【アナリスト水田雅展の銘柄分析】クリーク・アンド・リバー社は15年2月期業績再増額の可能性や中期成長力を評価して切り返し

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 エージェンシー事業のクリーク・アンド・リバー社<4763>(JQS)の株価は、2月10日に戻り高値となる810円まで上伸しました。その後利益確定売りで一旦反落しましたが、今期(15年2月期)業績再増額の可能性や中期成長力を評価する流れに変化はなく、切り返し展開が期待されます。

 日本のクリエイティブ分野(映像・テレビ番組・ゲーム・Web・広告などの制作)で活躍するクリエイターを対象としたエージェンシー(派遣・紹介)事業、ライツマネジメント(著作権管理)事業、およびプロデュース(制作請負・アウトソーシング)事業を主力として、韓国のクリエイティブ分野、医療・IT・法曹・会計などの分野にも事業展開しています。

 日本のクリエイティブ分野では、13年8月公開のテレビ朝日開局55周年記念劇場公開映画「少年H」(モスクワ映画祭特別賞受賞)の制作を担当したことが評価され、番組制作請負事業が急拡大しています。今期(15年2月期)第2四半期累計(3月~8月)の当社制作番組は、レギュラーと特番を合わせて19本となりました。

 なお2月21日には、当社が制作・配給を担当している太田市合併10周年記念映画「群青色の、とおり道」(監督:佐々部清氏)を3月28日より、群馬県内4館にて先行公開、6月下旬より全国にて順次公開することを決定したと発表しています。

 新規分野として電子書籍取次事業、海外版権エージェント事業、そして「作家」「オンラインクリエイター」「建築」「ファッションクリエイター」エージェンシー事業にも展開し、13年12月にはアパレル業界に特化した人材派遣会社インター・ベルを子会社化しました。また14年9月にはクラウド関連サービスとして、クリエイティブプラットフォーム「Creators Ship(クリエイターズ・シップ)」のサービス提供を開始しました。

 今期(15年2月期)の連結業績見通し(9月25日に利益を増額修正)は売上高が前期比11.6%増の230億円、営業利益が同28.1%増の14億円、経常利益が同28.2%増の14億円、純利益が同42.5%増の7億円、配当予想(4月3日公表)が同1円増配の年間6円(期末一括)としています。

 全セグメントが好調に推移する見通しです。クリエイティブ分野(日本)は高付加価値のテレビ番組制作請負や大規模Webサイト制作請負などが増加基調で、新規事業も規模拡大に伴って順次収益化する見通しです。

 第3四半期累計(3月~11月)は前年同期比13.4%増収、23.5%営業増益、25.2%経常増益、57.5%最終増益となり、第3四半期累計として過去最高を更新しました。全セグメントが増収営業増益と好調に推移して、新規事業の先行費用などを吸収した形です。売上総利益率は32.2%で同0.5ポイント上昇し、売上高販管費比率は25.8%で同0.1ポイント低下しました。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.4%、営業利益が78.4%、経常利益が79.7%、純利益が88.4%と高水準です。新規エージェンシー事業の需要増に対応した拡大投資、ゲーム・アプリの自社開発・制作拠点拡充などの積極投資に加えて、医療分野が季節要因で第4四半期(12月~2月)が赤字となることや、IT分野で売上計上の期ズレが発生する可能性なども考慮して通期会社見通しを据え置いていますが、再増額の可能性が高いでしょう。

 中期成長戦略では既存事業で年率10~15%の成長を見込み、クラウド関連サービスを含めた新規事業分野の積み上げや収益化も寄与して、18年2月期売上高300億円、営業利益30億円をイメージしています。ロボット、バイオ、ファイナンシャル、シェフなどの分野への新規進出も想定しています。中期的に収益拡大基調が期待されます。

 株価の動きを見ると、2月10日に戻り高値となる810円まで上伸しました。その後利益確定売りで16日に686円、25日に695円まで反落する場面がありましたが、終値ベースでは700円台を維持しています。今期好業績見通しを評価する流れに変化はないでしょう。

 2月26日の終値713円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS33円02銭で算出)は21~22倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間6円で算出)は0.9%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS185円70銭で算出)は3.8倍近辺です。

 週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から反発してサポートラインの形です。今期業績見通し再増額の可能性や中期成長力を評価して切り返し展開が期待されます。

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