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アルコニックスは上場来高値圏、18年3月期通期予想も増額の可能性
- 2017/10/12 07:58
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アルコニックス<3036>(東1)は商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指している。18年3月期連結業績予想は第2四半期累計を増額修正している。通期も増額の可能性が高いだろう。積極的な事業展開で中期的にも収益拡大基調が期待される。株価は上場来高値圏だ。目先的な過熱感が解消し、好業績を評価して上値を試す展開が期待される。なお11月8日に第2四半期決算発表を予定している。
■商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」目指す
軽金属・銅製品(伸銅品、銅管など)、電子・機能材(レアメタル・レアアース、チタン・ニッケル製品など)、非鉄原料(アルミ・亜鉛地金など)、建設・産業資材(配管機材など)を取り扱う非鉄金属商社グループである。
レアメタル分野に強みを持つことも特徴だが、中期成長に向けて商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指し、M&Aも積極活用して、非鉄金属の周辺分野も含めた川上(製造)~川中(流通)~川下(問屋)を網羅するビジネス展開を推進している。
■製造業が利益の過半
17年3月期のセグメント別売上高構成比は、商社流通87%(電子機能材事業が28%、アルミ銅事業が59%)、製造13%(装置材料事業が8%、金属加工事業が5%)だった、経常利益の構成比は商社流通47%(電子機能材事業が27%、アルミ銅事業が20%)、製造53%(装置材料事業が5%、金属加工事業が48%)だった。
レアメタル・レアアースなど非鉄金属の市況、持分法投資損益、M&Aに伴うのれん償却や負ののれん益なども収益変動要因となるが、積極的なM&Aで製造の利益が連結業績の過半を占めるようになった。
中期経営計画(18年3月期~20年3月期、1年ごとに見直すローリング方式)では、経営目標値を20年3月期の経常利益65億円超、純利益47億円超、ROE13~15%程度、NET/DER1.0~1.3倍程度としている。3年間の投融資総額はM&A・事業投資を中心に250億円の計画としている。商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指して積極投資を推進する方針だ。グループのシナジー効果を高めて中期的に収益拡大基調が期待される。
■18年3月期通期予想も増額の可能性
今期(18年3月期)の連結業績予想は9月27日に第2四半期累計(4~9月)予想を増額修正した。売上高は80億円増額して前年同期比24.0%増の1170億円、営業利益は11億90百万円増額して88.6%増の33億90百万円、経常利益は13億50百万円増額して81.2%増の37億50百万円、純利益は10億50百万円増額して65.1%増の27億50百万円とした。M&A等によって連結子会社化した製造業を中心に、グループ全体が好調に推移している。
通期予想は前回予想(5月15日公表)を据え置いて、売上高が前期(17年3月期)比8.9%増の2200億円、営業利益が10.4%増の46億円、経常利益が12.6%増の49億円、純利益が11.9%増の34億50百万円としている。円安、銅を中心とした非鉄市況の回復、レアメタル・レアアースの市況底打ち、17年4月子会社化した富士プレスの新規連結などで増収・2桁増益予想である。製造子会社の好調で通期予想も増額の可能性が高いだろう。
配当予想は年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。17年9月1日付の株式2分割を考慮して前期実績の年間44円を22円に換算すると4円増配となる。
■株価は上場来高値圏、目先的な過熱感解消して上値試す
株価(17年9月1日付で株式2分割)は急伸して上場来高値更新の展開となり、10月2日には2089円まで上伸した。その後は利益確定売りで上げ一服の形だが自律調整の範囲だろう。
10月11日の終値1866円を指標面(17年9月1日付株式2分割後)で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS133円78銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1255円61銭で算出)は1.5倍近辺である。時価総額は約482億円である。
日足チャートで見ると25日移動平均線が接近して目先的な過熱感が解消した。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)