- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- 立花エレテックは上場来高値圏、18年3月期2Q累計が計画超で通期も増額の可能性
立花エレテックは上場来高値圏、18年3月期2Q累計が計画超で通期も増額の可能性
- 2017/12/1 07:51
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
立花エレテック<8159>(東1)は産業用機器・電子部品などを扱う技術商社である。18年3月期第2四半期累計は計画超の大幅増益だった。通期予想も増額の可能性が高いだろう。なお18年3月期末から株主優待制度を導入する。株価は上場来高値圏だ。自律調整一巡し、好業績を評価して上値を試す展開が期待される。
■産業用機器・電子部品を扱う技術商社
産業用機器・電子部品などを扱う技術商社である。仕入先は三菱電機<6503>および三菱電機グループが合計で約7割を占め、外資系半導体メーカー、ルネサスエレクトロニクス<6723>が続いている。M&Aも積極活用して国内外で業容を拡大している。海外は子会社8社合計14拠点で、中国および東南アジアに展開している。
17年3月期のセグメント別売上高構成比(18年3月期からの新セグメントに組み替え後)は、FAシステム事業59%(FA機器39%、FAシステムソリューション9%、産業メカトロニクス4%、産業デバイスコンポーネント7%)、半導体デバイス事業(半導体、電子デバイス)30%、施設事業(空調機器、LED照明、太陽光発電システム、昇降機)9%、その他(MS事業・他)4%だった。MS(マニュファクチャリング・サービス)事業は、金属加工の製造受託(MMS)と電子機器の製造受託(EMS)を統合した事業である。海外事業売上比率は13.9%だった。
収益面では全体として企業の設備投資動向が影響し、第2四半期(7~9月)および第4四半期(1~3月)の構成比が高くなる季節特性もある。
技術商社の強みを活かして海外ビジネスの拡大、グループシナジーの追求、事業領域の拡大、営業力強化と体質改善を推進している。6ヶ年中長期経営計画「C.C.J2200」では、2021年の創立100周年を見据えて確固たる基盤を持った電機・電子の一大技術商社を目指し、目標数値に21年3月期連結売上高2200億円(単体1400億円、国内子会社460億円、海外子会社440億円、消去100億円)、連結営業利益75億円を掲げている。
■18年3月期2Q累計は計画超の大幅増益
今期(18年3月期)第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比9.1%増の829億42百万円で、営業利益が21.3%増の27億29百万円、経常利益が30.9%増の29億12百万円、純利益が29.9%増の20億01百万円だった。
需要が高水準に推移して、計画超の大幅増益だった。上期として過去最高益を更新した。売上総利益率は13.3%で0.1ポイント上昇、販管費比率は10.1%で0.2ポイント低下した。営業外では為替差損益が改善した。
セグメント別に見ると、FAシステム事業は売上高が6.3%増の480億54百万円で営業利益が24.5%増の19億75百万円だった。半導体・液晶製造装置関連や自動車関連が好調だった。半導体デバイス事業は売上高が14.6%増の261億63百万円で営業利益が26.1%増の7億86百万円だった。民生分野のパワーモジュール、産業分野のロジックICやアナログICなどが好調だった。
施設事業は売上高が17.9%増の67億05百万円で営業利益が68.3%減の17百万円だった。営業強化で伸長したが、利益率の高い物件の減少が影響した。その他は売上高が11.9%減の20億19百万円で営業利益が50百万円の赤字(前年同期は14百万円の赤字)だった。EMS分野の大口案件が終息した。
■18年3月期横ばい予想だが増額の可能性
今期(18年3月期)連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比3.0%増の1650億円、営業利益が0.5%増の52億円、経常利益が1.1%増の54億円、純利益が5.0%減の37億円としている。配当予想は4円増配の年間32円(第2四半期末16円、期末16円)としている。予想配当性向は21.8%となる。
通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が50.3%、営業利益が52.5%、経常利益が53.9%、純利益が54.1%である。通期予想は大手顧客(鉄鋼メーカー)の動向に不透明感が強いとして据え置いたが、需要が高水準で通期予想も増額の可能性が高いだろう。
■株主優待制度を18年3月期末から実施
なお株主優待制度を18年3月期末から実施する。毎年3月31日現在の100株(1単元)以上保有株主を対象として、継続保有期間および保有株式数に応じてクオカードを贈呈する。
■株価は上場来高値圏、好業績評価して上値試す
株価は11月9日の上場来高値2004円まで上伸した。その後は上げ一服の形だが自律調整の範囲だろう。
11月30日の終値1887円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS146円60銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間32円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2361円12銭で算出)は0.8倍近辺である。時価総額は約491億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドである。自律調整一巡し、好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)