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イワキは目先的な売り一巡して上値試す、17年11月期3Q累計大幅増益で通期利益予想は再増額の可能性、18年11月期も収益拡大基調
- 2017/10/25 06:39
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
イワキ<8095>(東1)は、医薬品・医薬品原料・表面処理薬品などを主力とする専門商社で、メーカー機能も強化している。17年11月期第3四半期累計は、医薬・FC事業の好調や化学品事業の黒字化で大幅増益だった。通期利益予想は再増額の可能性が高いだろう。そして18年11月期も収益拡大基調が期待される。株価は97年来の高値圏から反落したが、目先的な売りが一巡し、好業績を評価して上値を試す展開が期待される。
■医薬品・医薬品原料・表面処理薬品などを主力とする専門商社
医薬品・医薬品原料・表面処理薬品などを主力とする専門商社で、岩城製薬(医薬品)やメルテックス(表面処理薬品)のメーカー機能も強化している。
事業区分は医薬・FC(Fine Chemical)事業(医薬品原料の製造・販売、医薬品の製造・販売、体外診断薬・研究用試薬・医療機器の販売)、HBC(Health & Beauty Care)事業(化粧品原料・機能性食品原料の販売、一般用医薬品・関連商品の卸売、化粧品通信販売)、化学品事業(表面処理薬品・電子工業薬品・化成品の製造・販売、表面処理設備の製造・販売)、食品事業(食品原料の製造・販売)としている。
中期的な事業基盤強化と収益拡大に向けて、医薬品事業での共同開発・受託品の拡大、ドラッグストア向けPB商品など自社企画商品の開発強化、医薬品原料事業における市場シェア拡大、海外サプライヤーとの連携強化、岩城製薬の生産能力増強と新製品開発、メルテックスの新製品拡販、海外展開強化などを推進している。中期経営計画(16年11月期~18年11月期)では、目標数値として18年11月期の売上高600億円、営業利益10億円、ROIC4.0%以上を掲げている。
■17年11月期3Q累計は大幅増益
今期(17年11月期)第3四半期累計(12~8月)の連結業績は、売上高が前年同期比3.7%増の422億18百万円、営業利益が85.5%増の11億85百万円、経常利益が95.7%増の13億22百万円、純利益が2.9倍の8億46百万円だった。医薬・FC事業の好調や化学品事業の黒字化で大幅増益だった。
売上総利益は7.3%増加し、売上総利益率は20.9%で0.7ポイント上昇した。販管費は0.8%増加したが、販管費比率は18.1%で0.6ポイント低下した。営業外では持分用投資損益と為替差損益が改善した。特別利益では投資有価証券売却益2億23百万円、特別損失では岩城製薬における損害賠償金4億04百万円を計上した。
主要セグメントの状況を見ると、医薬・FC事業は売上高が1.7%増の160億07百万円で、営業利益(連結調整前)が20.8%増の11億60百万円だった。医薬品原料では新規開発降圧剤関連原料など、医薬品分野では外皮用剤などが好調に推移し、生産性改善への継続的取り組みに伴う製造原価の低減も寄与した。
HBC事業は売上高が5.1%増の172億90百万円で、営業利益が6百万円の赤字(前年同期は23百万円の黒字)だった。売上面では機能性食品原料分野、化粧品原料分野、一般用医薬品分野、通販化粧品分野とも概ね堅調に推移したが、通販化粧品分野における広告宣伝費の増加などで減益だった。
化学品事業は売上高が13.9%増の44億41百万円で、営業利益が11百万円の黒字(同3億79百万円の赤字)だった。表面処理薬品が海外の電子部品分野を中心に好調だった。プリント配線板向け新製品の新規採用も進展した。増収効果で営業黒字化した。
■17年11月期利益予想は再増額の可能性、18年11月期も収益拡大基調
今期(17年11月期)通期の連結業績予想(7月27日に売上高を減額、利益を増額修正)は、売上高が前期(16年11月期)比3.4%増の570億円、営業利益が53.5%増の15億円、経常利益が54.0%増の16億50百万円、純利益が9億円(前期は8百万円)としている。配当予想は前期と同額の年間6円(第2四半期末3円、期末3円)としている。
医薬・FC事業でジェネリック医薬品関連が好調に推移し、化学品事業の営業損益改善も進展する。通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高74.1%、営業利益79.0%、経常利益80.1%、純利益94.0%である。通期利益予想は再増額の可能性が高いだろう。
そして来期(18年11月期)も、ジェネリック医薬品関連が好調に推移し、化学品事業の一段の拡販と営業損益改善も寄与して、収益拡大基調が期待される。
■株価は目先的な売り一巡して上値試す
株価は10月12日に97年9月641円来高値となる569円まで上伸した。その後は第3四半期累計業績発表を機に材料出尽くしとして急反落し、10月20日の446円まで調整した。ただし目先的な売りが一巡し、10月24日には477円まで戻している。
10月24日の終値474円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS27円50銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間6円で算出)は1.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS506円23銭で算出)は0.9倍近辺である。時価総額は約163億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線近辺で下げ渋り、サポートラインを確認した形だ。目先的な売りが一巡し、好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)