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メディカル・データ・ビジョンは調整一巡感、17年12月期大幅増益予想で18年12月期も収益拡大期待
- 2017/12/20 07:40
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
メディカル・データ・ビジョン<3902>(東1)は、医療分野のビッグデータ関連ビジネスを展開している。民間最大級の大規模診療データベースを活用して治験事業などにも進出し、17年12月期大幅増収増益予想である。18年12月期も収益拡大が期待される。株価は調整一巡感を強めている。
■医療分野のビッグデータ関連ビジネスを展開
医療分野のビッグデータ関連ビジネスとして、医療機関向けに医療情報システムを開発・販売するデータネットワークサービス、および製薬会社向けに各種データ分析ツール・サービスを販売するデータ利活用サービスを展開している。
データネットワークサービスで医療機関向けに医療情報システムを販売するとともに、2次利用許諾を得た患者の医療・健康関連情報を集積する。そして集積した各種情報を分析し、データ利活用サービスとして主に製薬会社向けに提供するビジネスモデルだ。
17年11月末の大規模診療データベース実患者数は16年12月末比357万人増加の2080万人となった。民間最大級の大規模診療データベースを活用してOTC医薬品・H&BC製品の製造販売、SMO事業などの新規分野への事業展開も推進している。
なおデータネットワークサービスでは16年12月期から、営業の主軸をDPC分析「EVE」から、病院向け経営支援「Medical Code」にシフトしている。また新規分野として、病院向けデジタルソリューション「CADA-BOX」の導入を推進している。患者自身が診療情報の一部を保管・閲覧できるWEBサービス「カルテコ」と、患者が自由に支払条件を設定できる医療費後払いサービスの「CADA決済」を、電子カルテと連動させて活用するサービスだ。データ利活用サービスはオーダーメード調査・分析サービス「アドホック」を主力としている。
17年9月時点の導入病院数は、EVEが16年12月末比8増加の799病院、Medical Codeが22増加の246病院、CADA-BOXが3病院となった。なお12月8日には博愛会相良病院へのCADA-BOX導入が決定したと発表している。九州地区初となる。
医療機関からのシステム利用料・メンテナンス費用、および製薬会社からのサービス対価(システム利用料含む)が収益源で、16年12月期事業別売上構成比はデータネットワークサービス55%、データ利活用サービス45%だった。収益面では特にデータ利活用サービスにおいて下期偏重の特性がある。
■成長の第4フェーズで17年12月期から投資回収
中期成長イメージでは17年12月期~19年12月期を、成長の第4フェーズとして投資回収期に位置付けている。患者のリアルタイムデータ、地域医療の診療データ・画像データなども統合してデータ利活用ビジネスの急拡大を図り、売上高の増加とともに投資回収を開始する方針だ。
重点取り組みとして、2次医療圏344病院へのCADA-BOX導入、データ基盤のさらなる拡大、データ利活用ビジネスの拡大、M&Aを含めた他社との協業を推進する。データ利活用の新領域では治験分野を推進する。
17年1月医師向け会員型サービスのDoctorbookを子会社化、17年2月OTC医薬品・H&BC製品製造販売のMDVコンシューマー・ヘルスケア設立、17年6月SMO業務のコスメックスを子会社化、17年11月テクマトリックス<3762>と業務提携した。
■17年12月期大幅増収増益予想、18年12月期も収益拡大期待
今期(17年12月期)連結業績予想(2月13日公表)は売上高が前期(16年12月期)比36.8%増の36億円、営業利益が25.9%増の5億42百万円、経常利益が29.9%増の5億40百万円、純利益が74.9%増の3億11百万円としている。
営業人員を積極採用し、投資回収に向けた積極的な営業活動で基盤事業を再成長させるとともに、新規事業の収益化も推進する。採用拡大(約40名)による人件費の増加や、東京オフィス増床に伴う一時的費用などを吸収して5期連続増収増益予想である。
第3四半期累計は売上高が前年同期比21.8%増の21億09百万円、営業利益が38.6%増の1億71百万円、経常利益が37.9%増の1億68百万円、純利益が0.2%減の75百万円だった。
データネットワークサービス、データ利活用サービスとも好調に推移して大幅増収となり、営業利益と経常利益は人件費や広告宣伝費などの増加を吸収して大幅増益だった。売上総利益率は78.8%で0.2ポイント低下、販管費比率は70.7%で4.1ポイント低下した。純利益は減損損失16百万円の計上や税金費用の増加で微減益だった。
データネットワークサービスの売上高は11.0%増の11億08百万円(パッケージが1.3%増の4億05百万円、メンテナンスが8.5%増の6億48百万円、新規が54百万円)だった。データ利活用サービスは36.5%増の10億円(MDV analyzerが14.8%増の2億21百万円、アドホックが41.3%増の7億12百万円、新規が86.4%増の66百万円)だった。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が58.6%、営業利益が31.5%、経常利益が31.1%、純利益が24.1%である。低水準の形だが、特にデータ利活用サービスにおいて下期偏重の特性があるためネガティブ要因とはならない。通期ベースでも好業績が期待される。そして来期(18年12月期)も収益拡大が期待される。
■株主優待制度は12月末に実施
株主優待制度は毎年12月31日現在の100株(1単元)以上保有株主に対してクオカード1000円分を贈呈する。配当は患者のリアルタイムデータ集積によるデータ利活用サービスの拡大に目途がついた段階で検討していく方針だ。
■株価は調整一巡感
株価(17年5月1日付で株式2分割)は、6月の上場来高値2863円から反落して水準を切り下げたが、11月14日の直近安値1820円から切り返して調整一巡感を強めている。
12月19日の終値2198円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS16円34銭で算出)は135倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績に株式2分割を考慮した連結BPS140円44銭で算出)は16倍近辺である。時価総額は約440億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線を突破し、続いて26週移動平均線突破の動きを強めている。調整一巡して6月高値を目指す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)