【アナリスト水田雅展の銘柄分析】エフティコミュニケーションズは調整続いたが底打ちの可能性、今期大幅営業増益見通しを評価して出直り

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 LED照明・OA機器販売などのエフティコミュニケーションズ<2763>(JQS)の第3四半期累計(4月~12月)連結業績は2桁増益となりました。株価は調整局面が続きましたが、1月16日の昨年来安値1833円で底打ちした可能性があり、今期(15年3月期)大幅営業増益見通し、低PER、高配当利回りを評価して出直り展開となりそうです。

 13年6月にTOBで光通信<9435>の連結子会社となり、法人向けLED照明・OA機器・スモールサーバー販売などの法人事業、一般消費者向け光ファイバー回線サービス取次販売やドコモショップ運営などのコンシューマ事業を展開しています。LED照明や空調などオフィスの環境・省エネ関連商材を重点分野と位置付けて、商品ラインナップの拡充、定額保守サービスなどストック型収益の積み上げを強化しています。

 さらに中期成長に向けた重点戦略として、環境商材戦略、M&A・新規事業戦略、既存事業の強化戦略、海外戦略、プラットフォーム事業戦略を推進しています。

 M&A・新規事業戦略では13年10月ネットワークセキュリティ機器製造のアレクソン、11月ビジネスホン・OA機器販売のグロースブレイブジャパン、12月ノンフロン新自然冷媒ガス販売・施工のニューテックを子会社化、スマートフォン・タブレット端末で決済・プラットフォーム事業を展開する子会社ViewPointを設立しました。

 環境商材戦略ではLED照明に加えて、ニューテックのノンフロン新自然冷媒ガス販売・施工を強化する方針です。プラットフォーム事業戦略ではスマホカード決済サービス「ペイコレ」や、子会社ViewPointが14年7月に運営開始した中古車個人取引サイト「mieruCAR(ミエルカ)」を強化する方針です。海外戦略では14年7月設立したタイ子会社をASEAN地域への事業展開の拠点として、LED照明など環境商材の販売を推進する方針です。

 15年1月にはニューテックとハウステンボス・技術センター(長崎県佐世保市)が自然冷媒ガス販売契約を締結しました。ハウステンボス・技術センターが環境技術商社としての強みを活かし、エアコン使用時間の長い医療機関、老人保健施設、宿泊施設、工場、商業施設など向けに販売します。

 2月10日発表の今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は売上高が前年同期比2.2%減の258億74百万円、営業利益が同16.9%増の30億18百万円、経常利益が同17.7%増の32億78百万円、純利益が同10.1%増の20億17百万円となりました。

 前期第1四半期(4月~6月)にはハイブリッド・サービス<2743>が連結対象だったため見かけ上は減収ですが、法人事業は同19.2%増収、コンシューマ事業は同12.6%増収といずれも好調に推移し、人件費の増加など先行投資費用を吸収して大幅増益となりました。

 なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)82億33百万円、第2四半期(7月~9月)88億68百万円、第3四半期(10月~12月)87億73百万円、営業利益は第1四半期9億28百万円、第2四半期10億13百万円、第3四半期10億77百万円となりました。ストック型収益の積み上げも寄与して営業損益は拡大基調です。

 通期の連結業績見通しは前回予想(5月14日公表)を据え置いて、売上高が前期比6.0%増の380億円、営業利益が同27.6%増の48億円、経常利益が同21.6%増の50億円、純利益が同5.5%増の28億円としています。配当予想(11月7日に増額修正)は年間70円(第2四半期末30円、期末40円)で、13年10月1日付の株式100分割を考慮すると実質的に前期比20円増配となります。

 法人事業ではLED照明やスモールサーバーなどの販売が好調に推移し、ストック型収益の積み上げが進展する見込みです。コンシューマ事業では光ファイバー回線サービス拡販でストック型収益を積み上げ、ドコモショップの運営効率向上も寄与する見込みです。純利益はアレクソンの負ののれん発生益一巡で小幅増益にとどまりますが、大幅営業増益見通しです。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が68.1%、営業利益が62.9%、経常利益が65.6%、純利益が72.0%とやや低水準ですが、第4四半期(1月~3月)の挽回が期待されます。中期的にもストック型収益の積み上げや積極的な事業展開で収益拡大基調が期待されます。

 株価の動きを見ると、14年3月高値4065円から反落して調整局面が続き、1月16日には昨年来安値となる1833円まで調整しましたが、その後は下げ渋り感を強めています。第3四半期累計の2桁営業増益を評価して2月12日には2000円まで戻す場面がありました。調整のほぼ最終局面で底打ちした可能性もあるでしょう。

 2月23日の終値1896円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS240円00銭で算出)は8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間70円で算出)は3.7%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS720円01銭で算出)は2.6倍近辺です。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形ですが、日足チャートで見ると25日移動平均線を突破しました。底打ちした可能性があり、今期大幅営業増益見通し、低PER、高配当利回りを評価して出直り展開となりそうです。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る