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ヨコレイは反落したが下値限定的、18年9月期大幅営業増益・増配予想
- 2017/11/29 07:58
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ヨコレイ(横浜冷凍)<2874>(東1)は冷蔵倉庫の大手である。低温物流サービスの戦略的ネットワーク構築に向けて積極投資を継続し、食品販売事業はノルウェーHI社と資本業務提携して業容拡大戦略を推進している。17年9月期営業利益は横ばいだったが、18年9月期は大幅営業増益・増配予想である。株価は決算発表を機に乱高下して反落する形になったが、下値は限定的だ。目先的な売り一巡して戻りを試す展開が期待される。
■冷蔵倉庫事業と食品販売事業を展開
冷蔵倉庫事業および食品販売事業を展開している。17年9月期セグメント別売上高構成比は冷蔵倉庫事業16%、食品販売事業84%、営業利益(連結調整前)構成比は冷蔵倉庫事業74%、食品販売事業25%、その他1%だった。収益面では、冷蔵倉庫事業は倉庫稼働率、食品販売事業は水産品・畜産品・農産品の市況や季節要因の影響を受ける特性がある。
冷蔵倉庫事業は低温物流サービスの戦略的ネットワーク展開に向けて積極投資を継続し、新物流センターが順次稼働して収益拡大に貢献している。17年6月には埼玉県・幸手物流センターが竣工した。18年2月には京浜島物流センター(仮称)が竣工予定である。また福岡市アイランドシティ港湾関連用地4工区E区画を取得(18年3月引き渡し予定)している。海外はASEAN地域へ積極展開し、タイヨコレイ全体の保管収容能力はタイ国内トップシェアである。
食品販売事業はノルウェーの大手水産加工会社ホフセスインターナショナル(HI社)と包括的業務提携し、アトランティックサーモン等の加工製造販売など業容拡大を推進している。17年7月にはグループの水産会社アライアンスシーフーズが、マレーシアの海老養殖事業会社AGROBEST社と包括業務提携契約を締結した。海老養殖事業に参入する。
第5次中期経営計画「Flap The Wings 2017」では、目標数値として17年9月期売上高1650億円、営業利益57億円(連結調整前の冷蔵倉庫事業56億65百万円、食品販売事業20億67百万円)、経常利益57億円、純利益32億円、ROE5.1%、配当性向40%、EBITDA100億円、自己資本比率52.0%を掲げ、配当性向は40%以上維持を目標としている。
■17年9月期は営業利益横ばい
前期(17年9月期)の連結業績は、売上高が前々期(16年9月期)比7.0%増の1590億45百万円、営業利益が0.2%増の51億79百万円、経常利益が1.7%増の54億33百万円、純利益が14.6%増の33億60百万円だった。配当は前々期と同額の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)とした。配当性向は31.1%となる。
冷蔵倉庫は売上高が2.3%増の253億31百万円だが、営業利益が1.0%減の56億95百万円だった。冷凍食品や農産品の入庫が増加し、タイの連結子会社の業績も回復基調だったが、子安物流センターおよび神戸物流センターの閉鎖、物流センター新設に伴う減価償却費の増加や立ち上がり時の一時経費の発生などで減益だった。
食品販売は売上高が8.0%増の1336億55百万円で、営業利益が17.6%増の19億04百万円だった。連結子会社アライアンスシーフーズにおけるノルウェーのアトランティックサーモン事業やトラウト養殖事業が貢献した。国内事業では畜産品の利益率が改善した。ノルウェー養殖会社買収に伴うのれん償却の増加を吸収して2桁増益だった。
■18年9月期は大幅営業増益・増配予想
今期(18年9月期)の連結業績予想(11月14日公表)は売上高が前期(17年9月期)比2.5%増の1630億円、営業利益が35.1%増の70億円、経常利益が28.8%増の70億円、純利益が19.0%増の40億円としている。配当予想は3円増配の年間23円(第2四半期末10円、期末13円)で、予想配当性向は30.1%となる。
第6次3ヶ年中期経営計画「Growing Value 2020」をスタートし、さらなる質の向上と量の拡大を図る方針だ。好業績を期待したい。
なお11月27日には、トラック待機問題の軽減・解消を主たる目的として、自社専用のトラック予約受付システムを開発し、17年12月から協力運送会社とともに試験導入を開始すると発表した。
■株主優待は毎年9月末に実施
株主優待制度は、毎年9月30日現在の1000株以上保有株主に対して実施している。優待内容は1000株以上~3000株未満保有株主に対して鮭切身詰め合わせ、3000株以上保有株主に対して北海道産ホタテ・いくらセットを贈呈する。
■株価は下値限定的
株価は決算発表を機に乱高下して反落する形になったが、下値は限定的であり、ボックスレンジ下限で下げ渋る動きだ。
11月28日の終値1050円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS76円51銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間23円で算出)は2.2%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1298円88銭で算出)は0.8倍近辺である。時価総額は約561億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、ボックスレンジ下限で下げ渋る動きであり、目先的な売り一巡して戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)