【アナリスト水田雅展の銘柄分析】日本ライフラインは今期配当増額も好感して14年11月高値に接近、上値試す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 医療機器輸入商社の日本ライフライン<7575>(JQS)の株価は、今期(15年3月期)配当予想の増額も好感して強基調の展開だ。3月3日には1580円まで上伸する場面があり、14年11月高値1679円に接近してきた。今期業績見通しは再増額の可能性が高く、中期成長力も評価して上値を試す展開だろう。

 心臓循環器領域を中心とする医療機器輸入商社で、心臓ペースメーカ、ICD(植込み型除細動器)、CRT-D(除細動機能付き両心室ペースメーカ)などのリズムディバイス部門、EPカテーテル、アブレーションカテーテル、心腔内除細動カテーテル、高周波心房中隔穿刺針などのEP/アブレーション部門、人工心臓弁、人工血管、ステントグラフトなどの外科関連部門、バルーンカテーテル、ガイドワイヤーなどのインターベンション部門、および血液浄化関連などのその他部門を展開している。

 国内を網羅する販売代理店ネットワークを構築した商社機能に加えて、メーカー機能の強化に向けて、09年に人工血管などを製造するJUNKEN MEDICAL社、10年にガイドワイヤーなどを製造するSYNEXMED社(香港)を子会社化した。収益性の高い自社製品の売上構成比上昇に向けて生産体制を一段と強化し、14年10月には新工場となる小山ファクトリー(栃木県小山市)が稼動した。

 中期目標数値として19年3月期売上高351億円、営業利益率10%以上を掲げ、メーカー機能と商社機能を併せ持つ強みを活かして、各分野の商品ラインナップ充実で成長を目指している。なおコアビジネスは、輸入商品中心のリズムディバイスから、自社製品中心のEP/アブレーションおよび外科関連へシフトするようだ。

 新商品に関しては、14年4月にバルーンカテーテルで初の自社製品となる「canPass」、7月に外科関連で国内オンリーワン製品(国内唯一の開胸手術用)となる自社製品「J-Graftオープンステントグラフト」、8月に心臓ペースメーカの新商品「REPLY200」の販売を開始した。

 そして今期(15年3月期)第4四半期(1月~3月)はMRI(磁気共鳴画像)検査対応の心臓ペースメーカ「KORA」およびICD関連の「INTENSIA」の上市を計画し、来期(16年3月期)はアブレーションのイリゲーション機能付き新製品の上市を目指している。また15年春には子会社ハートブレーンがAED(自動体外式除細動器)の販売開始を予定している。一方では事業環境変化に対応して、人工心肺関連製品の取り扱いを15年3月末に終了する。人工血管や弁膜症関連製品については引き続き注力する方針だ。

 また14年12月には、コリブリ・テクノロジーズ社(カナダ)の心腔内エコーシステムに関する日本国内における独占販売契約、およびカーディオフォーカス社(米国)のハートライト内視鏡アブレーションシステムに関する日本国内での独占販売契約を締結した。いずれも16年度の上市を目指して導入準備を進めるとしている。

 なお2月4日には、心臓ペースメーカ「KORA100(コーラ100)」の薬事承認取得(2月3日)を発表した。一定の条件下において安全にMRI(磁気共鳴画像)検査を受けることが可能な製品で、15年3月から販売を開始する。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(10月24日に増額修正)を据え置いて、売上高が前期比5.7%増の257億49百万円、営業利益が同43.6%増の17億51百万円、経常利益が同34.7%増の18億円、純利益が9億03百万円(前期は2億02百万円の赤字)としている。

 配当予想については2月25日に増額修正を発表した。前回予想(5月2日公表)に対して、特別配当の期末5円を増額して年間30円(期末一括)とした。前期との比較では5円増配となる。

 売上面では保険償還価格引き下げの影響を受け、輸入商品中心のリズムディバイスは戦略的シフトで減少し、薬事関連費用や子会社3社の新規連結などで販管費も増加するが、一方では自社製品中心のEP/アブレーションおよび外科関連を中心に、自社グループ製品の市場浸透が牽引する。14年7月発売の「J-Graftオープンステントグラフト」の販売数量伸長など、収益性の高い自社製品の売上構成比上昇によるプロダクトミックス改善効果で大幅増益見通しだ。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比3.7%増収、5.3%営業増益、2.3%経常増益、同11.3%最終増益だった。また四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)59億86百万円、第2四半期(7月~9月)62億77百万円、第3四半期(10月~12月)65億96百万円、営業利益は第1四半期1億48百万円、第2四半期5億21百万円、第3四半期6億96百万円で収益は拡大基調だ。

 そして通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高73.2%、営業利益78.0%、経常利益82.6%、純利益82.3%と高水準だ。MRI検査対応ペースメーカの販売開始遅れや、販管費の一部予算進行遅れなどを考慮して通期会社見通しを据え置いているが、通期再増額の可能性が高いだろう。中期的にも自社製品売上構成比の上昇で一段の高収益化が期待される。

 株価の動きを見ると、1300円近辺での自律調整が一巡して切り返し、強基調の展開となった。3月3日には前日比66円(4.36%)高の1580円まで上伸する場面があり、急伸した14年11月高値1679円に接近してきた。第3四半期累計の高進捗率や今期配当予想の増額修正を好感する動きだろう。

 3月3日の終値1558円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS83円68銭で算出)は18~19倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.9%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1354円09銭で算出)は1.2倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線のサポートを確認して強基調の展開だ。今期業績見通しは再増額の可能性が高く、中期成長力も評価して上値を試す展開だろう。

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