- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- 【アナリスト水田雅展の企業レポート】バルクホールディングスは底放れの展開、経営資源集中戦略を加速
【アナリスト水田雅展の企業レポート】バルクホールディングスは底放れの展開、経営資源集中戦略を加速
- 2017/12/25 09:46
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
バルクホールディングス<2467>(名セ)は、コンサルティング事業やマーケティング事業などを展開する持株会社である。収益基盤を強化するため経営資源集中戦略を加速している。18年3月期は住宅関連事業売却による収益改善も寄与して大幅増益予想である。株価は底放れの展開となった。戻りを試す展開が期待される。
■情報セキュリティ分野とマーケティング分野に経営資源集中を加速
コンサルティング事業やマーケティング事業などを展開する持株会社である。連結子会社バルクがコンサルティング事業とマーケティング事業、マーケティング・システム・サービスがマーケティング事業、ヴィオがIT事業を展開し、アトラス・コンサルティングを持分法適用関連会社としている。
収益基盤を強化するため、経営資源を情報セキュリティ分野とマーケティング分野に集中する動きを加速している。17年3月には住宅関連事業のハウスバンクインターナショナル(HBI社)の全株式を売却した。
12月14日には連結子会社ヴィオの株式をSAMURAI & PARTNERSに譲渡する基本合意書締結(株式譲渡実行は18年1月予定)を発表した。ヴィオは18年3月期第4四半期から連結除外となる。
■プライバシーマーク・ISO27001認定取得支援に強み
コンサルティング事業は、個人情報保護など情報セキュリティマネジメント分野におけるプライバシーマーク認定取得支援、ISO27001(ISMS)認証取得支援、および運用支援を主力としている。
バルクは情報セキュリティマネジメント分野のリーディングカンパニーである。プライバシーマーク認定取得は国内トップクラスの1600件超、ISO27001認証取得は500件超の取得支援実績を誇っている。自社社員によるコンサルタント、ISMS審査員資格保有者の在籍、自社開発の支援ITツールによる作業負担軽減、教育支援メニューや取得後の継続維持・運用サポートメニューの充実などを強みとして、あらゆる業種・業態への対応実績を持つ。このため企業にとっては短期間での取得が可能になる。
15年6月には業界初の情報セキュリティマネジメントシステム運用支援クラウドサービス「V-Cloud」をリリースし、16年5月には大企業向け効果測定型コンプライアンスリスク診断プログラム「V-Risk」サービスを開始した。
■マーケティング事業は新製品モニター調査などが主力
マーケティング事業は、バルクがマーケティングリサーチ事業、マーケティング・システム・サービスがSP(セールスプロモーション)事業や広告代理業を展開している。
バルクのマーケティングリサーチ事業は、大手メーカーの新製品開発時のモニター調査などを主力としている。調査の企画・設計・分析・実査から商品企画などのマーケティング戦略支援まで、企業のマーケティング活動における課題を総合的にワンストップで解決・支援する。
マーケティング・システム・サービスのマーケティング事業は、スーパーなど食品流通事業者のフリーペーパー、食品・飲料メーカーのSPツール・ノベルティ制作などでクライアントの課題解決を総合的に支援している。関東の大手スーパー向けを主力としている。
17年6月にはバルクおよびヴィオがEverforth社とデジタルマーケティング分野で業務提携した。
■セキュリティ分野への進出を加速
17年10月には、大気中に含まれる様々な種類のガスの同時検知を可能とする超小型高精度ガスセンサを開発した米国のAerNos社に出資した。将来的に同社の技術の応用を検討するため株式取得して関係を強化した。
17年11月には、イスラエルのサイバーセキュリティ分野におけるリーディングカンパニーであるサイバージム社と、共同事業に関する基本合意書を締結した。共同事業体を通じて、電力や金融など重要インフラストラクチャーセクターの民間企業、および政府機関等に対して、サイバー攻撃に対応するためのトレーニング施設を米国NY州に開設する。またCG社独自開発のサイバー環境を模したトレーニング施設を米国および日本で販売し、サービス提供を行う。
12月22日にはCG社との共同事業に関する独占的ライセンス契約締結を発表した。共同事業会社(18年1月設立・サービス開始予定)は来期(18年3月期)から連結子会社となる。
■18年3月期2Q累計は減収減益
今期(18年3月期)第2四半期累計連結業績は、売上高が前年同期比50.9%減の4億87百万円、営業利益が55.4%減の9百万円、経常利益が37.2%減の12百万円、純利益が45.2%減の6百万円だった。
コンサルティング事業は20.7%増収と好調だったが、住宅関連事業のHBI社を売却したことに加えて、マーケティング事業が一部既存顧客の販促予算削減の影響を受けて21.4%減収だった。
■18年3月期通期は大幅増益予想
今期(18年3月期)連結業績予想は、売上高が前期比36.5%減の10億87百万円だが、営業利益が35.8%増の34百万円、経常利益が64.0%増の38百万円、純利益が4.3倍の29百万円としている。住宅関連事業を売却して全体の売上高は大幅減少するが、赤字事業が無くなるため大幅増益予想である。
経営資源集中戦略の加速により、中期的に収益構造転換と収益改善を期待したい。
■株価は底放れて戻り試す
株価は底放れの展開となった。安値圏140円~160円近辺でのモミ合いから上放れ、12月22日には194円まで上伸した。
12月22日の終値は180円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS3円87銭で算出)は47倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS90円53銭で算出)は2.0倍近辺、時価総額は約13億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線が上向きに転じて先高感を強めている。戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)