星光PMCの株価は今期好業績を反映し反発開始、底値圏であることから上放れが予想される

株式市場 銘柄

 星光PMC<4963>(東1)の株価は、2月12日発表された今期業績予想が増収大幅増益であったことから、反発が始まっています。しかし、まだ底値圏であるため、上放れが予想されます。

 今期15年12月期連結業績予想は、売上高263億50百万円(前期比9.9%増)、営業利益10億円(同212.6%増)、経常利益10億60百万円(同103.4%増)、純利益8億30百万円(前期△18百万円)を見込んでいます。

 売上高については、国内外での拡販策実施に加え、前期子会社化したKJケミカルズの化成品事業の売上が通年寄与することもあり9.9%の増収を見込んでいます。

 利益面については、単体事業、海外事業、化成品事業の収益改善により大幅増益を見込んでいます。海外事業に関しては、前期第4四半期より黒字化していることから、今期は大幅増益で黒字転換を予想しています。化成品事業は前期に子会社化に伴う会計処理の変更で減価償却費が大幅に増加しましたが、今期は償却費が大幅に減少するため大幅増益で黒字転換を見込んでいます。

 同社の事業は、製紙用薬品事業、樹脂事業、化成品事業の3事業に分かれています。

 製紙用薬品事業の売上高は167億10百万円(同8.1%増)、営業利益11億37百万円(同46.9%増)と大幅増益を予想しています。大幅増益の要因は、これまで低迷していた海外事業の収益が大きく改善し、黒字化することが挙げられます。
 海外事業の売上高は27億27百万円(同80%増)、営業利益1億75百万円(前期△1億18百万円)と今期大幅増収増益で黒字化を見込んでいます。前期に比較すると利益面で2億93百万円の増加となりますが、その内訳は、新規顧客の獲得による利益が1億74百万円、コストダウンによる利益が1億19百万円と見ています。

 樹脂事業の売上高は61億64百万円(同3.6%増)、営業利益1億98百万円(同219.4%増)と増収大幅増益を見込んでいます。
 営業利益は前期より1億36百万円増える見込みですが、その内訳は新規拡販による増益が89百万円、コストダウン47百万円を見込んでいます。

 化成品事業の売上高は34億76百万円(前期比9億18百万円増)、営業利益1億75百万円(前期△92百万円)と大幅増収増益で黒字転換を予想しています。
 売上高については、前期は4月から12月までの9ヶ月間の売上高であったが、今期は通年寄与することに加え、これまでの木工塗料用に加え、電子材料用や化粧品向けなど新規分野での用途が拡大していることから大幅増収を見込みます。
 営業利益は前期より2億67百万円増加する見通しです。その要因としては、償却費の減少分が2億23百万円、売上増による利益が44百万円を見込んでいます。

 25日に決算説明会が行われました。その席上で、代表取締役社長滝沢智氏は海外展開、新規事業のセルロースナノファイバー、銀ナノワイヤ、光学弾性樹脂OCAの順で詳しく語りました。

 「昨年度当社は中国事業の固定資産の減損処理を実施しております。営業の強化、コストの改善策を実行しながら、引き続き事業を拡充していくという方針に変更はありません。昨年第4四半期からの黒字基調を定着させ、今年度末には、改善した姿をお示しできればと考えています。樹脂に関しましては、海外企業との協業も視野に入れた中国市場での事業拡大を目指し、具体的な検討を始めています。東南アジアにつきましては、タイ、インドネシア、ベトナムで精力的に製紙用薬品の販売活動を行っています。最近は現場テストを実施して、良好な結果を得られている案件が増加してきており、今年度は実績に結び付くものと思っています。
 2015年度の連結営業利益は10億円を見込んでいますが、製紙用薬品、樹脂、化成品の営業利益の合計は約15億円となっており、その差額の約5億円は主にこれからご説明する新規事業に関する研究開発事業費であります。
 当社では基盤事業である製紙用薬品や樹脂、化成品が全体の研究開発費の約30%、年間で約5億円を新規事業の開発に充てています。当社はコア技術の応用による新規分野の拡大を独自に進めると共に大学や他企業との実質的なチャネルを構築することによって、新たな提携先や、ビジネスの立ち上げを進めています。既に、よく知られることとなりました樹脂部材の高強度化や軽量化に寄与するセルロースナノファイバー、新しい導電性材料として期待されている銀ナノワイヤ、スマートフォン、タブレットなどで使用される光学弾性樹脂OCAの開発はこの活動の中から生み出されたものであります。
 セルロースナノファイバーは、全ての植物細胞壁の骨格成分であるセルロースをナノサイズまで細かくほぐすことで得ることが出来ます。軽量、高強度で、しかも熱による変形が少ないという特性を持つことから、注目を集めている部材でございます。当社は2007年より、京都大学を中心とするNEDOプロジェクトに参画し、セルロースナノファイバーの開発に専念してまいりました。また、京都大学と共同で申請して採択されました経済産業省・イノベーション拠点立地推進事業関連の補助金を活用して当社の竜ケ崎工場にて変性セルロースナノファイバーの実証生産設備であるパイロットプラントの建設を行ってまいりました。昨年10月にパイロットプラントが完成し、11月よりサンプル配布を開始しています。当社が配布するサンプルは、化学処理を施した変性セルロースのパウダーとそれを配合したペレットです。既に多くのお客様に、サンプルをご提供して、評価を開始してもらっています。更に2013年9月には、京都大学矢野教授の進める新たなNEDOプロジェクト「高機能リグノセルロースナノファイバーの一貫製造プロセス開発」にも参画しています。当社といたしましては、多くの企業の方々に積極的にサンプルをご提供してセルロースナノファイバーの実用化と普及に貢献していく所存であります。
 銀ナノワイヤは、直径がナノサイズ、長さがミクロンサイズで、透明導電性電極材料として期待されています。これまでは、透明導電性電極材料としてはIPOが一般的でしたが、ディスプレイ画面の大型化と本体の軽量化がフレキシブル化に伴って、IPOと比べて電気抵抗を大きくできる銀ナノワイヤ透明導電性電極の採用が期待できます。当社マーケット活動の過程で、本年より非IPO材料が黎明期を迎え、大きく立ち上がると聞いております。この動きに合わせ、昨年7月に当社千葉工場内において、銀ナノワイヤ製造プラントを建設し、製造を開始しました。既に同プラントからのサンプル出荷も昨年9月に開始しており、お客様に十分なサンプルを提供できる体制が整っています。今後は、お客様と協力して、銀ナノワイヤを市場に普及させる活動に取組みます。
 光学弾性樹脂OCAについては、当社が銀ナノワイヤのマーケティング活動を行っているとき、コア技術を使って、独自のウレタン系光学弾性樹脂ОCAを開発しました。お客様の要望に応え、提携企業とОCAの事業拡大を目指しています。ОCAは柔軟性を特徴としていており、内外のお客様に向けたサンプル活動を続けています。」と新事業について語ってくれました。

 同社では、50周年に当たる2018年度を最終年度とする次期中期経営計画を今年度中に策定する予定であります。具体的な目標数値は、2018年12月連結業績は、売上高350億円、営業利益35億円を見込んでいます。

 既存事業の収益改善に加え、セルロースナノファイバー、銀ナノワイヤ、光学弾性樹脂OCAといった将来性豊かな新規事業の収益貢献が近い将来に見込まれることから、投資家にとっては目の離せない注目企業といえるかと思います。

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