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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】フライトHDは15年3月期の赤字を織り込み、16年3月期の収益改善期待で出直りの動き
- 2015/2/26 07:16
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
システム開発や電子決済ソリューションのフライトホールディングス<3753>(東マ)の株価は、2月13日に今期(15年3月期)業績減額修正を嫌気して491円まで急落しました。ただし切り返しの動きを強め、25日は前日比85円高の626円まで急伸する場面がありました。今期の赤字見通しを織り込んだ可能性があり、来期(16年3月期)の収益改善期待で出直りの動きを強めそうです。
フライトシステムコンサルティング(旧)が13年10月、持株会社に移行してフライトホールディングスに商号変更しました。事業承継した子会社フライトシステムコンサルティング(新)が、システム開発などのコンサルティング&ソリューション(C&S)事業、および電子決済ソリューションなどのサービス事業を展開しています。
電子決済ソリューションの分野では、スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末「インクレディスト」およびスマートデバイス決済専用アプリケーション「ペイメント・マスター」の展開を強化しています。決済専用アプリ「ペイメント・マスター」は、10年9月に提供開始した国内初のBtoB向け決済ソリューションです。
また14年10月にはECサイト構築パッケージソフト「イーシー・ライダー」を展開するDRAGON TECHNOLOGY(11月イーシー・ライダーに商号変更)を子会社化してECソリューション事業も強化しています。
14年9月にはフォウカスとスマートデバイスを用いたモバイルPOS決済システムで協業しました。12月には海外での「ペイメント・マスター」および「インクレディスト」の拡販に向けて米国子会社フライトUSAを設立しました。
2月12日発表の今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は売上高が前年同期比43.6%減の8億97百万円、営業利益が1億42百万円の赤字(前年同期は2億30百万円の黒字)、経常利益が1億34百万円の赤字(同2億27百万円の黒字)、純利益が1億34百万円の赤字(同1億92百万円の黒字)となりました。サービス事業で前期計上した大型案件の一巡などで大幅減収となり、各利益は赤字となりました。
通期連結業績見通しは2月12日に減額修正しました。前回予想(5月19日公表)に対して売上高を5億円減額して前期比16.3%減の16億円、営業利益を2億85百万円減額して85百万円の赤字(前期は1億79百万円の黒字)、経常利益を2億75百万円減額して95百万円の赤字(同1億65百万円の黒字)、純利益を2億62百万円減額して98百万円の赤字(同1億52百万円の黒字)としました。
減額修正要因として、C&S事業でエンジニア採用および外注パートナー確保に苦戦して堅調な引き合いに十分対応できていないこと、サービス事業でマルチ電子決済端末「インクレディスト」および決済専用アプリ「ペイメント・マスター」を利用する新規大口顧客向け案件が顧客側の都合で来期(16年3月期)にズレ込むこと、Windowsタブレット向け「ペイメント・マスター」に連携する他社製POSアプリケーションの準備が遅れていること、IC対応クレジットカード決済(EMV決済)の開発や電子マネーの対応範囲拡大が遅れていることがあるようです。
今後の取り組みとして、C&S事業でマイナンバー(社会保障・税番号)制度関連のシステム開発、サービス事業でマルチ電子決済端末「インクレディスト」および決済専用アプリ「ペイメント・マスター」のテスト稼働中顧客の全国展開、IC対応クレジットカード決済(EMV決済)の新規大口顧客案件対応、HP社「リテールケース」とマルチ電子決済端末「インクレディスト」を核にしたHP社との営業展開、決済専用アプリ「ペイメント・マスター」の他社供給、ECソリューション事業でECサイト構築パッケージ「EC-Rider B2B」の拡販を推進するとしています。
今期は赤字見通しですが、来期(16年3月期)は大型案件が寄与して収益改善が期待されます。
株価の動きを見ると、12月中旬に動意づく場面がありましたが買いが続かず、水準を切り下げて軟調展開です。2月13日には今期業績見通しの減額修正を嫌気して491円まで急落しました。ただしその後は切り返しの動きを強めています。25日は前日比85円(15.72%)高の626円まで急伸する場面がありました。今期の赤字見通しを織り込んだ可能性があるでしょう。
2月25日の終値は590円で、前期実績PBR(前期実績連結BPS59円06銭で算出)は10倍近辺です。日足チャートで見ると抵抗線の25日移動平均線、週足チャートで見ると抵抗線の13週移動平均線突破の動きを強めています。今期の赤字見通しを織り込んだ可能性があり、来期の収益改善期待で出直りの動きを強めそうです。