インテージHDの第2四半期連結業績は当初予想を上回る

■上期の投資費用の一部が下期にズレ込み、投資先からの受取配当金が増加

 インテージHD<4326>(東1)の第2四半期連結業績は、売上高229億41百万円(前年同期比7.0%増)、営業利益12億70百万円(同7.5%減)、経常利益14億69百万円(同7.2%増)、純利益10億08百万円(同10.3%増)となった。営業利益が減益となったのは、事業投資や研究開発を行ったことによる。

 売上高は計画を0.3%下回ったものの、営業利益は15.5%、経常利益は33.5%、純利益は44.1%と上回った。利益面で計画を上回ったのは、上期の投資費用の一部が下期にズレ込んだことと、主に投資先からの受取配当金が増加したことによる。

 セグメント別の業績は、マーケティング支援(消費財・サービス)の売上高は、パネル調査、カスタムリサーチ(既存)、カスタムリサーチ(Web調査)、コミュニケーション分野、海外、その他の全ての分野で増収となり、148億06百万円(同7.1%増)となった。営業利益はデータ価値向上、サービス領域の拡大を目指す投資により4億60百万円(同15.1%減)となった。

 マーケティング支援(ヘルスケア)の売上高は、カスタムリサーチ(既存)、カスタムリサーチ(Web調査)が減収となったもののパネル調査、CRО(医薬品開発業務受託機関)、その他は増収となったことで、53億88百万円(同5.7%増)となり、利益面ではアンテリオについて既存サービスの商品価値向上のための投資影響で6億35百万円(同11.2%減)となる。

 ビジネスインテリジェンスは、国内CG&S(消費財&サービス)、ヘルスケア、その他の全分野が増収となったことで、売上高27億46百万円(同8.9%増)、1億75百万円(同51.1%増)。

■通期連結業績予想は経常利益を1億50百万円、純利益を1億円上方修正

 通期連結業績予想については、第2四半期が利益面で計画を上回ったことから、経常利益を1億50百万円、純利益を1億円上方修正した。その結果、今期18年3月期連結業績予想は、売上高510億円(前期比6.3%増)、営業利益40億円(同6.3%減)、経常利益43億円(同2.1%減)、純利益29億円(同1.0%増)を見込む。

 事業別の業績予想は、マーケティング支援(消費財・サービス)は売上高332億円(前期比5.6%増)、営業利益19億90百万円(同16.6%減)と増収減益を見込む。
 マーケティング支援(ヘルスケア)は売上高115億円(同7.5%増)、営業利益15億30百万円(同3.1%増)と増収増益予想。
 ビジネスインテリジェンスも売上高63億円(同7.5%増)、営業利益4億80百万円(同20.5%増)と増収増益を見込む。

 好業績が見込まれることもあり、配当は20円を予想。なお、10月1日付で1対2の株式分割を実施していることから、実質2.5円の増配となる。
 配当性向は前期の24.3%から28.6%へ上昇する。将来的には、連結の配当性向は35%を目標としている。

■R&D経費は、前期の5億円から今期は10億円と倍増

 最新の第12次中期経営計画(18年3月期~20年3月期)では『“Take the Initiative”~データ活用の領域で先手を取れ~』をグループの基本方針としている。

 今後のグループの持続的な成長を確実にするため、「お客様の情報パートナーとなり、更に戦略パートナーへと進化する」ことを目指している。

 それを実現するための戦略としては、1)成長ドライバー創出に向けた研究開発体制の整備、2)ビジネス領域の進化とデータ価値向上の実現、3)働き方改革へのチャレンジを挙げている。

 現在の進捗状況としては、事業成長のための投資として“売上高R&D経費比率2%水準”を掲げている。そのため、R&D経費は、前期の5億円程度から今期は10億円程度と倍増している。

■R&Dセンターを設置し、グループ共通体制を構築

 そのような状況の中で、成長ドライバー創出に向けた研究開発体制の整備を行うために、インテージグループR&Dセンターを設置し、グループ共通体制を構築し、現場の課題を解決するために、R&Dセンターと現場を兼任する形でスタッフを集めている。17年10月にはホームページを開設し、オープンイノベーションを推進している。

■マーケティングへの活用を目指し、クロスコンパスと提携

 インテージグループが業務提携を行うクロスコンパスは、人工知能処理技術の活用による複数ソースのデータの統合、推計・予測などのモデル生成を実現できるAIプラットフォームの開発を目指している企業であり、同社の技術を用いてマーケティングの活用に向けた検証実験を実行している。

 また、ウェブレッジ社と提携し、生体情報を用いた次世代型マーケティング支援事業、ITサービスの品質評価及び品質向上支援事業に取組んでいる。
 提供するサービスは、スマートフォンを活用した生活者の視線・表情解析サービス(会場調査)。このサービスにより、動画広告の視聴評価や、サイトでの行動・コンテンツ注視率・表情評価などが可能となる。つまり、瞬間をとらえる情報となる。

 更に、インテージグループ内の業務効率化・自動化に向けてRPA(Robotic Process Automation)の検証を実施中である。そのため、アビームコンサルティング社をパートナーとして選定し、グループ企業のアスクレップでPОC(Proof Of Concept)を開始した。CRО(医薬品開発業務受託機関)業務の一部であるデータ収集、分類、集計、チェックリスト作成、メール送信、という一連のプロセスにおいてテストデータを用いたRPAのトライアル適用を実施し、今後は本番適用に向けた検証を開始していく。また、インテージの業務の一部業務における導入に向けた検証もスタートしている。
 更に、物体検知アプローチによるロゴや商品名の自動検知の技術なども検証する。

 同社では、データ活用の領域で先手を取るために、Intage Open Innovation Fundを16年10月に設立している。運用期間は5年、ファンド規模は50億円となっている。現在、クロスコンパス、ウェブレッジ等に投資している。

 次世代パネル構想として、2020年に向けて新しい時代に向けた新たなSRI(全国小売店パネル調査)をフルモデルチェンジすることが喫緊の課題となっている。そのため下期以降投資を加速するとしている。次世代パネルの仮称はCensus-Hybrid SRI、2019年にデータ提供予定である。SRIの精度を高めることで、メーカーや小売りチェーンなどの戦略立案を強力にサーポートする。

 具体的な経営計数目標として、2020年3月期連結売上高620億円、連結営業利益率8%水準の達成(2018年3月期より3カ年)、事業成長のための投資として、売上高R&D経費比率2%水準(従来は1%水準)、配当性向35%(2020年3月期)を掲げている。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  2. ■2024年度上半期163件で過去最多更新  人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクの…
  3. ■新たなモビリティ社会実現に向けた取り組み加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は10月…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る