の構成比が高い季節要因だが、大型案件の動向や個別案件の工事採算動向で利益率が変動する。
配当についてはグループの業績や内部留保の充実などを勘案したうえで、安定的な配当を継続して実施することを基本方針としている。
■18年3月期1Qは建設事業の売上端境期の影響で営業微減益
今期(18年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比13.8%増の246億65百万円、営業利益が1.0%減の4億20百万円、経常利益が4.4%減の4億27百万円、純利益が33.8%減の2億43百万円だった。
建設事業の売上端境期の影響で全体として営業微減益だったが、スーパーセンター事業は好調に推移した。売上総利益は19.7%増加し、売上総利益率は21.2%で1.0ポイント上昇した。販管費は21.9%増加し、販管費比率は19.5%で1.2ポイント上昇した。純利益は法人税等の増加が影響した。
スーパーセンター事業は売上高が26.4%増の173億76百万円で、営業利益(連結調整前)が39.0%増の5億03百万円だった。綿半Jマートの新規連結に加えて、EDLP(エブリデー・ロー・プライス)戦略が定着して、既存店売上高が102.7%と好調に推移した。利益面では食品ロス率の改善、商品絞り込みよる仕入原価低減、店舗オペレーション効率化などEDLC(エブリデー・ロー・コスト)追求による売上総利益率改善も寄与した。期末の店舗数はスーパーセンター11店舗、ホームセンター21店舗、食品スーパー5店舗の合計37店舗だった。
建設事業は売上計上端境期となり、売上高が11.3%減の60億79百万円で営業利益が53百万円の赤字(前年同期は1億34百万円の黒字)だった。ただし受注および工事進捗は順調に推移し、受注残高は33.6%増加となった。
貿易事業は売上高が13.0%増の11億39百万円で営業利益が29.6%増の2億10百万円、その他は売上高が4.7%減の69百万円で営業利益が0.3%減の29百万円だった。
■18年3月期通期は増収・営業増益予想
今期(18年3月期)連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前期(17年3月期)比9.2%増の1013億51百万円、営業利益が3.6%増の20億39百万円、経常利益が5.8%増の21億09百万円、純利益が6.3%減の12億59百万円としている。配当予想は前期と同額の年間26円(期末一括)で、予想配当性向は20.4%となる。
純利益は法人税等の増加で減益予想だが、スーパーセンター事業における綿半Jマートの通期連結や売上総利益率改善効果が牽引して、増収・営業増益予想である。建設事業は生産性向上による増益を見込んでいる。セグメント別の計画は、スーパーセンター事業の売上高が10.7%増の650億66百万円で営業利益が31.6%増の13億34百万円、建設事業の売上高が6.2%増の315億38百万円で営業利益が6.6%増の14億63百万円、貿易事業の売上高が11.5%増の44億75百万円で営業利益が8.8%減の5億44百万円としている。
スーパーセンター事業の月次売上状況(前年同月比、速報値)を見ると、17年8月は全店127.3%、既存店103.6%だった。全店は子会社化した綿半Jマートが寄与した。またEDLP戦略が定着して既存店売上高は8ヶ月連続の前年比プラス、既存店客数は6ヶ月連続プラス、既存店客単価は12ヶ月連続プラスだった。なお4~8月累計でも全店127.7%、既存店103.1%と好調である。
通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高24.3%、営業利益20.6%、経常利益20.2%、純利益19.3%と低水準である。ただし建設事業は第4四半期の構成比が高い季節特性があるためネガティブ要因とはならない。スーパーセンター事業の既存店の好調や売上総利益率改善などが牽引して、通期ベースで好業績が期待される。
■景気に左右されない安定・成長性のある事業構造を目指す
中期ビジョンでは基本方針に「時代の変化に対応し、景気に左右されない安定・成長性のある事業構造を創り上げる」を掲げ、多様性のある経営人財の育成、IT化推進による経営改革、M&A推進のための財務体質強化、長期を見据えた海外展開の準備に取り組んでいる。
スーパーセンター事業では、近隣県への進出も含めて本格的な多店舗展開(当面の目標100店舗体制)に向けた体制作りの期間として、出店スピード加速のための体制整備や新フォーマット店舗の開発に取り組んでいる。新フォーマット店舗の開発では限られた売場面積の中で地域特性に合わせた品揃えを強化するため、小型スーパーセンター業態(700~1000坪)の開発や食品と非食品の超小型店業態(300坪程度)の研究を推進している。
建設事業では、デザインセンターを活用した提案営業や施主に対する直接営業の強化、技術ノウハウを活かした新製品の継続的開発や付加価値の提供などで、採算を重視しながら受注拡大に繋げる。遠隔地の案件に対しては施工代理店方式(当社が開発した冶具・ノウハウを提供)も活用して、エリア・顧客基盤の拡大に取り組む。中長期的な課題として施工代理店方式を活用した海外展開も検討する。
16年5月策定の中期経営計画では、経営目標値に19年3月期売上高1000億円(内訳はスーパーセンター事業600億円、建設事業360億円、貿易事業40億円)、経常利益22億円を掲げている。
事業別重点施策としては、スーパーセンター事業では新業態開発による売場面積拡大(3年間で4500坪)、既存店活性化に向けたサービスメニューとプロモーションの拡充、ロス率改善やオペレーション効率化による利益率向上、建設事業では問題解決に向けた提案型営業への転換による安定した高収益体質の実現、貿易事業では天然原料の新商品拡充と仕入・販売経路の拡大を推進する。
■株主優待制度は毎年9月末に実施
株主優待制度は毎年9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して贈呈する。綿半ホームエイドPB商品詰め合わせなどを贈呈する。
■株価は上場来高値圏で堅調、自律調整一巡して上値試す
株価は7月の上場来高値2615円後に上げ一服の形となったが、高値圏2400円~2500円近辺で堅調に推移している。そして自律調整一巡感を強めている。
9月25日の終値2472円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS127円71銭で算出)は19~20倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1232円74銭で算出)は2.0倍近辺である。時価総額は約244億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)