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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ゼリア新薬工業は今期減益見通しを織り込んで調整一巡の可能性、出直り期待
- 2015/2/24 07:36
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ゼリア新薬工業<4559>(東1)の第3四半期累計(4月~12月)連結業績は減収減益となりましたが、株価のネガティブ反応は限定的で1900円近辺で下げ渋る動きです。今期(15年3月期)減益見通しを織り込んで調整が一巡した可能性があり、出直り展開が期待されます。
消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開しています。医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」、H2受容体拮抗剤「アシノン」、亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」を主力としています。13年6月には自社開発新薬の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指しています。コンシューマーヘルスケア事業は「コンドロイチン群」「ヘパリーゼ群」「ウィズワン群」を主力としています。
M&Aを活用してグローバル展開も推進し、08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化しました。13年8月には、ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結し、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化しました。
新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めています。
14年8月にはエーザイ<4523>の新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結しました。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行います。そして承認取得後は両社で共同販促を行います。
14年9月には、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を、全国の薬局・薬店・ドラッグストアで販売開始しました。
2月5日に発表した今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比2.1%減の457億82百万円、営業利益が同44.0%減の33億40百万円、経常利益が同45.1%減の33億33百万円、純利益が同30.9%減の31億60百万円となりました。
コンシューマーヘルスケア事業は、製品認知度が向上したコンビニエンスストア向け「ヘパリーゼ群」の売上が拡大して、同11.1%増収と好調に推移しましたが、医療用医薬品事業は消費増税の反動影響、薬価改定の影響、後発医薬品の使用促進の影響などで同10.8%減収と苦戦しました。利益面ではライセンス収入およびロイヤリティ収入の減少、研究開発費や広告宣伝費の増加も影響して大幅減益となりました。
四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)147億15百万円、第2四半期(7月~9月)154億21百万円、第3四半期(10月~12月)156億46百万円で、営業利益は第1四半期8億58百万円、第2四半期14億21百万円、第3四半期10億61百万円です。
通期の連結業績見通しは前回予想(10月31日に減額修正)を据え置いて売上高が前期比3.2%増の640億円、営業利益が同26.4%減の50億円、経常利益が同26.5%減の50億円、純利益が同18.5%減の43億円としています。
配当予想(5月13日公表)は年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としています。13年10月1日付の株式分割(1株を1.1株に分割)を考慮すると実質的に前期比2円50銭増配となります。
通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が71.5%、営業利益が66.8%、経常利益が66.7%、純利益が73.5%とやや低水準ですが、第4四半期(1月~3月)以降は消費増税や天候不順の影響一巡、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場浸透などで挽回が期待されます。
株主優待については毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈しています。1000株以上所有株主に対してはA・B・C・D・Eコースの中からいずれか1コース選択、100株以上~1000株未満所有株主に対してはFコースを贈呈します。
株価の動きを見ると、今期業績見通しの減額修正を嫌気して安値圏での展開が続いています。1月23日には13年9月以来の安値水準となる1876円まで調整しました。ただしその後は1900円近辺で下げ渋る動きです。第3四半期累計の大幅減益に対するネガティブ反応も限定的のようです。今期減益見通しを織り込んで調整が一巡した可能性があるでしょう。
2月23日の終値1929円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS80円95銭で算出)は23~24倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.6%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1105円78銭で算出)は1.7倍近辺です。
週足チャートで見ると13週移動平均線が抵抗線の形ですが、日足チャートで見ると25日移動平均線を突破しました。今期減益見通しを織り込んで出直り展開が期待されます。