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ベステラは戻り歩調、18年1月期大幅増収増益予想
- 2017/12/25 08:17
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ベステラ<1433>(東1)はプラント解体に特化したオンリーワン企業で、次世代プラント解体工法「3D解体」実現に向けたロボット開発も推進している。18年1月期第3四半期累計は2桁増収増益だった。そして通期も大幅増益予想である。株価は調整一巡して戻り歩調だ。
■鋼構造プラント設備解体のオンリーワン企業
製鉄所・発電所・ガスホルダー・石油精製設備など鋼構造プラント設備の解体工事に特化したオンリーワン企業である。
製鉄・電力・ガス・石油・石油化学業界(製鉄所・発電所・石油精製・石油化学設備など)向けを主力とするプラント解体工事、および特定化学物質・アスベスト・ダイオキシン・土壌汚染などの環境関連対策工事を展開している。実際の解体工事は外注先が行い、当社は施工管理を行う。16年10月には東京都から解体工事業の許可を受けた。
大手企業のエンジニアリング子会社を中心とした優良な顧客基盤、豊富な工事実績に基づく効率的な解体マネジメント、解体工事会社としては類のない特許工法・知的財産の保有(特許取得14件、特許申請中5件)を強みとしている。主要顧客はJFEグループ、新日鐵住金グループ、戸田建設、東京エネシス、IHIグループなどである。特許関連では、04年球形ガスホルダー解体「リンゴ皮むき工法」の特許を取得、07年火力発電所等の「ボイラ解体方法」の特許を取得、10年遠隔操作による溶断ロボット「りんご☆スター」を開発した。
関連事業として、建設技能労働者不足に対応した人材派遣・紹介・育成サービス、プラント解体事業における事前調査等の強化を目的とした3D計測・データサービスも展開している。
収益計上基準は工事進行基準と工事完成基準がある。収益面では顧客の設備投資計画の影響を受け、工事完成時期や完成工事利益率によって四半期業績が変動する。
■プラント解体需要は中期的に増加予想
18年1月期~20年1月期の「中期経営計画2019」(ローリング方式で毎年改定)では、数値目標に20年1月期売上高84億円、営業利益9億75百万円、経常利益9億37百万円、純利益6億44百万円、売上高営業利益率11.6%、EPS77円、ROE20.5%以上を掲げている。配当性向の目安は40%とする。
企業の事業再編や設備集約、産業競争力強化法やエネルギー供給構造高度化法など余剰設備の再編に向けた国の政策を背景として、1960年代の高度成長期に建造されたプラントの老朽化に伴う解体工事が増加すると予想されている。
設備解体需要増加に対応した重点戦略として、工法(プラント解体戦略)の充実、事業領域3本柱(工事・3D・人材)の確立、パーフェクト3Dおよび3D解体といった成長戦略の推進、プラント3Dマスターを中核とした新しい社会価値の創出、大規模工事施工体制の確立や営業力の強化といった制度・仕組みの革新、M&A・アライアンス戦略によるプラントライフサイクルマネジメントへの積極参入や新たな事業領域への展開を掲げている。
■次世代解体工法「3D解体」実現に向けてロボット開発を推進
ロボット工法については、遠隔操作による溶断ロボット「りんご☆スター」を開発して工事実績を積み上げ、新アタッチメント開発による用途拡大を進めている。また東京工業大学との産学連携による群移動体型ロボット「群龍」や、京都大学および山口大学との共同研究による監視ロボットを開発している。さらに次世代プラント解体工法「3D解体」実現に向けたロボット開発を推進する。
16年6月には京都大学、山口大学、特定非営利活動法人国際レスキューシステム研究機構と、それぞれ「点群3D Map利用ロボット開発」を研究題目とした共同研究契約を締結し、IOTを活用した自律作業ロボットによる自動運転(プラント監視・管理)および自動施工の実現を目指している。
17年6月には出願した特許「三次元画像表示システム、三次元画像表示装置、三次元画像表示方法およびプラント設備の三次元画像表示システム」と「作業用ロボットおよび作業用ロボットを用いた警報システム」が出願公開されたと発表している。今後の審査を経て正式に登録される。
■18年1月期増収増益予想
今期(18年1月期)の非連結業績予想(3月17日公表)は売上高が前期(17年1月期)比36.3%増の57億円、営業利益が41.9%増の5億64百万円、経常利益が31.8%増の5億33百万円、純利益が32.8%増の3億60百万円としている。事業拡大に伴う人員増、3D計測事業への研究開発などで販管費が増加するが、高水準の受注残高を消化して大幅増収増益予想である。
配当予想は年間15円(第2四半期末5円、期末10円)としている。17年2月1日付株式3分割を考慮して年間45円に換算すると、17年1月期の年間40円との比較で5円増配の形となる。予想配当性向は34.6%である。
第3四半期累計(2~10月)は、売上高が前年同期比10.3%増の29億20百万円、営業利益が27.8%増の2億29百万円、経常利益が17.2%増の2億16百万円、純利益が22.6%増の1億50百万円だった。工事が順調に進捗して2桁増収増益だった。売上総利益率は19.8%で0.6ポイント上昇、販管費比率は12.0%で0.4ポイント低下した。
受注工事高は大型工事も寄与して68.7%増の33億32百万円、そして受注残高は27億66百万円となった。受注残高は旺盛なプラント解体需要を背景として高水準を維持している。業界別の受注残高構成比は電力が45%、製鉄が29%、ガスが19%、石油・石化が7%である。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が51.2%、営業利益が40.6%、経常利益が40.5%、純利益が41.7%である。低水準の形だが、顧客の設備投資計画に応じた季節特性があり、今期は第4四半期に計上される割合が高いとしている。通期ベースで好業績が期待される。
■株主優待制度は17年1月期末から実施
株主優待制度は17年1月期末から開始した。18年1月期末以降は毎年1月31日現在100株以上300株未満保有株主に対してクオカード1000円分、300株以上保有株主に対してクオカード2000円分を贈呈する。
■株価は戻り歩調
株価は10月30日の戻り高値2292円から反落したが、2000円近辺から切り返して戻り歩調だ。
12月22日の終値2181円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想EPS43円35銭で算出)は50倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は0.7%近辺、前期実績PBR(前期実績BPS262円89銭で算出)は8.3倍近辺である。時価総額は約182億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなりそうだ。戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)