マーキュリアインベストメントはモミ合い上放れの動き、17年12月期予想を増額修正、12月18日付で東証1部へ市場変更

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 マーキュリアインベストメント<7190>(東2)は、ファンド運用事業および自己投資事業を展開している。11月27日に17年12月期業績予想の増額修正、12月18日付での東証1部への市場変更承認、および公募増資・売り出しを発表している。株価はモミ合い上放れの動きを強めている。

■ファンド運用事業および自己投資事業を展開

 国内外投資家の資金を投資事業組合等のファンドを通じて運用するファンド運用事業、および自己資金を運用する自己投資事業を展開している。

 05年10月あすかDBJ投資事業有限責任組合(1号ファンド)を組成、13年8月ADC Fund 2013(2号ファンド)を組成、16年8月マーキュリア日本産業成長支援投資事業有限責任組合(3号ファンド)を組成した。また香港の子会社Spring Asset Management Limitedが管理・運営するSpring REITは13年12月香港証券取引所に上場した。

 投資先の発掘に関しては独自のネットワークに加えて、国内外で広いネットワークを有し、また主要株主でもある日本政策投資銀行、伊藤忠商事、および三井住友信託銀行とのアライアンスで、多様な収益機会を捕捉している。

■クロスボーダーを基本コンセプトとして成長分野中心に投資・運用

 投資先の企業価値向上を通じて投資家に対するリターンの最大化を実現するべく取り組んでいるが、決して短期的な利益を追求せず、クロスボーダーを基本コンセプトとして成長性や収益性に着目し、世界に広がる成長分野での有望な投資対象の発掘や成長可能性に対する投資を中心に、成長投資戦略、バリュー投資戦略、バイアウト・承継投資戦略、不動産投資戦略、キャッシュ・フロー投資戦略などに基づく運用を行っている。

 成長投資戦略、バリュー投資戦略、バイアウト・承継投資戦略は、成長ステージや承継ステージに位置する企業などのエクイティ・ホルダーとなり、経営陣とともに事業成長や将来を考えた企業価値向上を図ることで、投資家のリターンを高める。

 不動産、航空機リース、インフラファンドなどのキャッシュ・フロー投資戦略は、物が使用される対価として支払われるキャッシュ・フローに着目し、それを確実に受け取ることができる金融商品とすることで、投資家に安定的なリターンを提供する。

 16年12月期末の運用資産残高は、成長投資戦略245億円、バリュー投資戦略12億円、バイアウト投資戦略32億円、不動産投資戦略/キャッシュ・フロー投資戦略1510億円、合計1799億円だった。

■収益はファンド運用事業の成功報酬によって変動する特性

 ファンド運用事業の収益は、ファンド管理運営業務の対価として運用資産残高と報酬料率に応じて受け取る管理報酬、および運用実績の良否によって変動する成功報酬である。自己投資事業の収益は、当社が管理運営を行うファンドへの自己投資に伴う持分損益の取り込み、および直接投資対象からの配当金・売却益である。

 営業収益(売上高)はファンド運用事業の成功報酬によって変動する特性が強い。16年12月期の営業収益はファンド運用管理報酬が15億62百万円、ファンド運用成功報酬が3億73百万円、自己投資・その他が5億86百万円だった。

 16年12月期営業収益のうちSpring REITからの収益が約37%を占めているため、Spring REITへの依存度を下げて収益基盤を拡大することが課題として、16年8月にバイアウト・承継投資戦略ファンドのマーキュリア日本産業成長支援投資事業有限責任組合(3号ファンド)を組成している。

 利益還元については配当を基本として、配当性向30%程度を目安とするが、成功報酬等による損益への影響が大きいため、単年度損益の影響を抑制し、配当の安定性を高めるために、当面は対象利益指標を修正当期純利益(5年平均の親会社株主に帰属する当期純利益、13年12月期以前は未監査のため除く)を目安とする。そして今後は当期純利益の成長を通して配当水準を引き上げることを目指すとしている。

■17年12月期増額修正して大幅増収増益予想

 11月13日発表した今期(17年12月期)第3四半期累計の連結業績は、営業収益が前年同期比72.3%増の33億56百万円、営業利益が73.7%増の18億42百万円、経常利益が77.2%増の18億37百万円、純利益が78.4%増の12億93百万円だった。PJ SweepのExitによる成功報酬も寄与して大幅増収増益だった。営業収益の内訳はファンド運用管理報酬が13億12百万円、ファンド運用成功報酬が16億55百万円、自己投資・その他が3億90百万円だった。
 
 通期の連結業績予想は11月27日に増額修正した。営業収益は2億50百万円増額して前期(16年12月期)比50.7%増の38億円、営業利益は2億円増額して56.3%増の20億円、経常利益は2億50百万円増額して60.3%増の20億円、純利益は1億50百万円増額して63.9%増の14億円とした。ファンド運用事業において一部成功報酬の金額および期間帰属が見込まれるとしている。配当予想は未定としている。

■新ファンドの立ち上げ推進

 今後の戦略として、新ファンド立ち上げ、ファンドにおける新規投資の実行、成功報酬の最大化を推進する。そして事業内容についてのIR(投資家向け広報)の充実も強化する。

 新ファンドでは、17年12月期にキャッシュ・フロー投資戦略の航空機リースファンドを設立予定だ。設立後1年間でファンドサイズ100億円獲得を目指す。また不動産投資戦略/キャッシュ・フロー投資戦略の事業用不動産ファンド、インフラファンド、再生可能エネルギー関連ファンドなど、安定したキャッシュ・フローを投資家に還元できる新ファンドの組成も目指す。

 事業用不動産ファンドでは香港Spring REITが、伊藤忠商事の子会社で英国最大のタイヤサービスチェーンのKwik-Fit社が賃借して営業中の84の商業施設(資産評価額は約107億円)を組み入れた。

 ファンドにおける新規投資の実行では、16年8月組成のマーキュリア日本産業成長支援投資事業有限責任組合(3号ファンド)が既に2件の投資を実行している。また11月10日にはツノダ<7308>に対するTOB、11月14日には人工衛星のライドシェアビジネスを目指す米LO社への出資を発表している。

 成功報酬の最大化では、第1四半期にPJ SweepをExitしたが、05年10月組成したあすかDBJ投資事業有限責任組合(1号ファンド)の満期が近づいているため、投資案件のExitを進め、成功報酬の最大化を目指す。

■株価は調整一巡して出直り期待

 11月27日に、12月18日付での東証2部から東証1部への市場変更が承認された。そして公募増資(新株発行250万株)および売り出し(90万株)を発表した。またオーバーアロットメントによる売り出しは51万株である。

 株価は1400円~1600円近辺でモミ合う形だが、11月28日には1628円まで上伸してモミ合い上放れの動きを強めている。

 11月28日の終値1590円を指標面で見ると、今期予想連結PER(公募増資後の会社予想連結EPS101円21銭で算出)は15~16倍近辺である。時価総額は約218億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を突破して先高感を強めている。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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