【アナリスト水田雅展の銘柄分析】東京個別指導学院は調整一巡して強基調に転換、16年2月期の収益拡大を評価して出直り

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 小中高校生向け個別指導学習塾を展開する東京個別指導学院<4745>(東1)の株価は、1月15日の直近安値335円から反発の動きを強め、2月26日には367円まで上伸しました。調整が一巡して強基調に転換する動きのようです。今期(15年2月期)好業績見通しや、来期(16年2月期)の一段の収益拡大を評価して出直り展開が期待されます。

 ベネッセホールディングス<9783>グループで、小中高校生向けの個別指導学習塾などを展開しています。14年2月期末時点の教室数(1対2形式の個別指導教室)は首都圏158教室、関西地区37教室、東海地区8教室、九州地区5教室の合計208教室です。14年2月期の小中高校生合計の期中平均在籍人数は13年2月期比8.6%増の2万3790人となりました。

 14年4月に中期経営計画「Shining☆2015」のローリングプランを発表し、目標数値として16年2月期の売上高169億円以上、営業利益23億円以上、教室数219教室、生徒数(4月末)2万4500人以上を掲げています。

 重点戦略は「品質強化による受験対応力強化」「小中学生比率の改善」「新教室の開校」「既存教室生徒数の増加」「マーケティング改革」として、Webマーケティングの積極活用、テレビCMの実施、ベネッセコーポレーションとの連携強化、自社コールセンターの強化、新規教室の開校、顧客の利便性や収益性の改善を目指した教室移転・リニューアル・増床、iPadを活用した映像学習の全教室導入、目的別・学力別・性格別完全オーダーメイド個別指導の強化などで新規入会者・在籍生徒数の増加を推進しています。

 14年4月には、通信教育と個別指導を連携した「進研ゼミ個別サポート教室」を全教室で実施し、ベネッセコーポレーションから「Benesseサイエンス教室」と「Benesse文章表現教室」を譲り受けました。8月にはインターネットによる個別指導「東京個別指導学院ネット教室」を開始しました。

 ベネッセコーポレーションの進研ゼミと当社の教室運営・個別指導のノウハウを融合させた新業態「クラスベネッセ」については、14年12月に「クラスベネッセ仙川」を開校しました。進研ゼミ会員の小学1年~中学3年を対象に、進研ゼミの教材を活用して1人の先生(コーチ)が生徒4人を指導する個別フォロー型学習サービスです。現事業モデルでは出店拡大が難しい地域にも展開して市場シェアを拡大することを狙いとしているため、今後の展開については直営とFCで全国規模の展開を目指すとしています。

 14年11月オリコンが発表した「オリコン顧客満足度ランキング2015高校受験個別指導部門(首都圏)総合部門」で2年連続1位となり、12月にはイードの教育情報サイト「リセマム」が実施した学習塾に関する顧客満足度調査「イード塾アワード2014高校生・大学受験生/個別指導」で3年連続の最優秀賞を受賞しています。

 今期(15年2月期)の業績(非連結)見通し(4月9日公表)は売上高が前期比10.1%増の157億72百万円、営業利益が同25.9%増の16億02百万円、経常利益が同25.6%増の16億05百万円、そして純利益が同23.4%増の9億10百万円としています。配当予想は同2円増配の年間8円(第2四半期末4円、期末4円)としています。

 第3四半期累計(3月~11月)は、授業料売上が好調に推移して前年同期比9.7%増収となり、コストの効率化・適性化も寄与して同53.8%営業増益、同53.5%経常増益、同59.1%最終増益と、収益が大幅に改善しました。新規教室開校、既存教室リニューアル、テレビCMなどのマーケティング戦略の効果で入会者数は同2.5%増の1万6372人、14年11月末時点の在籍生徒数は13年11月末に比べて5.1%増の2万7885人となりました。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高69.1%、営業利益32.2%、経常利益32.4%、純利益32.9%と低水準の形ですが、第1四半期(3月~5月)は卒業などで一時的に在籍生徒数が減少するのに対して、夏期講習なども寄与して第2四半期(6月~8月)以降の利益構成比が高い収益構造です。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)28億70百万円、第2四半期(6月~8月)44億84百万円、第3四半期(9月~11月)35億40百万円で、営業利益は第1四半期8億52百万円の赤字、第2四半期9億33百万円の黒字、第3四半期4億34百万円の黒字です。通期ベースでも好業績が期待されるでしょう。

 なお今期の新規教室開校については7教室の計画としていましたが、15年2月に麻生十番教室(東京都港区)および葛西教室(東京都江戸川区)を新規開校して合計10教室(新業態「クラスベネッセ」を含めると11教室)となりました。

 また15年3月に個別指導教室として川崎西口教室(神奈川県川崎市)を新規開校する予定です。これによって個別指導教室数は219教室となり、中期経営計画で16年12月期末の目標としていた教室数を早々に達成することになりました。来期(16年2月期)の一段の収益拡大が期待されます。
 
 少子化による学齢人口縮小で業界再編・淘汰の動きも活発化していますが、政府が打ち出している教育改革に伴う教育環境変化への不安・関心の高まりも背景として、個別指導学習塾への期待感は一段と高まっています。祖父母から孫への教育資金贈与非課税制度など国の政策も追い風となるでしょう。

 株価の動きを見ると、14年11月の戻り高値437円から反落して水準を切り下げましたが、1月15日の直近安値335円から反発の動きを強めています。2月26日には367円まで上伸しました。調整が一巡して来期の収益拡大を期待する動きのようです。

 2月26日の終値367円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS16円77銭で算出)は21~22倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は2.2%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS128円21銭で算出)は2.9倍近辺です。

 日足チャートで見ると戻りを押さえていた25日移動平均線を突破して上伸しました。また週足チャートで見ると戻りを押さえていた13週移動平均線突破の動きを強めています。調整が一巡して強基調に転換する動きのようです。今期の好業績見通しや、来期の一段の収益拡大を評価して出直り展開が期待されます。

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