- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- 【アナリスト水田雅展の銘柄分析】陽光都市開発は第三者割当増資にポジティブ反応、14年11月高値目指す
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】陽光都市開発は第三者割当増資にポジティブ反応、14年11月高値目指す
- 2015/2/25 07:38
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
投資用マンションの陽光都市開発<8946>(JQS)は、16日に今期(15年12月期)連結業績見通し、20日に商号変更、新規事業開始、第三者割当増資を発表しました。株価は、今期の大幅減収減益見通しに対するネガティブ反応が限定的だった一方で、第三者割当増資に対してはポジティブ反応となり、23日には265円まで上伸する場面がありました。財務基盤強化や中期成長に向けた積極投資を評価して14年11月高値291円を目指す展開が期待されます。
投資用マンション「グリフィンシリーズ」の企画・販売事業を一旦縮小し、不動産管理・賃貸・仲介事業のストック型フィービジネスへの事業構造転換を推進してきました。13年8月にアパマンショップホールディングス<8889>の子会社アパマンショップネットワークとFC加盟契約締結、13年10月にストライダーズ<9816>と資本業務提携しました。
そして安定的で堅実な収益体系が構築できたとして、中期成長に向けた中国不動産関連事業としてサービスアパートメント運営管理事業、中国ワンルームマンション賃貸事業へ進出しました。
14年2月に香港柏雅、および子会社でサービスアパートメント運営・管理コンサルティングを展開する柏雅酒店管理(上海)のベルグラビアグループを連結子会社化(上海柏雅投資管理は14年6月売却)し、7月には香港柏雅の子会社として陽光智寓(香港)を設立しました。11月には15年後半に開業予定の世界有数の大型テーマパークから約5km圏内に位置する上海市周浦エリアにおいて、周浦印象春城サービスアパートメント1棟(220戸)の管理受託契約を締結しました。12月には陽光智寓(香港)が中国上海市で新規事業の実務を行うため上海陽光智寓を設立しました。
さらに一層の事業規模拡大を図ることを経営課題として、一旦縮小した不動産販売事業をあらためて拡大する方針を打ち出し、2月20日に商号変更と新規事業「リゾート開発事業」の開始を発表しました。
商号変更については、3月25日開催の第36期定時株主総会において承認されることを前提として、4月1日付で新商号「エイシアンスター」に変更します。日本およびアジア地域での不動産関連事業の拡大を目指し、企業イメージの再構築を図るためとしています。
新規事業「リゾート開発事業」については日本国内において合計約155万㎡の土地を取得します。ログハウスを開発・建設して日本国内および海外セカンドハウス・移住者向け住宅として販売する事業、概ね10年を目途に別荘地として区画分譲する事業、開発や区画分譲を開始するまでの期間を固定資産として保有して用地を賃貸する事業を計画しています。事業運営は100%出資連結子会社の合同会社TYインベスターズ(15年2月設立)が行います。資産取得価額については非開示ですが、当該事業開始の新規事業用地取得時にかかる諸費用は約4億80百万円で徳威国際から借り入れるとしています。
2月16日に発表した前期(14年12月期)の連結業績(10月17日に増額修正)は、売上高が前々期比2.1倍の21億63百万円、営業利益が同43.3%増の1億50百万円、経常利益が同2.9倍の1億74百万円、純利益が同2.5倍の1億35百万円となりました。
新築投資用マンション(横浜市・36戸)の引き渡し、およびファンドに組み入れていたビジネスホテル1棟(函館市)の引き渡しが牽引して大幅増収増益となりました。不動産管理事業は中国におけるサービスアパートメント管理事業が加わり同26.3%増収となりました。
財務面では、徳威企業発展有限公司(上海)およびストライダーズによる当社新株予約権行使などで14年12月末の自己資本比率は46.7%、1株当たり純資産(BPS)は72円12銭となり、13年12月末の自己資本比率9.0%、BPS19円92銭に対して財務基盤が大幅に改善しました。
今期(15年12月期)の連結業績見通し(2月16日公表)は売上高が前期比33.2%減の14億44百万円、営業利益が同55.6%減の67百万円、経常利益が同66.2%減の59百万円、純利益が同65.4%減の47百万円としています。
安定した収益が見込める不動産管理事業は管理戸数が順調に増加しますが、前期の収益を押し上げた不動産販売事業の大型案件が一巡したため大幅減収減益見込みとしています。なお不動産販売事業については中古不動産の買い取り再販による収益積み上げを目指すとしています。
今期は大幅減収減益見通しですが、中期的には不動産管理事業の安定収益に加えて、不動産販売事業や新規リゾート開発事業の拡大も寄与して収益改善が期待されます。
なお2月20日に第三者割当増資を発表しました。徳威国際発展有限公司および香港富心国際有限公司を割当予定先として新株式287万株(徳威国際に210万株、香港富心国際に77万株)を発行します。払込期日3月27日、発行価額1株230円で、調達資金(差引手取概算額)約6億52百万円は借入金返済、新規事業用地取得後の諸費用、新規事業における開発資金に充当するとしています。
株価の動きを見ると、1月16日の直近安値200円から切り返しの動きを強めています。2月16日発表の今期の大幅減収減益見通しに対するネガティブ反応は限定的だった一方で、20日発表の第三者割当増資に対してはポジティブ反応となり、23日には265円まで上伸する場面がありました。
2月24日の終値245円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS3円60銭で算出)は68倍近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS72円12銭で算出)は3.4倍近辺です。
日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインとなって水準を切り上げています。また週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線を突破しました。強基調への転換を確認した形です。財務基盤強化や中期成長に向けた積極投資を評価して14年11月高値291円を目指す展開が期待されます。