【編集長の視点】Wismettacは上場来安値から急反発、3Q売り上げの順調進捗を見直し割安直近IPO株買いが再燃

 西本Wismettacホールディングス<Wismettac、9260>(東1)は、前日16日に170円高の4080円と3日ぶりに急反発して引け、今年11月15日につけた上場来安値3910円からの底上げを鮮明化した。同社株は、今年9月29日に4750円を公開価格に東証第1部に新規株式公開(IPO)されたばかりで、日経平均株価が、6営業日続落したことにツレ安し上場来安値まで売られた。ただ、前日に日経平均株価が急反発したことから、今年11月13日にIPO後の初決算として発表した今2017年12月期第3四半期(2017年1月~9月期、3Q)の売り上げが、12月通期予想業績に対して順調な進捗率を示したことを見直し、下げた株ほど大きく戻すとする「リターン・リバーサル」を期待して割安直近IPO株買いが再燃した。日本の農水産物・食品の輸出額目標の1兆円を前倒して達成すると、安倍内閣が、今年8月に閣議決定し、来年度予算で概算要求されることも、同社のビジネス機会を拡大し成長可能性を高めるとしてフォローの買い材料視されている。

■海外の日本食レストランは9年間で3.7倍増と伸び閣議決定の輸出促進策もフォロー

 3Q業績は、四半期決算が初作成となるため前年同期比較はなく、売り上げ1289億9500万円、営業利益48億2000万円、経常利益44億6800万円、純利益23億5900万円で着地した。12月通期予想業績に対する進捗率は、利益が、北米での物流部門強化などで人員を増員し、販管費が増加したことなどから70.4%~70.8%にとどまったが、売り上げは、北米で現地通貨ベースで売り上げが順調に伸び、英国、香港の商品会社が、同社グループ会社となったことから76.1%と目安の75%を上回った。同社は、日本食、アジア食品・食材の輸出入・開発と外食産業、食品スーパーへの卸売りを行う「アジア食グローバル事業」と、フルーツや野菜などの青果物を輸入卸売り、食品メーカーや外食産業向けに食材を供給する「農水産商社事業」を主力事業として世界各国で展開しており、このうち北米地域の営業拠点は、今年9月末現在で23カ所、取扱商品は8400アイテムに達している。

 今2017年12月期通期業績は、アジア食グローバル事業の北米の売り上げ比率が88.0%に達し、為替換算レートを1ドル=100円(前期は108.84)円と円高想定としたことから、売り上げ1694億3400万円(前期比7.0%増)、営業利益68億3500万円(同6.7%減)、営業利益63億600万円(同8.9%減)、純利益33億4900万円(同17.6%増)と増収減益を予想している。足元で為替レートが、1ドル=113円台レベルまで円安・ドル高が進んでいるだけに上ぶれ着地期待も高まる

 なお、日本食は、2013年10月のユネスコによる和食の世界無形文化遺産登録以来、ブームから外国人が好きな料理の第1位を占めるなど世界の日常の食文化として定着しており、海外の日本食レストラン数も、2006年の約2万4000店が2015年には約8万9000店へ9年間で3.7倍増となった。このため政府は、2015年に7451億円となった輸出額の目標1兆円を2020年から2019年に前倒し達成することを閣議決定し、来年度に予算措置を講じる。Wismettacは、すでに大正9年(1920年)に米国ワシントン州に初の米国拠点のシアトル支店を開設し大正10年には海外向けプライベート商品「Shirakiku」を商標登録して展開を開始しており、パイオニア企業として日本食の輸出促進をリードするとともにビジネスチャンスを拡大させる。

■PERは15倍台でIPO株の投資鉄則の「小さく産んで大きく育てる」チャンス

 株価は、IPO時の資金吸収額が200億円を超えることが響いて公開価格を下回る4465円で初値をつけ、4035円安値まで売られたあと、公開価格に迫る上場来高値4665円まで買い直されたが、全般相場の続落とともに上場来安値3910円へ売り直され、下げ過ぎとして底上げ転換した。PERは、15倍台となお割り負けており、IPO株の投資鉄則の「小さく産んで大きく育てる」絶好のチャンスとなりそうだ。
(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■地域と共に築いた「鮪解体ショー」で世界一の舞台へ  銚子丸<3075>(東証スタンダード)は、同…
  2. ■速乾・吸水機能を備えたブラ&ショーツ、11月7日から応援購入受付  グンゼ<3002>(東証プラ…
  3. 日産自動車 日産 NISSAN
    ■経営再建計画の一環として保有資産を最適化、20年間の賃貸借契約で本社機能維持  日産自動車<72…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■売り方手仕舞いで需給改善が後押し  師走相場では、リスクの大きい銘柄であっても、逆日歩のつく信用…
  2. ■師走相場は最終レースさながら、勝ち負け分ける「掉尾の一振」に熱視線  師走である。礼節一点張りの…
  3. ■金利環境改善が銀行株に追い風、逆張りの買いも有力視  今週の当コラムは、銀行株に注目することにし…
  4. ■「トリプル安」も怖くない!?逆張りのバリュー株ローテーションからは銀行株になお上値余地  「神風…
  5. ■気温急低下がシーズンストック相場発進を後押し  今週のコラムでは、バリュー株選好の別の買い切り口…
  6. ■「押し」のAI株より「引き」のバリュー株選好で厳冬関連株の先取り買いも一考余地  「押してだめな…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る