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アスカネットは調整一巡感、18年4月期予想に上振れ余地
- 2017/10/25 06:34
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アスカネット<2438>(東マ)は遺影写真加工関連や写真集制作関連を主力としている。18年4月期はエアリアルイメージング(AI)事業の展示会出展費用や量産化技術開発費の増加などで微減益予想だが、第1四半期が計画超の増収増益であり、通期予想に上振れ余地がありそうだ。株価は調整一巡感を強めている。
■写真加工関連を主力として新規事業AIも育成
葬儀社・写真館向け遺影写真合成・加工関連のメモリアルデザインサービス(MDS)事業、写真館・コンシューマー向けオリジナル写真集制作関連のパーソナルパブリッシングサービス(PPS)事業を主力としている。MDS事業は葬儀関連、PPS事業はウエディング・卒業・入学イベント関連などが主力市場である。景気変動の影響を受けにくい安定収益源で、収益面では下期の構成比が高い特性がある。
空中結像技術を用いた新規事業のエアリアルイメージング(AI)事業も推進している。AIプレートだけで空中ディスプレイが可能となるシンプルな構造を特色として、サイネージ、車載、医療、操作パネル、飲食、アミューズメントなど、多方面の業界・業種から注目されている。基本技術を確立し、試作品の販売を進めながら、低コストと大量生産を可能にする本格量産技術(ファブレス形態で製造して自社ブランドで販売)の確立に取り組んでいる。
10月に開催された「CEATEC JAPAN 2017」では、量産を前提とした新製法による樹脂製AIプレートを展示した。新製法は樹脂に特殊な形状の成型を施したうえ、壁面蒸着を行う手法である。
また17年2月には、人工知能搭載ソーシャルロボット「unibo」を開発・製造・販売するユニロボットに出資して資本業務提携している。
■18年4月期はOEM供給の好調などで計画超の増収増益
今期(18年4月期)第1四半期(5~7月)の非連結業績は、売上高が前年同期比12.9%増収で、営業利益が4.7%増益、経常利益が5.4%増益、純利益が7.1%増益だった。PPS事業のOEM供給が好調に推移し、計画超の増収増益だった。
MDS事業は売上高が4.9%増の5億64百万円で、営業利益(全社費用等調整前)が1.8%減の1億52百万円だった。人件費などの増加で微減益だったが、主力の遺影写真加工収入が堅調に推移した。またAI事業とのコラボ製品であるAI焼香台も売上計上した。
PPS事業は売上高が15.6%増の7億93百万円で、営業利益が42.6%増の1億87百万円だった。NTTドコモ<9437>向けOEM供給がサービス浸透で好調に推移し、稼働率上昇も寄与した。プロフェッショナル写真家向けも順調に推移した。一般消費者向けの売上は想定を下回った。
AI事業は売上高が33百万円で営業利益が72百万円の赤字だった。大型サイズのAIプレートなどの売上が増加したが、国内外の展示会出展のための広告宣伝費や特許申請費用などが増加した。
■18年4月期はAI事業の費用増加で微減益予想
今期(18年4月期)非連結業績予想(6月9日公表)は売上高が前期(17年4月期)比4.7%増の56億96百万円、営業利益が3.7%減の7億71百万円、経常利益が3.6%減の7億76百万円、純利益が5.5%減の5億41百万円としている。
セグメント別売上高の計画は、MDS事業が3.7%増の25億16百万円、PPS事業が2.3%増の30億20百万円、AI事業が2.6倍の1億60百万円としている。MDS事業は遺影写真加工収入の着実な積み上げや葬儀演出ツールの伸長、PPS事業はOEMの伸長を見込んでいる。AI事業は中ロット案件の積み重ねに注力する。
AI事業における展示会出展費用や量産化技術開発費の増加、PPS事業における生産設備および人員の増強などで微減益予想としているが、保守的な印象が強い。第1四半期の好調を考慮すれば通期予想に上振れ余地がありそうだ。
■株主優待制度は毎年4月末に実施
株主優待制度は毎年4月30日現在の株主に対して、所有株式数に応じて自社サービス(マイブック)割引利用券を贈呈している。100株以上400株未満所有株主に対して1000円割引利用券1枚、400株以上2000株未満所有株主に対して1000円割引利用券2枚、2000株以上所有株主に対して1000円割引利用券3枚を贈呈する。
■株価は調整一巡感
株価は戻り高値圏2000円台から反落したが、1700円近辺で下げ渋り、調整一巡感を強めている。
10月24日の終値1748円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想EPS32円31銭で算出)は54倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は0.6%近辺、前期実績PBR(前期実績BPS274円56銭で算出)は6.4倍近辺である。時価総額は約305億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線が下値を支える形となりそうだ。調整一巡して戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)