- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- 【アナリスト水田雅展の銘柄分析】サクセスHDは調整の最終局面、アベノミクス成長戦略が追い風で中期成長力を見直し
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】サクセスHDは調整の最終局面、アベノミクス成長戦略が追い風で中期成長力を見直し
- 2015/2/26 07:09
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
保育園運営のサクセスホールディングス<6065>(東1)の株価は、今期(15年12月期)減益見通しを嫌気する形で軟調展開ですが、調整の最終局面と考えられます。アベノミクス成長戦略が追い風であり、中期成長力を見直して反発展開が期待されます。
保育園を運営するサクセスアカデミーの持株会社で、病院・大学・企業などが設置主体となる事業所内保育室を受託運営する受託保育事業と、認可保育園・認証保育所・学童クラブ・児童館・全児童対策事業施設など公的保育施設を運営する公的保育事業を展開しています。売上規模で業界3位です。
従量制の請求方法や24時間365日の運営対応など、利用者の視点に立った最適な保育サービスを提供していることが強みです。受託保育事業では委託先の予算や要望に合わせた保育設計で、さまざまな利用定員数、施設場所、利用時間帯、保育内容などを実現しています。公的保育事業は利用者から徴収する利用料と自治体からの補助金が当社の収入となります。
14年12月期末時点の運営施設数は、受託保育事業が167施設(13年12月期末比5施設増加)、公的保育事業が88施設(認可保育園43施設、認証保育所5施設、学童クラブ等27施設、小規模保育等13施設)(同16施設増加)の合計255施設(同21施設増加)です。地域別には神奈川県と東京都を地盤としています。
成長に向けた重点戦略として、受託保育事業は広域エリアでの拡充、公的保育事業は首都圏中心の新規開園と小規模施設の運営を進め、施設運営の効率向上、人材確保・育成面でのジェイコムホールディングス<2462>グループとの連携強化、認可保育園開設用不動産の確保などを掲げています。24時間保育や英語教育の実施など高付加価値の保育サービスの提供、多様な保育需要に応じたサービスの提供も強化しています。
2月10日に発表した前期(14年12月期)の連結業績は、売上高が新規施設開設や利用者数増加で前々期比16.6%増の101億13百万円と計画を上回る増収となりましたが、新規施設開設費用や保育士募集採用費の増加で営業利益が同34.0%減の3億69百万円、経常利益が同3.3%減の6億82百万円、純利益が同1.0%減の3億96百万円となりました。
新規開設施設は28施設(受託保育12施設、認可保育園8施設、学童クラブ4施設、小規模施設4施設)で、セグメント別売上動向は受託保育事業が同4.7%増収、公的保育事業が同24.8%増収と好調に推移しました。経常利益と純利益については営業外収益での公的保育事業に係る設備補助金収入の増加が寄与しました。配当予想は同5円増配の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としました。
今期(15年12月期)の連結業績見通し(2月10日公表)は、売上高が前期比12.5%増の113億75百万円、営業利益が同36.8%減の2億33百万円、経常利益が同3.5%減の6億58百万円、純利益が同7.1%減の3億68百万円、配当予想が前期と同額の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としています。
引き続き新規施設開設などで増収見通しですが、新規施設開設費用、保育士募集採用費、人件費の増加で減益見通しとしています。経常利益と純利益については営業外収益での公的保育事業に係る設備補助金収入が寄与する見通しです。なお最もニーズが高い認可保育園については前期(8施設)を上回る新規開設を計画しているようです。
全国の保育所利用児童数は増加基調で、待機児童数は緩やかに減少傾向となっていますが依然として解消せず、潜在需要も顕在化して都市部を中心に保育サービスの需要は高水準です。そしてアベノミクス成長戦略では「女性活用推進」を重点分野に位置付け、17年度の待機児童解消を目指して「子ども・子育て支援新制度」「保育士確保プラン」「子育て支援員制度導入」など、規制緩和、制度面での支援、運営補助金拡大などの動きが活発化しています。
保育士採用難に加えて、毎年4月に新規施設開園が集中するため、第1四半期(1月~3月)および第2四半期(4月~6月)は費用負担が先行して営業損益は低水準となり、公的保育事業に係る設備補助金収入の増減なども影響して、四半期別の利益はデコボコしやすい収益構造ですが、国の重点政策を追い風とする中期成長シナリオに変化はないでしょう。規模拡大に伴って収益改善が期待されます。
株価の動きを見ると水準を切り下げて軟調展開が続いています。今期の減益見通しを嫌気する形で2月19日には1188円まで調整しました。ただしその後は1200円台を回復しています。調整の最終局面と考えられます。
2月25日の終値1227円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS70円36銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間配当30円で算出)は2.5%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS378円49銭で算出)は3.2倍近辺です。
週足チャートで見ると13週移動平均線が抵抗線の形ですが、アベノミクス成長戦略が追い風であり、中期成長力を見直して反発展開が期待されます。