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LIFULLは調整一巡して戻り試す、18年9月期実質大幅増収増益予想
- 2017/12/1 07:55
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
LIFULL<2120>(東1)は、不動産・住宅情報総合サイト「LIFULL HOME‘S」運営など不動産情報サービス事業を主力に、生活関連領域への事業展開を加速している。18年9月期(12ヶ月決算、17年9月期は6ヶ月決算)は実質大幅増収増益予想である。中期的にも収益拡大が期待される。株価は調整一巡して戻りを試す展開が期待される。
■不動産情報サービスが主力、生活関連領域への事業展開を加速
17年4月に旧ネクストが現LIFULLに社名変更し、ブランド名も変更した。現社名のLIFULLは「世界中のあらゆるLIFE(暮らし、人生)をFULL(満たす)」という意味の造語である。
日本最大級の掲載件数を誇る不動産・住宅情報総合サイト「LIFULL HOME‘S」運営が主力のHOME‘S関連事業、14年買収したスペインのTrovit社が展開する世界最大級のアグリケーションサイト「Trovit」運営などの海外事業、その他事業(LIFULL介護、LIFULL引越しなどの運営)を展開している。
中期経営計画では「世界一のライフデータベース&ソリューションカンパニー」を目指し、目標数値に20年売上収益500億円台、EBITDA(償却前営業利益)率20%前後を掲げている。不動産情報サービス事業を主力に、M&Aも活用して周辺の生活関連領域への事業展開を加速する。また中期的に加盟店数4万店舗(17年9月現在2万3841店舗)を目指している。
中古住宅市場活性化への取り組みとして、17年1月JGマーケティング(現LIFULL Social Funding)を子会社化した。不動産投融資型クラウドファンディング事業を加速する。17年6月には、楽天<4755>と共同で楽天LIFULL STAYを設立し、国内民泊事業に参入した。そして11月29日に民泊・簡易宿泊所向けブランディングおよび運用代行サービス「Rakuten STAY」の提供を開始した。17年7月には、国土交通省の全国版空き地・空き家バンク構築運営に関するモデル事業「LIFULL HOME‘S 空き家バンク」への自治体からの参加受付を開始した。全国の空き家バンクのプラットフォーム化を目指している。
11月21日には、東南アジアでIoT家具ブランドを運営するKAMARQ HOLDINGS(シンガポール)への出資(出資金額約4億円)を発表した。
なお収益面では、不動産情報サービス事業を主力としているため、1~3月が繁忙期となる季節要因がある。
■17年9月期(6ヶ月決算)は社名・ブランド変更費用などで実質減益
前期(17年9月期、決算期変更で17年4月~9月の6ヶ月決算)連結業績(IFRS)は、売上収益が159億48百万円、営業利益が10億16百万円、親会社の所有者に帰属する当期純利益が4億89百万円だった。EBITDA(償却前営業利益)は15億36百万円だった。配当は82銭(期末一括)とした。配当性向は19.9%である。
前年同期間(16年4月~9月)との比較で、売上収益は15.9%増収、EBITDAは47.8%減益だった。EBITDAは大幅減益だが、人件費や費用の未消化で計画(6億62百万円)を大幅に上回った。
17年4月の社名・ブランド変更に伴う広告宣伝費の戦略的投資、移転に係る一時費用の発生、従業員数増加に伴う人件費増加などで、EBITDAが一時的に大幅減少する形となった。ただし売上収益はHOME‘S関連事業が牽引し、2四半期(6ヶ月)ベースで6期連続過去最高となった。増収基調に変化はない。
サービス別の売上収益は、HOME‘S関連事業が16.6%増の132億88百万円、海外事業が9.1%増の17億18百万円、その他事業が20.1%増の9億41百万円だった。HOME‘S関連事業では、顧客ネットワークが拡大して顧客数が15.3%増の2万6492件、ARPA(1顧客当たり売上高)が営業努力などで4.4%増の8万7329円となった。海外事業はユーロ高・円安も寄与した。その他事業は新規連結も寄与した。
■18年9月期(12ヶ月決算)は実質大幅増収増益予想
今期(18年9月期、17年10月~18年9月の12ヶ月決算)の連結業績予想は、売上収益が410億円、営業利益が50億円、親会社の所有者に帰属する当期純利益が34億78百万円としている。EBITDA(償却前営業利益)は60億16百万円としている。配当予想は未定だが、配当性向20%を基準に実施するとしている。
前年同期間(16年10月~17年9月)との比較では、売上収益が27.7%増収、EBITDAが54.0%増益となる。顧客数が順調に増加して実質大幅増収増益予想である。サービス別売上収益の計画は、HOME‘S関連事業が24.3%増の334億41百万円、海外事業が44.8%増の48億34百万円、その他事業が45.9%増の27億23百万円としている。
■株価は調整一巡して戻り試す
株価は10月3日の年初来高値1005円から反落したが、11月13日の直近安値784円から切り返して戻り歩調だ。11月30日には937円まで上伸した。
11月30日の終値919円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS29円30銭で算出)は31~32倍近辺、時価総額は約1092億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線と13週移動平均線を回復した。調整一巡して戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)