ラ・アトレのカンボジア不動産開発プロジェクト(第1回)
- 2017/11/16 15:32
- 特集
中期計画初年度の業績進捗と中期計画
カンボジアで初、日本の上場デベロッパーがコンドミニアム開発を開始
ラ・アトレ<8885>(JASDAQ)は2017年4月、経済成長の著しいカンボジアで分譲タワーマンションの開発に乗り出した。カンボジアは、「中心部の地価が数年で倍になり」「出回るお金の85%がドル」(17年11月14日付の日本経済新聞・朝刊より抜粋)。中国や台湾などの企業の進出が増加し、すでにイオンモール<8905>(東証1部)なども出店しているが、日本の上場デベロッパーが分譲マンションを開発するのはこれが初めてだ。現地の他物件にはない「日本品質」を内装・外装の細部にまでこだわり、サービス面においても、コンシェルジュサービスや24時間セキュリティ体制により、高い資産価値を付加する計画で、長期にわたり現地駐在員などの安定的な賃貸需要が見込まれる。すでにアジア富裕層からの反応も集まっているという。同社の近況とカンボジアでの不動産プロジェクトをシリーズ5回で紹介する。
中心部の地価が数年で倍になる高成長国に「日本品質」で高い資産価値を
ラ・アトレは1990年に設立され、社名である「L’attrait」は、フランス語で「魅力」を意味する。リノベーションマンションなどの再生不動産販売事業では業界のパイオニアとして事業を拡大してきた。その後、専門性が強まる不動産業界にあって、いち早く事業の多角化に取り組み、現在では、新築マンションなどの新築不動産販売事業が約64%(2017年9月末現在)、再生不動産事業の売上げ構成比は約30%。さらに不動産管理事業、不動産証券化事業、不動産ソリューション事業などを展開する。インカムゲイン型の事業やキャピタルゲイン型の事業をバランスよく組み合わせることにより、ムリのない持続的な企業成長を続けている。中心部の地価が数年で倍になるカンボジアでの不動産開発プロジェクトも、こうした多角化とバランス型の展開のひとつである。
現在、推進中の3ヵ年中期計画(2017年12月期から19年12月期まで)では、既存事業の伸長に加え、このほど開始したカンボジアや、すでにグループ会社を置くタイの海外プロジェクトの収益化、さらに不動産周辺ビジネスなどの収益貢献、M&Aによる事業拡大などにより、一層の拡大を目指している。数値目標としては、計画到達年度・19年12月期の連結売上高120億円(初年度・17年12月期の計画は88億8500万円)、経常利益10億2000万円(同6億1000万円)、純利益7億700万円(同5億1100万円)を掲げて推進中だ。
同社にとって過去最高の経常利益を第3四半期で更新
11月14日に発表した17年12月期・第3四半期の連結業績(17年1月~9月累計)は、収益不動産の引渡しが順調に進んだことなどにより、売上高は63億6200万円(前年同期の約2.6倍)となり、経常利益は5億7000万円(前年同期は8700万円の赤字)で、同社にとって過去最高の経常利益を第3四半期で更新した。不動産管理事業では、保有不動産の入れ替え効果や、これまでの投資の成果が堅実に収益寄与した。
3ヵ年中期計画の初年度・17年12月期は9月までで進捗率90%台
17年12月期の通期の業績見通しは、期初に発表した数値を据え置き、中期計画と同じく売上高は88億8500万円(前期比87.4%の増加)、経常利益は6億1000万円(同2.9倍)、純利益は5億1100万円(同2.9倍)。第3四半期までの進捗率は、売上高の71.6%に対し、経常利益は93.5%に達した。営業利益ベースでも進捗率は91.6%に達した。12月期末配当は、通期計画の達成を見越して前期比1円増配し6円の予定。利益面での進捗率が大きいため、翌年度やその先を展望した用地取得などが計画を上回るペースで進めやすくなり、中期計画の達成に向けて余裕のある展開になっている。
カンボジアでのコンドミニアム開発プロジェクトは、日本の上場デベロッパーとしては初めてだ。この第3四半期にはプレセールを開始した。(シリーズ5回・次回に続く)