【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アライドテレシスHDは目先的な売りが一巡して反発期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ネットワーク機器や総合ITソリューションのアライドテレシスホールディングス<6835>(東2)の株価は、切り返しの動きを強めています。前期(14年12月期)の連結業績悪化と今期(15年12月期)の赤字見通しで2月16日に70円まで急落しましたが、27日には83円まで急伸する場面がありました。目先的な売りが一巡して反発展開が期待されます。

 世界23カ国・40連結子会社を統括する純粋持株会社で、ネットワーク関連機器およびソリューションの企画・開発・製造・販売・保守事業などを展開しています。ネットワーク機器メーカーからITインフラ・スペシャリストへのシフトを目指し、総合ITソリューションおよびサービスの提供を強化しています。

 14年12月には新SDNソリューションの開発を発表しました。ストラトスフィア、ラクラス、クオリティソフト、トレンドマイクロ<4704>、およびインターネットイニシアティブ(IIJ)<3774>と連携し、ネットワーク運用管理の効率化とセキュリティーの強化を実現する新しいコンセプトのソリューションとしています。販売開始は今期(15年12月期)第2四半期(4月~6月)の予定で、自治体・文教・医療市場を中心に販促活動を強化する方針です。

 また15年1月にはイスラエルに子会社アライドテレシスワイヤレスを設立するとともに、子会社アライドテレシス開発センターの社名をアライドテレシス総合研究所に変更しました。

 2月27日には当社のGbEソリューションが、米国最速インターネットサービスプロバイダ(ISP)であるグラント・カウンティ・パブリック・ユーティリティのウルトラ・ブロードバンド・アクセスネットワークに選定されたと発表しています。

 2月13日発表の前期(14年12月期)の連結業績は、売上高が前々期比1.0%増の302億17百万円、営業利益が18億43百万円の赤字(前々期は12億84百万円の赤字)、経常利益が3億67百万円の赤字(同7億61百万円の黒字)、純利益が39億54百万円の赤字(同95百万円の黒字)となりました。売上高、利益とも計画を大幅に下回り、配当予想は無配に修正しました。

 売上高に関しては、日本において代理店間接販売が期後半に減速したこと、パートナー製品の無線LAN機器の入荷が停止したこと、海外においてEUによるロシアへの輸出規制の影響を受けたこと、タイの公共案件が遅延したことなどが影響して計画を下回りました。

 利益面では、円安進行に伴う国内仕入原価の上昇や、海外コスト円換算額の増加で前々期に比べて営業赤字幅が拡大しました。経常利益は営業外収益での外貨建て資産評価に係る為替差益15億59百万円(前期は21億49百万円計上)が寄与しましたが、固定資産減損処理など特別損失29億65百万円を計上したため純利益も大幅赤字となりました。

 今期(15年12月期)の連結業績見通し(2月13日公表)については、売上高が前期比11.2%増の336億円、営業利益が5億40百万円の赤字(前期は18億43百万円の赤字)、経常利益が7億円の赤字(同3億67百万円の赤字)、純利益が16億円の赤字(同39億54百万円の赤字)、配当予想が無配としています。想定為替レートは1米ドル=120円としています。

 地域別売上高計画については、日本が同6.7%増の159億円、米州が同15.9%増の75億円、EMEA(欧州、中東、アフリカ)が同12.7%増の68億円、アジア・オセアニアが同20.6%増の34億円としています。

 ソリューション販売の強化と付加価値サービスの拡充、グローバル製品統一とユニファイド化促進による売上拡大および生産・ロジスティクス・販促・販売の効率化、主力テクノロジーの絞り込みによる研究開発センターの機能統合推進、選択と集中による開発リソースの効率化、人材リソースの最適配分などを推進して営業損益改善を図る方針です。純利益は特別損失の一巡も寄与して赤字幅が縮小する見通しです。

 株価の動きを見ると、前期の連結業績悪化と今期の赤字見通しで2月16日に70円まで急落しました。90円台でのモミ合い展開から下放れた形ですが、その後は2月27日に83円まで急伸する場面もあり、切り返しの動きを強めています。今期の赤字見通しの目先的な売りが一巡したようです。

 3月2日の終値77円を指標面で見ると、前期実績PBR(前期実績の連結BPS51円79銭で算出)は1.5倍近辺です。週足チャートで見ると窓を開けて急落しましたが、安値圏の下ヒゲと陽線で売り一巡感を強めています。反発展開が期待されます。

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