【編集長の視点】神戸物産は連日の分割落ち後安値も温浴施設開業のインバウンド人気が底流し逆張りも一考余地
- 2015/2/26 10:23
- 編集長の視点
神戸物産<3038>(東1)は、130円安の4035円と続急落し、連日の株式分割権利落ち安値更新となっている。同社が多角化事業として展開している太陽光発電事業で、固定価格買取価格が、3年連続で引き下げられると伝えられたことをキッカケに売り増勢となっている。ただ同社は、今年5月に世界最大級の温浴施設「ホットラグーン大分」をオープン予定であり、2016年に北海道でも世界最大級の観光果樹園を開業することから、インバウンド(外国人観光客)関連人気も底流し、合わせ「六次産業『真』の製販一体」を目標とする同社独自のビジネスモデルや、今10月期業績の続伸予想・実質連続増配も評価される展開も想定され、突っ込み場面は逆張りも一考余地がありそうだ。
■新発見の新地熱源泉を利用し世界最大の足湯も併設
「ホットラグーン大分」は、大分県九重町で発見した地熱の新源泉を利用して世界最大の長さ300メートルなどの足湯も併設し、今年5月に開業、九州北部の新観光拠点として地域の観光客誘致を牽引する。また北海道森町には、2016年3月の北海道新幹線開業に合わせて世界最大級の「函館観光果樹園」をオープンする。同社は、この観光事業や国内小売業界で日本一の19カ所の自社食品工場による第2次産業、「業務スーパー」の積極展開による第3次産業、さらに太陽光・地熱・バイオマス発電の再生エネルギー事業などにより製販一体化を進め、3年後の2017年10月期に売り上げ3000億円、経常利益150億円の達成を目指している。
足元の業績も好調で、今2015年10月期業績は、売り上げ2230億円(前期比4.2%増)、営業利益61億円(同17.8%増)、経常利益55億円(同14.4%減)、純利益26億5000万円(同1.9%増)と連続の過去最高売り上げ・営業利益を見込んでいる。円安進行による原材料価格の上昇をフランチャイズ店を含む新規店舗の増加、25店舗の純増などでカバーするもので、経常利益は、前期計上のデリバティブ評価益の一巡で減益転換するが、純利益は、法人税の平準化で増益転換する。なお配当は、前期の80円(前々期実績70円)に対して、今期は50円と予定しているが、今年1月31日を基準日に実施した株式分割(1対2)を勘案すると実質20円の増配とする。
■25日線から8%強のマイナスかい離と売られ過ぎを示唆
株価は、株式分割と自己株式取得・消却、好決算の発表の好材料が積み上がり株式分割の権利取りで上場来高値1万1360円まで49%高し、昨年2014年の東証第1部年間値上がり率ランキングのトップに躍り出た。権利落ち後は25日移動平均線を上値限界として下値固めを続けてきたが、この2日間で25日線から8.4%のマイナスかい離と売られ過ぎを鮮明化しており、底値買い余地を示唆している。(本紙編集長・浅妻昭治)