ASIANSTARは下値固め完了感、17年12月期業績下振れ懸念を織り込んだ可能性

 ASIANSTAR(エイシアンスター)<8946>(JQ)は不動産関連事業を展開している。17年12月期第3四半期累計は大幅増収増益だった。通期も大幅増収増益予想である。第3四半期累計の進捗率が低水準のため通期予想下振れに注意が必要だが、株価は下値固め完了感を強めている。17年12月期業績下振れ懸念を織り込んだ可能性もありそうだ。

■国内と中国で不動産事業を展開

 陽光都市開発からASIANSTAR(エイシアンスター)に商号変更して不動産関連事業を展開している。16年5月に資本提携先を変更し、上海徳威企業および徳威国際(上海徳威企業の100%子会社)の2社と資本提携契約を締結した。

 投資用マンション「グリフィンシリーズ」企画・販売事業を一旦縮小し、国内の不動産管理・賃貸・仲介事業のストック型フィービジネスへ事業構造を転換した。14年2月には中国における不動産関連事業(サービスアパートメント運営管理事業、ワンルームマンション賃貸事業)へ進出し、国内では15年2月開始したリゾート開発事業も推進している。収益は大型案件によって変動しやすい特性がある。

 中期経営計画(17年12月期~18年12月期)では、資本提携先である上海徳威企業との協業、および収益不動産の仕入・販売体制をさらに強化することにより、不動産販売事業を拡大するとしている。さらに不動産販売事業と不動産管理事業のシナジー効果が見込めるインバウンド関連の新規事業(インバウンド戦略)を開始することで、グループとしての収益力向上を目指す。

 経営目標数値には、17年12月期売上高35億円、営業利益2億50百万円、純利益2億円、ROE9.2%、18年12月期売上高50億円、営業利益4億円、純利益3億円、ROE12.2%を掲げている。収益基盤および財務基盤を強固にすることで、配当の再開および株主優待の実施など将来の株主還元に繋げるとしている。

■17年12月期3Q累計は大幅増収増益

 11月10日発表した今期(17年12月期)第3四半期累計(1~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比27.5%増の13億37百万円、営業利益が3.7倍の61百万円、経常利益が43百万円(前年同期は32百万円の赤字)、そして純利益が26百万円(同38百万円の赤字)だった。

 中国のサービスアパートメント管理事業で終了したプロジェクトがあった影響で不動産管理事業が13.1%減収だったが、不動産販売事業が新築戸建て販売の増加で89.4%増収、不動産賃貸事業が所有不動産の増加や中国におけるワンルーム賃貸事業の本格稼働で47.5%増収、そして不動産仲介事業が8.2%増収と好調に推移した。

■17年12月期大幅増収増益予想

 今期(17年12月期)連結業績予想(2月16日公表)は売上高が前期(16年12月期)比2.6倍の36億33百万円、営業利益が43倍の2億59百万円、経常利益が2億44百万円の黒字(前期は3百万円の赤字)、純利益が21.1%増の2億05百万円としている。配当は無配を継続する。

 第3四半期累計の進捗率が低水準のため通期予想下振れに注意が必要だが、第4四半期(10~12月)にさらなる不動産販売の売上および利益の積み上げを目指すとしている。

■株価は17年12月期業績下振れ懸念を織り込んだ可能性

 株価は安値圏150円~160円近辺でモミ合う展開が続いている。ただし4月の年初来安値136円まで下押す動きは見られず下値固め完了感を強めている。17年12月期業績下振れ懸念を織り込んだ可能性もありそうだ。

 11月16日の終値150円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS11円44銭で算出)は13~14倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS116円22銭で算出)は1.3倍近辺、時価総額は約27億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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