【編集長の視点】Jトラストは反落も9月の月次データ発表を先取りして割安修正買いの再燃が有力

 Jトラスト<8508>(東2)は、前日10日に23円安の997円と反落して引けた。同社株は、10月に入って、今年3月末以来、約6カ月ぶりに1000円の大台を回復しており、目先の利益を確定する売り物が出て一服した。ただ同社は、今年10月16日に今年9月の月次データの発表を予定しており、これまで月次データ発表のたびに株価がポジティブに反応しており、これを先取りし値ごろ妙味があるとして割安株買いが再燃する展開が有力視される。今年8月10日に発表した今3月期第1四半期(2017年4月~6月期、1Q)の好決算に加え、米国FRB(連邦準備制度理事会)が、9月20日まで開催したFOMC(公開市場委員会)で資産縮小開始を決定したことを背景に、長期金利が世界的に上昇していることも、利ザヤ拡大要因として業績期待を高めている。

■国内、韓国、東南アジアの各金融事業とも今期に入り揃って連続のプラス

 月次データは、「適時且つ正確な情報開示」を基本とする同社のコーポレート・ガバナンス方針に基づき、日本国内、韓国、東南アジアの3極で展開しているリテールファイナンス(金融)事業の月間の速報値を早期開示しているもので、今期に入っていずれも前年同月を上回って好調に推移している。今年9月7日に発表した今年8月の月次データも、国内金融事業の債務保証残高が前年同月比69.8%増、韓国金融事業の貸出金残高が同28.9%増と大きく続伸し、東南アジア金融事業は、高水準をキープしたBJIの貸出金残高のほか、インドネシアで共同出資により設立したマルチファイナンス会社GLFI社の融資残高も1804億ルピアとして新規に上乗せとなった。国内金融事業では、信用保証業務の保証提携先金融機関が7行に増加し、東南アジア金融事業では、Jトラスト銀行インドネシア(BJI)の事業構造改革を進め、貸出金の質的改善や継続的な回収活動を強化したことなどが要因となっている、

 月次データの連続プラスをベースに業績も好調に推移し、今年8月10日発表した今期1Q業績は、売り上げが前年同期比3.8%増と伸び、営業利益が同2.86倍と大幅増益となり、税引前利益が22億5200万円(前年同期は4億7100万円の赤字)、純利益が17億7900万円(同9億6800万円の赤字)とV字回復した。今3月期通期業績は、期初予想通りに売り上げ894億9000万円、営業利益100億5800万円、純利益81億3700万円と予想しており、今期からIFRS(国際財務報告基準)を適用するため、日本基準で集計した前期実績とは単純に比較できないが、日本基準の前期営業利益(57億6900万円の赤字)は、IFRS基準では9億円の黒字となり、同営業利益比較では、今期は実質11.17倍の大幅増益の計算となる。

■7月、8月の月次データ発表で急伸を繰り返すがPERはなお12倍と割安

 株価は、月次データ発表のたびにポジティブに株高方向で反応しており、直近では今年8月7日発表の7月月次データには、今期1Q好決算も加わって130円高、9月7日発表の8月月次データでは、北朝鮮関連の地政学リスクを懸念して突っ込んだ870円安値から130円高を演じた。足元では、約6カ月ぶりに1000円大台を回復したが、PERは12倍台、PBRは0.70倍となお割り負けており、一服場面は押し目買いチャンスで、今年2月につけた年初来高値1400円を目指し上値追いが加速しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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