【編集長の視点】フライトHDは年初来安値から続急伸、2Q上ぶれ着地業績を見直し「Pepper」関連人気もオン
- 2017/11/20 09:05
- 編集長の視点
フライトホールディングス<3753>(東2)は、前週末17日に24円高の748円と続急伸して引け、11月15日につけた年初来安値691円からの底上げを加速させた。今年11月9日に発表した今2018年3月期第2四半期(2017年4月~9月期、2Q)累計業績が、期初予想を上ぶれ減益転換率を縮めて着地したことを見直し、下げた株ほどよく戻るとする投資セオリーの「リターン・リバーサル」を期待して下げ過ぎ訂正買いが再燃した。人型ロボット「Pepper」のコンテンツ制作サービス「Scenaria(シナリア)」の本格サービスを開始、11月16日に展示会で案内業務をデモンストレーション展示し、11月17日には医療コミュニケーションシステムの共同研究開発をスタートさせたことも、材料株人気を高めている。
■「Incredist」の追加納品が寄与し「Scenaria」も本格サービス開始
同社の今期2Q累計業績は、期初予想より売り上げが4700万円下ぶれたが、利益は3200万円~4300万円上ぶれ、売り上げ10億5200万円(前年同期比1.4%増)、営業利益6300万円(同48.5%減)、経常利益7300万円(同33.3%減)、純利益5700万円(同40.9%減)で着地し減益転換率を縮小させた。直接の上ぶれ要因は、多機能モバイル決済端末「Incredist Premium」などモバイル決済ソリューション関連の開発費が当初計画を下回ったことだが、2Q累計業績自体は、サービス事業が、大口顧客向けに「Incredist」の追加納品があったことで前年同期比22.1%増収、36.0%営業増益と大きく伸びたが、コンサルティング&ソリューション事業が、前年同期の大型案件の反動や下期偏重の業績推移となったことで減収・営業損失と伸び悩み増収減益となった。
今3月期通期業績は、期初予想に変更はなく売り上げ25億円(前期比20.7%減)、営業利益2億6000万円(同56.0%減)、経常利益2億5000万円(同56.2%減)、純利益2億円(同50.9%減)と予想している。前期にApple Payの国内サービス開始に伴う特需で「Incredist」の大口案件が納入され、前期業績を期中に2回上方修正し、前期純利益が過去最高を更新しており、この一巡で今期業績を慎重に予想している。ただ、タブレット向けマルチ決済装置「Incredist Premium」では中国銀聯向けなど国際6ブランドのコンタクトレスEMVブランド認定をすべて完了し、「Scenaria」の本格サービスを開始したことなどから、前期業績や今期2Q累計業績と同様に期中の上ぶれ期待も高い。
なお「Scenaria」は、11月15日から開催の日本最大級の音と映像と通信の展示会「Inter BEE 2017」のTBSブースで、「Pepper」により展示物やトークセッションなどを案内し、同17日には東京慈恵会医科大学などと「Pepper」とAI(人工知能)を活用して医療従事者と患者関係者との間の情報共有、自然な対話などを促すコミュニケーションシステムの共同研究開発開始を発表した。
■年初来高値からの日柄・値幅調整のアク抜け感を強めまず9月高値にキャッチアップ
株価は、「Pepper」の業務提携に前期業績の再上方修正が続いて年初来高値1790円まで急騰し、今期業績の減益転換予想が響いて870円まで調整、今年8月9日発表の今期第1四半期の黒字転換業績で1080円高値までリバウンドしたが、北朝鮮を巡る地政学リスクへの懸念が波及して845円安値まで再調整して25日移動平均線での値固めを続け、ここに来て全般相場の急落が響き年初来安値691円へ突っ込んだ。年初来高値から日柄で7カ月強を経過し、値幅で61%の下落と日柄・値幅調整のアク抜けを示唆しており、急騰特性を再発揮して「リターン・リバーサル」、まず年初来高値からの調整幅の3分の1戻しとなる今年9月高値1080円へキャッチアップしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)