サンコーテクノの第2四半期連結業績は3期振りに増収となる

■金属系あと施工アンカーは各種設備工事の需要が回復、接着系あと施工アンカーはほぼ底入れ

 サンコーテクノ<3435>(東2)は24日、第2四半期の決算説明会を開催した。

 同社の第2四半期連結業績は、売上高75億34百万円(前年同期比3.7%増)、営業利益4億21百万円(同1.2%減)、経常利益4億24百万円(同5.8%増)、純利益2億64百万円(同4.7%増)と3期振りに増収となったが、営業利益については、先行投資が嵩み営業利益率が前年同期の5.9%から5.6%となり減益となった。しかし、経常利益、純利益は為替差益があったことから、増益となった。

 ファスニング事業に関しては、金属系あと施工アンカーは、各種設備工事の需要が回復していることから、前年同期比で4.6%の増収となった。接着系あと施工アンカーは、太陽光特需の反動減と、耐震工事等の減少による影響もあったが、ほぼ底入れとなったことで1.0%の減収となった。各種工事関連は、停滞していた太陽光関連の工事が進捗したほか、西日本を中心に独自工法の受注が増加したことで、22.0%の増収となった。その結果、売上高57億60百万円(同5.3%増)、セグメント利益6億82百万円(同6.2%増)と増収増益となった。

 機能材事業については、アルコール測定機関連はタニタとの共同開発したST-3000の販売が好調になったことにより40%の増収となった。電動油圧工具関連は国内販売が低調に推移したことで8.5%の減収となった。FRPシート関連は微増となった。その結果、17億73百万円(同1.4%減)、セグメント利益2億13百万円(同5.2%減)であった。

 海外の売上高については、東南アジアでは堅調に推移したが、北米は減収となった。欧州では、電動油圧工具が順調であった。その結果、売上高4億67百万円(同5.0%増)となった。

 第2四半期のトピックスとしては、自社開発のテクノスターAT・RTシリーズを国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録したことが挙げられる。
 また、東京ビッグサイト、インテックス大阪で開催された「接着・接合EXPO」にe-シートクイック、オートグリップを展示した。
 さらに、3億50百万円を投資して、経営資源の集約や業務の効率化・拡大を目的に、流山事業所管理部門と機能材本部、株式会社スイコ―(営業・資材部門)を集約する「新ものつくりテクニカルセンター」を5月15日完成した。

 第2四半期は、ファスニング事業の売上が回復傾向に向かったことから、増収となったこともあり、通期連結業績予想は、売上高163億円(前期比5.2%増)、営業利益12億円(同6.7%増)、経常利益11億90百万円(同6.3増)、純利益8億円(同1.1%増)と3期ぶりの増収増益を見込んでいる。

 外部環境については、プラス面としては、民間・公共設備が堅調に推移していること、高度成長期に完成したインフラの老朽化により、補修・保全工事が増加していること、また、2020年の東京オリンピック関連事業が、首都圏を中心に活発化していること等が挙げられる。

 事業環境は良好なことから、あと施工アンカーの需要は増加するものと見ている。その様な状況なので、現場営業を強力に進めてスペック受注につなげることで売上を伸ばす計画。

 マイナス要因としては、慢性的な技能労働者の人手不足による建築着工量の伸び悩みがある。更に、資材価格の上昇や物流コストの増加による影響もある。

 同社としては、施工性に優れた製品を開発することで、熟練者でなくても安定した施工ができるような製品の開発で対応する。また、資材・物流コストの上昇に対しては、原価低減努力・製造コストの見直し等により、利益の確保を見込む方針。

■設計段階から同社製品を使用するような川上(設計折込)営業を推進

 中期経営ビジョンとしては、現場力アップを掲げ、現場での営業活動を進めるとしている。例えば、ファスニング事業では、土木工事現場での課題、ニーズを取り込み、課題を解消する製品を作り出すことで、設計段階から同社製品を使用するような川上(設計折込)営業を推進していく方針。

 事例として、ジェットファンをトンネルの天井部分に取り付ける際に、同社が開発したメタルセーフアンカー、また、鉄道トンネル内でも電波が届くように、不感知対策工事特注品としてメタルロックアンカーがスッペック採用された例が紹介された。

 このような現場活動を進めることで、現在、建築と土木関連の売上比率が7対3となっているが、今後は、建築関連の売上高を下げずに、土木関連製品の売上を伸ばす計画で、既に、各種工事関連の売上構成は、3対7と比率が逆転している。

 機能材事業に関しては、電動油圧工具関連は、国内では30%のシェアを持っている。国内の売上を伸ばすと共に、海外市場への進出に注力する方針。

 アルコール測定器は、市場の10%のシェアを持っているが、将来的には、20%までに伸ばす計画。これまでの物流分野に加え、公共交通機関にも拡販し、販売だけでなく、その後のメンテナンスにも注力する。

 3期振りの増収となったことから、市場環境は改善しつつある。今後は、2020年までは投資活動をつづけ、地方の建築に合わせ投資を行うとしている。既に、札幌では、支店を移転し、需要拡大に対応している。

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