【アナリスト水田雅展の銘柄分析】東洋ドライルーブは今期業績増額の可能性、低PER、低PBRを評価して出直り期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ドライルーブ製品コーティング加工の東洋ドライルーブ<4976>(JQS)の第2四半期累計(7月~12月)連結業績は、経常利益と純利益が計画を大幅に上回りました。株価は今期(15年6月期)業績見通し据え置きも嫌気する形で調整局面となりましたが、今期業績見通し増額の可能性が高く、低PERと低PBRも評価材料として出直り展開が期待されます。

 ドライルーブ(固体皮膜潤滑剤)製品のコーティング加工を主力として、その他事業ではナノカーボン製品の製造も展開しています。海外は中国、タイ、ベトナムに展開しています。

 ドライルーブとは、二硫化モリブデン、フッ素樹脂、グラファイトなどの潤滑物質と各種特殊バインダーをハイブリッド配合し、各種溶剤または水に分散させた有機結合型の多機能皮膜です。ドライルーブでコーティング加工することにより各種素材の摩擦係数を大幅に低減できるなど、耐摩耗性に優れているため自動車機器、デジタル家電、デジタルカメラなどの駆動伝達部で、オイルやグリースなどの液体潤滑剤を使用できない部位にコーティング皮膜として使用されます。

 中期成長に向けた事業戦略では、新製品・新加工技術の開発、アジア地域を中心としたグローバル展開、海外連結子会社の生産性改善を積極推進する方針を掲げています。そして新製品では発熱皮膜、放熱皮膜、撥油皮膜、超撥水皮膜、DLC皮膜、LUBICKシリーズなどを開発しています。

 2月6日に発表した今期(15年6月期)第2四半期累計(7月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比8.5%減の24億15百万円、営業利益が同32.7%減の1億51百万円、経常利益が同46.8%増の3億41百万円、純利益が同67.0%増の2億03百万円となりました。

 2月3日に修正を発表し、国内では消費増税反動による在庫調整の長期化影響などがありましたが、海外が好調に推移して売上高と営業利益は概ね計画水準となり、経常利益と純利益は為替差益の増加や持分法投資損益の改善が寄与して計画を大幅に上回りました。

 セグメント別売上動向は、ドライルーブ・コーティング加工が同8.3%減収(自動車機器向けが同10.3%減収、光学機器向けが同6.2%減収、電子部品関連が同6.1%減収)で、その他事業が同47.1%減収となりました。

 通期の連結業績見通しは前回予想(8月8日公表)を据え置いて売上高が前期比1.9%減の50億30百万円、営業利益が同21.9%減の3億06百万円、経常利益が同9.1%減の3億68百万円、純利益が同17.9%減の2億47百万円、配当予想が前期と同額の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としています。

 自動車機器業界向けは底堅く推移する見込みですが、電気・電子機器業界向けがや低調となり、利益面では販売価格引き下げ要請などが影響して減収減益見込みとしています。なお第2四半期累計の経常利益と純利益を押し上げた為替差益については、為替変動を勘案して織り込まず、通期見通しを据え置いたとしています。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48.0%、営業利益が49.4%、経常利益が92.7%、純利益が82.2%です。売上高と営業利益は概ね順調な水準で、経常利益と純利益は高水準です。

 期後半に向けて自動車や光学機器の生産増加が期待され、コスト低減効果も寄与するでしょう。そしてドル高・円安基調であることを考慮すれば、通期でも為替差益が期待され、通期見通しは増額の可能性が高いでしょう。

 株価の動きを見ると、14年12月の戻り高値1730円から反落して水準を切り下げ、2月17日の1568円まで調整しました。通期通しの据え置きも嫌気された可能性があるでしょう。ただし22日と23日には1621円まで戻して売り一巡感を強めています。

 2月23日の終値1621円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS186円55銭で算出)は8~9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.9%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS4276円42銭で算出)は0.4倍近辺です。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込みましたが、14年10月の安値1560円に接近して反発のタイミングでしょう。今期業績見通し増額の可能性が高く、低PERと低PBRも評価材料として出直り展開が期待されます。

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