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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ワイヤレスゲートは15年12月期大幅増収増益見通しを好感、中期成長力も評価して切り返し
- 2015/2/25 07:42
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ワイヤレスブロードバンドサービスを展開するワイヤレスゲート<9419>(東マ)の今期(15年12月期)連結業績は大幅増収増益見通しです。株価は2月5日に東京証券取引所本則市場への変更申請取り下げを嫌気して急落する場面がありましたが、その後は3000円近辺に戻しています。12日に発表した今期大幅増収増益見通しが好感されたようです。中期成長力も評価して切り返し展開が期待されます。
通信事業者からインフラを借り受けてワイヤレスブロードバンドサービス(Wi-Fi、WiMAX、LTE)を提供しています。販売チャネルはヨドバシカメラでの販売、および携帯電話販売最大手ティーガイア<3738>での販売を主力としています。月額有料会員数の積み上げに伴って収益が拡大するストック型収益構造です。
中期成長に向けた重点戦略としては、M&A・提携も活用してサービス提供エリア拡大、サービスラインナップ拡充、新規事業推進などを掲げています。
新規事業では14年1月、法人向けWi-Fi環境イネーブラー(構築運用支援)事業を開始しました。公衆無線LAN環境を活用する動きが自治体(災害時通信インフラ)、観光地(外国人旅行客誘致)、商店街(集客力向上)などに広がり、20年東京夏季五輪開催も追い風となって無線LANの需要拡大が予想されるため、クラウド型Wi-Fi環境サービスシステムなど法人向けソリューションサービス提供を拡大します。
8月にはLTE領域ソリューション拡充の一環として、M2M/IoTソリューション「クラウド型みまもりサービス」の販売開始と、訪問看護サービスのNフィールド<6077>との業務提携を発表しました。
また11月にはWeb会議システムのブイキューブ<3681>と業務提携し、世界200カ国以上に1200万箇所以上のWi-Fiスポットを有するFon(スペイン)およびフォン・ジャパンと業務協力しました。
SIMカードに関しては14年9月に「ワイヤレスゲート Wi-Fi+LTE SIMカード」の販売を開始し、12月に「ワイヤレスゲート Wi-Fi」併用可能な訪日外国人向けプリペイド型SIMカードの販売を開始しました。そして2月4日には音声機能付きSIMカードの提供開始を発表しました。15年春提供開始の予定です。
2月12日に発表した前期(14年12月期)の連結業績は売上高が前々期比29.1%増の91億05百万円、営業利益が同1.2%増の7億94百万円、経常利益が同0.7%増の7億89百万円、純利益が同3.3%増の4億99百万円となりました。配当予想は年間25円(期末一括)で、14年1月1日付の株式2分割を考慮すると実質的に前々期と同額となります。
期初時点では予定していなかったSIM事業(LTE通信対応SIMカード販売)開始に伴って、オペレーション関連の費用が発生したため利益は微増にとどまりましたが、ヨドバシカメラでの積極的なキャンペーンなどが奏功して会員数は同8万人増加の50万人となり、主力のモバイルインターネットサービス「Wi-Fi+WiMAX」などの好調が牽引して、売上高は計画を上回る大幅増収となりました。
事業別の売上高は、主力のワイヤレス・ブロードバンド事業の公衆無線LANサービスが同4.6%増の8億71百万円、モバイルインターネットサービスが同30.3%増の80億57百万円で、ワイヤレス・プラットフォーム事業は同4.1倍の1億50百万円、その他は25百万円となりました。
今期(15年12月期)の連結業績見通し(2月12日公表)は、売上高が前期比37.0%増の124億72百万円、営業利益が同69.9%増の13億50百万円、経常利益が同70.8%増の13億48百万円、そして純利益が同71.6%増の8億56百万円としています。配当予想は同1円増配の年間26円(期末一括)としています。
個人ユーザー向けでは公衆無線LANサービス、モバイルインターネットサービス「Wi-Fi+WiMAX」「Wi-Fi+LTE SIMカード」「訪日外国人向けプリペイド型SIMカード」などの販売を継続的に強化します。法人向けではWi-Fiインフラ事業(環境イネーブラー事業から名称変更)の収益化を目指します。会員数の増加に伴って大幅増収となり、法人向けサービス拡大に伴う人件費増加などを吸収して大幅増益見通しです。中期的にも収益拡大基調が予想されます。
なお2月4日に、東京証券取引所本則市場への変更申請取り下げを発表しました。インサイダー取引規制を含めたコンプライアンスに関する教育の徹底に取り組むとともに、3月27日開催予定の第11回株主総会をもって新経営体制に移行し、企業統治と執行を強化することによって成長スピードを再び加速し、企業価値の向上に努めるとしています。なお変更申請を一旦取り下げますが、市場変更準備は今後も継続するとしています。
株価の動きを見ると、東京証券取引所本則市場への変更申請取り下げを嫌気して2月5日に2653円まで急落する場面があり、3000円~3500円近辺でのモミ合いから下放れの形となりました。ただしその後は3000円近辺に戻しています。今期の大幅増収増益見通しが好感されたようです。
2月24日の終値2993円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS84円53銭で算出)は35~36倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は0.9%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS224円48銭で算出)は13倍近辺です。
週足チャートで見ると13週移動平均線が抵抗線の形ですが、3000円近辺で下値を固める動きのようです。今期大幅増収増益見通しや中期成長力を評価して切り返し展開が期待されます。