【アナリスト水田雅展の銘柄分析】イーグランドは売り一巡して戻り歩調、16年3月期収益拡大期待で1月戻り高値目指す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 中古住宅再生事業のイーグランド<3294>(JQS)の株価は、第3四半期累計(4月~12月)の大幅減益で急落した2月3日安値697円から反発し、3月3日には785円まで戻して急落前1月30日終値797円に接近している。売りが一巡して戻り歩調の展開だ。来期(16年3月期)の収益拡大期待で1月の戻り高値880円を目指す展開だろう。

 首都圏を地盤に、中古マンション・戸建住宅の再生事業を主力として、その他不動産事業(不動産賃貸、リフォーム工事請負など)も展開している。中古住宅再生事業は、競売や任売(任意取引)で仕入れた中古住宅を個々の状況に応じてリフォームし、中古再生住宅として販売する。

 長年の不動産競売取引で培った価格算定力を活かして、首都圏(1都3県)での不動産競売において業界一の落札実績を持ち、若年ファミリー層などをメインターゲットとしてボリュームゾーン2000万円以下の低価格帯居住用物件の取り扱いを主力としている。リフォームコストを抑えることで良質で安価な中古住宅を提供するとともに、家具付き販売や最低10年アフターサービス保証などで他社物件との差別化を図っていることも特徴だ。

 リスク低減への取り組みとして、仕入から販売までの期間を適切に管理するとともに、原則1戸単位でエリアを分散した仕入を実行している。14年3月期の物件平均保有期間は5.7ヵ月で13年3月期の6.3ヵ月から0.6ヵ月短縮した。また現在の仕入は約3分の2が競売仕入、約3分の1が任売仕入だが、今後は首都圏での任売仕入を強化する方針だ。

 中期成長に向けて仕入力強化と事業エリア拡大戦略を推進している。10年3月に札幌支店、11年11月に宇都宮支店、14年5月に関西支店を開設した。さらに新たな事業展開エリアとして名古屋、福岡、仙台への進出を視野に入れている。中期目標数値としては仕入件数を毎期2割増加させ、19年3月期をメドに売上高300億円を目指している。

 ストック型収益基盤構築に向けて不動産賃貸事業も強化する方針だ。15年1月には賃貸用不動産(東京都中央区、共同住宅1棟・45戸)の取得を発表した。当該固定資産の賃貸による年間収入は48百万円の見通しとしている。

 今期(15年3月期)の業績(非連結)見通しは、前回予想(5月12日公表)を据え置いて売上高が前期比26.8%増の158億85百万円、営業利益が同3.0%増の12億32百万円、経常利益が同6.6%増の10億15百万円、純利益が同7.8%増の6億29百万円としている。そして配当予想は年間10円(期末一括)としている。14年10月1日付の株式4分割を考慮すると実質的に前期と同額である。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比21.6%増収だったが、利益は同36.7%営業減益、同42.2%経常減益、同29.5%最終減益だった。消費増税による市場環境悪化などが影響して売上総利益率が低下し、販管費の増加も影響して大幅減益だった。なお特別利益に固定資産売却益94百万円を計上し、当該固定資産に係る繰延税金負債取り崩しによって法人税等調整額32百万円を計上した。

 利益は大幅減益だったが、売上面では関西支店開設による事業エリア拡大、任意仕入の強化などの施策の効果で、仕入件数は同85件増加の639件、販売件数は同87件増加の572件と好調に推移して大幅増収だった。

 通期ベースでも、首都圏での販売強化、関西支店の本格稼働による仕入・販売件数の増加、賃料収入の増加などで大幅増収見通しとしている。販売件数は前期比175件増加の823件、平均販売価格は前期と同水準の19百万円の計画としている。なお成約価格は13年1月以降連続で前年同月を上回って推移しているようだ。

 第3四半期累計は大幅減益だったが、人件費や仲介手数料の増加などを増収効果で吸収して、第4四半期での利益挽回が期待される。また来期(16年3月期)は、消費増税の影響一巡も寄与して収益拡大が期待されるだろう。

 株主優待制度(14年8月に新設を発表)については、毎年3月末および9月末時点で1単元(100株)以上保有株主に対してクオカード1000円分を贈呈する。14年9月末から実施した。

 株価の動き(14年10月1日付で株式4分割)を見ると、第3四半期累計の大幅減益で急落した2月3日安値697円から反発し、3月3日には785円まで戻して急落前の1月30日終値797円に接近している。売りが一巡して戻り歩調の展開だ。

 3月3日の終値779円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS99円85銭で算出)は7~8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は1.3%近辺、前期実績PBR(前期実績に株式4分割を考慮したBPS622円82銭で算出)は1.3倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を突破して上伸した。また週足チャートで見ると13週移動平均線を突破し、続いて26週移動平均線突破の動きを強めている。トレンド好転し、来期の収益拡大期待で1月の戻り高値880円を目指す展開だろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1.  暖房機器、除雪商品などを展開し割安放置が目立つセクターにホームセンター株がある。PBRが1倍を割…
  2. ■背広の売れ行きが映す街角の景気シグナル  街角の景気実感を分析し、景気実態を明らかにする経済指標…
  3. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  4. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る