- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- インフォマートは戻り歩調で6月高値試す、利用企業数増加基調で中期成長シナリオに変化なし
インフォマートは戻り歩調で6月高値試す、利用企業数増加基調で中期成長シナリオに変化なし
- 2017/10/17 07:19
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インフォマート<2492>(東1)は企業間電子商取引「BtoBプラットフォーム」を運営している。17年12月期は減損損失計上で最終減益予想だが、利用企業数が増加基調で営業増益、経常増益予想である。中期成長シナリオに変化はないだろう。株価は調整一巡して戻り歩調だ。6月の上場来高値を試す展開が期待される。なお10月31日に第3四半期決算発表を予定している。
■企業間(BtoB)電子商取引プラットフォームを運営
企業間の商行為を電子化する企業間電子商取引プラットフォーム「BtoBプラットフォーム」として、企業間受発注業務をWeb上で行うBtoBプラットフォーム受発注、食の安全・安心の商品仕様書DBであるBtoBプラットフォーム規格書、企業間請求書発行・受取業務をWeb上で行うBtoBプラットフォーム請求書、BtoB専用の販売・購買システムであるBtoBプラットフォーム商談を運営している。
17年6月には受発注の新システム(卸・食品メーカー)の提供を開始、17年9月には無料で使えるBtoBプラットフォーム見積書の提供を開始した。
システムをネット経由で提供するクラウド型サービスである。利用企業数増加に伴って月額課金のシステム使用料収入が拡大するストック型収益モデルである。
■国内最大級のBtoBプラットフォームで利用企業数は増加基調
フード業界向けで外食と食材卸の間の受発注をWeb上で行うBtoBプラットフォーム受発注を主力として、全業界を対象とするBtoBプラットフォーム請求書の利用企業数も増加基調である。国内最大級のBtoBプラットフォームである。
17年6月末のBtoBプラットフォーム利用企業数(無料利用含む全業界ID数で集計、海外除く)は16年12月末比1万9789社増加の14万4839社、事業所数(本社・支店・営業所・店舗)は3万7775事業所増加の44万2332事業所となった。また16年度の流通金額(全業界の受発注金額と請求書金額の合計)は2兆2942億円となった。
受発注(外食・卸)は買い手企業数(外食)が114社増加の2140社、売り手企業数(卸)が1087社増加の3万982社、17年6月提供開始の受発注(外食・食品メーカー)は買い手企業数(卸)が6社、売り手企業数(卸・食品メーカー)が69社となった。システム連携は92社・112ソリューションとなった。
規格書は、買い手機能が51社増加の501社、卸機能が19社増加の556社、メーカー機能が26社増加の6211社となった。
15年1月サービス開始した請求書の利用企業数合計は1万9816社増加の14万4217社(うち有料契約数は447社増加の2263社)となった。増加ペースが加速して、利用企業数合計は17年8月に15万社を突破し、17年7月時点での流通金額は1兆4524億円となった。
商談は、買い手企業数が17社減少の6838社、売り手企業数が128社減少の1584社となった。
また業界標準化に向けたシステム連携を強化し、17年6月末におけるBtoBプラットフォーム受発注システムの連携は92社・112ソリューションに拡大している。BtoB標準プラットフォームを実現するため、他社とのシステム連携戦略を強化して利用企業数100万社への普及を目指すとしている。
FinTech分野に関しては、請求書関連業務の新たなモデル作りのため各金融機関・パートナーとともに実証実験を行い、17年12月に利用企業数30万社、電子請求の年間流通金額2兆円を目指すとしている。
■17年12月期は大幅営業・経常増益、減損経常で最終減益
今期(17年12月期)の連結業績予想(7月31日に減損損失計上で純利益を減額修正)は、売上高が前期(16年12月期)比28.4%増の79億円、営業利益が33.1%増の26億03百万円、経常利益が33.5%増の26億円、純利益が26.4%減の8億87百万円としている。
減損損失計上で純利益が減益となるが、利用企業数が増加基調でストック型収益の月額課金システム使用料が伸長し、ソフトウェア償却費や人件費の増加を吸収して大幅増収・営業増益・経常増益予想である。
配当予想は年間6円54銭(第2四半期末3円27銭、期末3円27銭)としている。17年1月1日付株式2分割を考慮して前期の11円80銭を5円90銭に換算すると、実質的に64銭増配となる。予想配当性向は89.5%である。配当政策は個別業績に応じた配当性向50%を基本方針としている。
第2四半期累計(1月~6月)は、売上高が前年同期比8.0%増収、営業利益が1.7%減益、経常利益が1.2%増益、純利益が赤字だった。利用企業数が増加基調でストック型のシステム使用料が増加したが、ソフトウェア償却費が増加して営業微減益だった。純利益は、BtoBプラットフォーム請求書に関するソフトウェアについて減損損失11億81百万円を計上したため赤字だった。
通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は、売上高が40.8%、営業利益が36.6%、経常利益が36.3%である。低水準の形だが、ストック型収益構造のため通期ベースで好業績が期待される。
■中期経営計画で18年12月期の受発注5万社と請求書100万社目標
中期経営計画では基本方針を、フード業界におけるBtoBプラットフォーム受発注の利用拡大・シェア拡大、BtoBプラットフォーム請求書の全業界展開・デファクト化、BtoB電子商取引プラットフォームの構築としている。
フード業界におけるシェア拡大では18年12月期までの目標として利用企業数5万社(15年12月期実績3.9万社)およびシステム取引高・外食シェア2兆円・30%(同1.2兆円・16%)を目指す。電子請求プラットフォームのデファクト化では18年12月期までの目標として利用企業数100万社(同4.8万社)およびシステム取引高3兆円(同1261億円)を目指す。BtoB電子商取引プラットフォームの構築ではシステムコンセプトとして全業界対応BtoBプラットフォーム(同フード業界ASPシステム)を目指す。
目標値には18年12月期売上高95億円(受発注47億28百万円、規格書15億44百万円、ES28億39百万円、その他4億29百万円)、営業利益36億03百万円、経常利益36億円、純利益24億23百万円を掲げている。
そして2020年までに、あらゆる業界にBtoBプラットフォームを提供し、グローバルなBtoBインフラ企業を目指すとしている。積極的な事業展開で中期成長シナリオに変化はないだろう。
■株価は調整一巡して戻り歩調、6月の上場来高値試す
株価は9月6日の直近安値711円から切り返し、10月16日には847円まで上伸した。調整一巡して戻り歩調だ。
10月16日の終値832円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS7円31銭で算出)は114倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間6円54銭で算出)は0.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS76円02銭で算出)は11倍近辺である。時価総額は約1079億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインの形だ。調整一巡して6月の上場来高値965円を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)