- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- ビューティガレージは好業績評価して上値試す、リピート顧客増加で18年4月期1Q大幅増収増益、通期も増収増益・増配予想
ビューティガレージは好業績評価して上値試す、リピート顧客増加で18年4月期1Q大幅増収増益、通期も増収増益・増配予想
- 2017/9/28 07:59
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ビューティガレージ<3180>(東1)は美容サロン向け美容商材ネット通販の最大手である。サロン向け「開業支援」から「開業+経営支援」へのサービス領域拡大を推進し、中期経営計画では「アジアNO.1のIT美容商社」を目指している。リピート顧客が増加基調で18年4月期第1四半期は大幅増収増益だった。通期も増収増益・増配予想である。株価は好業績を評価して上値を試す展開が期待される。
■美容サロン向け美容商材ネット通販の最大手
理美容室、エステサロン、ネイルサロン、リラクゼーションサロンなど全国の美容サロン向けに、業務用理美容・エステ機器(スタイリングチェア、シャンプーユニット、パーマ機器、エステスチーマーなど)や、業務用化粧品・消耗品(ヘアケア製品、エステティック化粧品、マッサージオイル、ネイル商材など)を販売するプロ向け美容商材の物販事業を主力としている。
販売チャネルは日本最大級のプロ向け美容商材ネット通販サイト「BEAUTY GARAGE Online Shop」でのオンライン販売(=EC)を主力として、カタログ通販、および全国のショールームでの販売を展開している。
IT(ネット通販)とリアル(ショールームでの販売)を融合連携させたBtoBビジネスモデルで、美容サロン向け美容商材ネット通販の最大手である。中間流通を省いたダイレクト販売と大量一括購入による国内最安値保証、自社開発の「WEB&リアル店舗連動型」基幹POSシステム、自社物流センターによる一元管理、中古・格安PB商品と開業支援ソリューションで新規開業者を集める仕組み、物販とソリューションのワンストップサービスでリピート利用に繋げる仕組みなどを強みとしている。
物販事業ではリピート商材である化粧品・消耗品の販売を拡大するとともに、機器分野ではPB製品、化粧品分野ではNB製品の品揃えを強化している。17年1月にはフランスの老舗エステティック化粧品ブランド「ドクタールノー」の独占輸入販売権を獲得した。
■中期成長に向けてサービス領域拡大を推進
中期成長に向けて、ビューティサロン向け「開業支援」から「開業+経営支援」へサービス領域拡大を推進している。
子会社は、タフデザインプロダクトがサロン店舗設計・施工事業、アイラッシュガレージがアイラッシュ(まつ毛エクステ)商材卸売および開業・経営支援事業、17年1月設立BGパートナーズがファイナンスサポートおよび店舗リース・転貸サービスの「サロンまるごとサポート」リース事業を展開している。なお美容専門求人・求職サイト運営のサロンキャリアを17年5月吸収合併した。
15年6月プロ向け美容業界の商材仕入用として業界初となるスマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」を導入、15年11月総合印刷会社の帆風と共同でサロンの印刷用途に特化した印刷通販サイト「サロンプリント」を開始、16年1月マーケットプレイス型販売として当社のプロ向け美容商材ネット通販サイトを他の美容商材卸業者に開放した。
16年3月ノーリツ鋼機<7744>の子会社で歯科業界カタログ通販大手のフィード社と業務提携し、同社のPB製品として販売する歯科・医療機関向け機器・材料等を当社が製造(OEM)受託した。16年11月アトラ<6029>と業務提携して鍼灸接骨院向けに販路を拡大した。
海外展開は、海外販売代理店方式=海外ディストリビュータ経由での輸出販売、越境EC代行方式=海外顧客向け購入代行ソリューションサービス導入、自社での越境EC方式=自社ECサイトの多言語版構築の3方向で推進する。
■アジアNO.1のIT美容商社を目指す
18年4月期を初年度とする中期経営計画2017-2019では、2025年時点での目指すべき姿として「アジアNO.1のIT美容商社」という企業像を設定している。
4つの基本方針を「IT+物流」ソリューションの進化、商品ラインナップの大幅拡充と開発力強化、グローバル市場への本格進出、周辺サービスの充実と新価値の創造として、最終年度20年4月期の目標値に売上高145億円、経常利益10億円、経常利益率6.9%を掲げている。
「IT+物流」ソリューションの進化では、多言語対応に向けたECサイトのフルリニューアル、ERP導入に伴う基幹システム刷新、自社物流センターによる一元管理と海外物流ネットワーク構築を推進する。商品ラインナップの大幅拡充では、化粧品メーカー各社との直接取引口座開設や、国内工場・海外工場ネットワークの整備を推進する。
グローバル市場への本格進出では、第一段階として東南アジア市場攻略を目指し、18年4月期中にシンガポールにHUB拠点を設置する。また日本の新ECサイトの多言語版を展開する。周辺サービスの充実と新価値の創造では物販事業との連携や相乗効果創出をメインテーマとして、店舗設計事業のサービス拠点拡充や「サロンまるごとサポート」リース事業の本格稼働を推進する。
■美容サロン新規開業が集中する第4四半期(2~4月)の構成比が高い特性
収益の季節要因として、美容サロンの新規開業が集中して美容機器の需要が高まる第4四半期(2~4月)の構成比が高い一方で、年末年始で美容機器の需要が減少する第3四半期(11~1月)の構成比が低いという特性がある。また物販事業の売上総利益率は為替による輸入仕入コスト変動の影響を受ける傾向がある。
17年4月期の四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期23億31百万円、第2四半期23億01百万円、第3四半期21億66百万円、第4四半期28億44百万円、営業利益は1億13百万円、1億65百万円、79百万円、1億98百万円だった。第4四半期の売上高は過去最高を更新した。
■リピート顧客が増加基調
17年4月期末のEC登録会員口座数は16年4月期末比3万1343口座増加の30万9120口座、このうち過去1年間に1回以上購入履歴のあるアクティブユーザー数は同5916口座増加の9万676口座、過去1年間に6回以上購入履歴のあるロイヤルユーザー数は同3901口座増加の1万9698口座、EC経由売上構成比率は同2.8ポイント上昇の67.1%、PB製品売上構成比率は同0.5ポイント上昇の57.6%、化粧品売上構成比率は同4.0ポイント上昇の36.4%となった。
ロイヤルユーザー数が大幅増加し、15年6月導入したスマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」も寄与してEC比率が上昇している。さらに重点分野であるPB比率と化粧品比率も順調に上昇している。
なお17年4月期の物販事業の製品別売上高構成比はPB機器44.7%、PB化粧品12.9%、NB機器15.8%、NB化粧品23.6%、中古品3.0%である。PB・NB別で見るとPB比率57.6%、NB比率39.4%、機器・化粧品別で見ると機器比率60.5%、化粧品比率36.5%だった。安定収益源で四半期別売上高の平準化にも繋がる化粧品の比率が上昇傾向である。
■18年4月期1Qはリピート顧客増加で大幅増収増益
今期(18年4月期)第1四半期(5~7月)の連結業績は、売上高が前年同期比16.2%増の27億08百万円、営業利益が19.5%増の1億36百万円、経常利益が58.6%増の1億37百万円、純利益が2.5倍の1億39百万円だった。
主力の物販事業は売上高が15.0%増の20億43百万円で、営業利益(連結調整前)が33.8%増の1億70百万円となり、全体を牽引した。
累計登録会員総数は10.9%増の31万8585口座、このうち過去1年間に1回以上購入履歴のあるアクティブユーザー数は8.0%増の9万2618口座、過去1年間に6回以上購入履歴のあるロイヤルユーザー数は25.8%増の2万921口座となり、リピート顧客増加が顕著となった。モバイル経由の売上高は47.1%増加した。また化粧品・材料が35.3%増収と大幅伸長した。
店舗設計事業は売上高が27.5%増の6億19百万円で営業利益が99.3%増の39百万円だった。チェーン店本部や大型店舗からの受注が増加した。その他周辺ソリューション事業は売上高が34.3%減の45百万円で営業利益が5百万円の赤字(前年同期は16百万円の黒字)だった。
売上総利益は15.2%増加したが、売上総利益率は32.3%で0.3ポイント低下した。販管費は14.5%増加し、販管費比率は27.3%で0.4ポイント低下した。営業外では為替差損益が改善した。純利益は連結子会社合併による税負担減少も寄与した。
■18年4月期通期も増収増益予想
今期(18年4月期)の連結業績予想(6月12日公表)は、売上高が前期(17年4月期)比14.9%増の110億76百万円、営業利益が8.0%増の6億円、経常利益が12.3%増の6億円、純利益が23.9%増の3億89百万円としている。先行投資負担を吸収して増収増益予想である。配当予想は同1円増配の年間8円(期末一括)としている。予想配当性向は12.3%となる。
多言語対応に向けたECサイトのリニューアル、ERP導入に伴う基幹システム刷新、大阪総合ショールームの拡大移転、東京本社総合ショールームのリニューアル、海外販売拠点の新設など、先行投資負担で営業増益率が鈍化する見込みだが、保守的な印象が強い。通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高24.4%、営業利益22.7%、経常利益22.8%、純利益35.7%である。第4四半期の構成比が高い季節特性を考慮すれば通期予想に増額余地がありそうだ。
■株主優待制度は毎年4月末に実施、1年以上継続保有株主が対象
株主優待制度は、毎年4月30日現在で1単元(100株)以上を1年以上継続保有(4月および10月の株主名簿に連続3回以上記載)する株主を対象として、該当株主1名につき希望小売価格3000円相当分の当社オリジナルブランド商品を贈呈する。
■株価は好業績評価して上値試す
株価は6月の上場来高値2121円から反落して水準を切り下げたが、9月6日の直近安値1369円から急反発している。第1四半期業績を評価する動きだ。
9月27日の終値1700円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS65円24銭で算出)は26倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は0.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS339円18銭で算出)は5.0倍近辺である。時価総額は約102億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線を一気に回復した。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)