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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】朝日ラバーは今期営業減益を織り込み、16年3月期の営業損益改善期待で反発
- 2015/2/26 07:13
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
車載照明用ゴム製品の朝日ラバー<5162>(JQS)の株価は、2月6日の今期(15年3月期)営業利益減額修正を嫌気して16日の1210円まで下押しましたが、25日は終値で1300円台に戻しました。今期の営業減益を織り込み、来期(16年3月期)の営業損益改善期待で反発局面となりそうです。
自動車内装照明関連などの工業用ゴム製品、スポーツ用ゴム製品(卓球ラケット用ラバー)、医療・衛生用ゴム製品(点滴輸液バッグ用ゴム栓など)、機能製品のRFIDタグ用ゴム製品などを展開しています。
自動車関連の車載用小型電球の光源カラーキャップ「ASA COLOR LAMPCAP」や車載用LED照明の光源カラーキャップ「ASA COLOR LED」が主力製品です。車載用「ASA COLOR LED」は高級車向けに加えて、小型車や軽自動車向けにも採用が拡大しています。
シリコーンゴムや分子接着技術をベースにした製品開発力が強みです。新製品では分子接着技術を活用した機能製品RFIDタグ用ゴムの増産を進め、医療分野の新製品プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)用ガスケットの量産も開始しました。
またNEC<6701>のポータブルDNA解析装置向けマイクロ流体デバイスについては14年10月に量産を開始しました。マイクロ流体デバイスは分子接着技術を活用した製品で、NEC向け以外の複数案件も商談が進行中のようです。
2月10日発表の今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比8.4%増の45億46百万円、営業利益が同55.5%減の1億06百万円、経常利益が同54.9%減の1億17百万円、純利益が同16.9%増の1億69百万円となりました。
セグメント別売上高は、工業用ゴム事業が同10.0%増の36億67百万円、医療・衛生用ゴム事業が同2.4%増の8億79百万円と概ね好調に推移しましたが、プロダクトミックスの悪化、役員退職慰労引当金繰入額の計上などで営業減益、経常減益となり、受取保険金の特別利益計上で最終増益となりました。
通期の連結業績見通しは2月6日に、営業利益と経常利益を減額修正、純利益を増額修正しました。修正後の連結業績見通しは前回予想(11月10日に増額修正)に対して、売上高を据え置いて前期比6.6%増の60億50百万円、営業利益を1億68百万円減額して同53.9%減の1億32百万円、経常利益を1億46百万円減額して同48.0%減の1億54百万円、純利益を34百万円増額して同33.0%増の2億14百万円としました。
配当予想は前回予想(5月13日公表)を据え置いて、前期と同額の年間8円(第2四半期末3円、期末5円)としています。
売上面では、工業用ゴム事業において自動車関連製品の「ASA COLOR LED」が計画を上回る見通しですが、自動車関連製品のスイッチ用ゴム製品および機能製品のRFIDタグ用ゴム製品が顧客側の在庫調整の影響で計画を下回る見通しです。
営業利益と経常利益については、プロダクトミックスの悪化に加えて、役員退職慰労引当金繰入額1億07百万円を販管費に計上するため前回予想を下回る見通しです。純利益については、受取保険金1億14百万円の特別利益計上や、役員退職慰労金に対する繰延税金資産計上に伴う税金費用の減少で前回予想を上回る見通しです。
なお通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.1%、営業利益が80.3%、経常利益が76.0%、純利益が79.0%です。売上面では車載用の「ASA COLOR LED」が好調に推移しており、来期(16年3月期)は役員退職慰労引当金繰入額計上という特殊要因が一巡して営業損益の改善が期待されます。
14年5月発表の第11次3ヵ年中期経営計画(V-1計画)では、20年3月期を見据えた長期ビジョンを「AR-2020VISION」として、前半3ヵ年(15年3月期~17年3月期)を第1ステージ「V-1計画」、後半3ヵ年(18年3月期~20年3月期)を第2ステージ「V-2計画」としています。
中期経営方針は、既存事業の質・量の継続的成長(国内事業は質的成長、海外事業は量的成長)、新市場・新分野への事業展開、20年に向けた事業基盤の強化・整備としています。第1ステージ「V-1計画」の目標数値には17年3月期の売上高80億円(自動車分野37億円、医療分野13億円、ライフサイエンス分野16億50百万円、その他13億50百万円)、営業利益8億円を掲げ、設備投資計画は3期間累計で24億50百万円としています。成長分野への積極投資で中期的に収益拡大基調が期待されます。
株価の動きを見ると、14年11月の戻り高値3400円から反落して調整局面となり、2月6日の今期営業利益減額修正を嫌気して16日の1210円まで下押しましたが、その後は下げ止まり感を強めています。25日は終値で1300円台に戻しました。
2月25日の終値1305円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円05銭で算出)は27~28倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は0.6%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS705円77銭で算出)は1.8倍近辺です。
週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んで調整局面ですが、52週移動平均線近辺で下げ止まり感を強めています。調整のほぼ最終局面のようです。今期の営業減益を織り込み、来期の営業損益改善期待で反発局面となりそうです。