【業績でみる株価】農業総合研究所は売り一巡の可能性、18年8月期は先行投資負担で赤字予想

 農業総合研究所<3541>(東マ)は、新しい農産物流通システム「農家の直売所」事業を展開している。18年8月期は大幅増収だが、事業拡大と成長加速に向けた投資負担で利益は赤字予想である。株価は水準を切り下げて年初来安値を更新したが、売りがほぼ一巡した可能性がありそうだ。

■「農家の直売所」事業を展開

 経営方針に「ビジネスとして魅力ある農産業の確立」を掲げ、新しい農産物流通システム「農家の直売所」事業(委託販売システム、買取委託販売、卸販売)を展開している。

 全国約7000名の生産者と、都市部を中心とした約1000店舗の小売店をITでダイレクトに繋ぎ、情報・物流・決済のプラットフォームを構築している。17年8月期の流通総額は約71億円だった。海外への展開も推進する方針だ。

 17年10月にはデリカフーズホールディングス<3392>と業務提携した。青果物流通における新たなインフラ構築を目指す。

■18年8月期は先行投資負担で赤字予想

 18年8月期連結業績予想は、売上高が17年8月期比36.8%増の22億70百万円だが、営業利益が1億円の赤字(17年8月期は1億31百万円の黒字)、経常利益が70百万円の赤字(同1億30百万円の黒字)、純利益が70百万円の赤字(同84百万円の黒字)としている。

 流通総額が90億円に拡大して大幅増収を見込むが、事業拡大と成長加速に向けた投資負担で利益は赤字予想である。流通総額拡大を最重要課題として、物流面では物流プラットフォームの再構築とセンター機能の充実、IT面ではITプラットフォームの強化と基幹システムの刷新、人材面では人材の積極採用と制度・組織の再構築を推進する。

 中期計画(ローリング方式)では、投資効果で19年8月期の流通総額120億円と営業利益50百万円、20年8月期の流通総額160億円と営業利益3億60百万円を目指している。

■株価は売り一巡の可能性

 株価(17年9月1日付で株式2分割)は、10月の戻り高値3240円から反落して水準を切り下げ、12月19日には年初来安値となる2255円まで調整した。

 12月19日の終値は2288円、時価総額は約96億円である。日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10%程度に拡大している。18年8月期赤字予想に対する売りがほぼ一巡した可能性がありそうだ。(MM)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る