【アナリスト水田雅展の銘柄分析】キャリアリンクの15年2月期は3回目の増額が濃厚、中期成長力を評価して上値追い

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 総合人材サービス事業のキャリアリンク<6070>(東1)の株価は強基調の展開です。16日の上場来高値2048円から利益確定売りで1600円台まで反落する場面がありましたが、25日には2月期末配当落ちにもかかわらず終値で前日比113円高の1914円と急伸しました。今期(15年2月期)業績は3回目の増額が濃厚と考えられます。中期成長力を評価する流れに変化はなく上値追いの展開が期待されます。

 官公庁・地方公共団体・民間企業向けのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)関連事業を主力として、企業等のコンタクトセンター(コールセンター)向けCRM(カスターマー・リレーションシップ・マネジメント)関連事業、一般事務職分野の一般事務事業、製造・物流分野の製造技術系事業など、人材派遣・紹介や業務請負などの総合人材サービス事業を展開しています。

 顧客の業務効率化や品質向上などを実現する企画提案型の人材派遣および業務請負が特徴です。特にBPO関連事業では、企画提案による顧客企業の業務効率化や業務処理の品質向上を強みとして、それらを実現するために「単なるスタッフ派遣」ではなく、経験豊富な社員をリーダーとして編成したチームを派遣する「チーム派遣」を特徴としています。顧客にとっては、自社による導入時の研修や導入後の業務指導などに係る負担が軽減され、発注から短期間で大量業務処理の稼働開始が可能になるというメリットもあります。

 BPO事業者からの受注を含めて、1000名を超える大型案件でも、稼働開始まで短期間で対応できるノウハウを有していることも強みです。スタッフに対してはキャリアパス制度などを活用して能力、満足度、出勤率、稼働率を高める仕組みを構築しており、こうした仕組みもチーム派遣や大型案件に対する短期間での対応を支えています。

 中期的な経営基盤強化に向けて、官公庁・地方公共団体関連の大型特需案件ならびに成長市場である民間BPO案件の受注活動を強化しています。またCRM関連事業では首都圏で稼動中の大型コンタクトセンターへの派遣拡大、戦略拠点の札幌支店や沖縄支店における新規案件獲得、一般事務事業では既存取引先企業への事務系派遣の拡大、製造技術系事業では製薬メーカー、食肉加工メーカーおよび機械部品メーカー等からの受注拡大を推進しています。そして業容拡大に向けて人材採用・育成も強化しています。

 今期(15年2月期)の業績(非連結)見通しは前回予想(9月22日に2回目の増額修正)を据え置いて、売上高が前期比17.7%増の136億54百万円、営業利益が同2.5倍の7億29百万円、経常利益が同2.5倍の7億20百万円、当期純利益が同2.6倍の4億26百万円としています。配当予想(9月30日に増額修正)は同2円増配の年間16円(期末一括=普通配当14円+創業20周年記念配当2円)としています。

 第3四半期累計(3月~11月)は、BPO関連事業の好調が牽引して前年同期比14.0%増収、同2.3倍営業増益、同2.4倍経常増益、同2.5倍最終増益の大幅増収増益となりました。そして通期見通しに対する進捗率は売上高が75.6%、営業利益が93.3%、経常利益が93.6%、当期純利益が95.1%と高水準です。

 通期の会社見通しを据え置いていますが、BPO関連事業では金融業界などの民間BPO案件を中心に受注が堅調であり、BPO大型案件の業務処理効率化で売上総利益率の改善も進展しています。通期3回目の増額修正が濃厚と考えられます。

 中期的にも事業環境は良好です。官公庁・地方公共団体関連では、財政健全化に向けた費用抑制の流れも背景として、官から民間への業務委託および移管の増加が予想されています。また民間企業関連では、コア事業への経営資源集中や固定費の変動費化の流れも背景として、業務のアウトソーシング化が一段と増加すると予想されています。

 マイナンバー(社会保障・税番号)制度も追い風となりそうです。当社の業務効率化に向けた企画提案力、1000名以上の大型案件でも稼働開始まで短期間で対応できるノウハウ、官公庁向け大型BPO案件の受注実績などから、マイナンバー制度関連でも当社が大型BPO案件を受注することが有望視されます。

 中期の経営目標値としては17年2月期の売上高200億円、売上高経常利益率6%を掲げ、人材採用・育成など業容拡大に向けた体制作りも着実に進展しています。広範囲な事業分野へ受注領域を広げており、M&Aも活用する方針を示しています。中期的に収益拡大基調が期待されます。

 なお株主優待制度については毎年8月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施しています。14年8月に優待内容の変更を発表し、従来の「100株以上保有株主に対してクオカード1000円相当」を「100株以上300株未満保有株主に対してクオカード1000円相当、300株以上保有株主に対してクオカード2000円相当」に変更しました。現金配当と株主優待を合算した総合利回りの向上を目指しています。

 株価の動きを見ると強基調の展開です。2月16日の上場来高値2048円から利益確定売りで1600円台まで反落する場面がありましたが、素早く切り返して25日には2月期末配当落ちにもかかわらず、終値で前日比113円(6.27%)高の1914円と急伸しました。

 2月25日の終値1914円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想EPS68円52銭で算出)は28倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績BPS289円26銭で算出)は6.6倍近辺です。

 日足チャートで見ると25日移動平均線近辺から切り返して強基調を確認した形です。また週足チャートで見ると13週移動平均線をサポートラインとする上昇トレンドです。今期業績見通しは3回目の増額が濃厚と考えられます。中期成長力を評価する流れに変化はなく上値追いの展開が期待されます。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  2. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…
  3. ■節約志向が市場を動かす?  日本の消費者は、節約志向と低価格志向を持続しており、これが市場に影響…
  4. ■投資家の心理を揺さぶる相場の波  日米の高速エレベーター相場は、日替わりで上り下りと忙しい。とく…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る