【業績でみる株価】CRI・ミドルウェアは下値固め完了感、18年9月期大幅増収増益予想

 CRI・ミドルウェア<3698>(東マ)は、音声と映像のミドルウェア「CRIWARE」を開発・許諾販売している。18年8月期はスマホゲーム向けの好調などで大幅増収増益予想である。株価は下値固め完了感を強めている。

■ミドルウェア「CRIWARE」を展開

 1983年CSK(現SCSK<9719>)の子会社としてCSK総合研究所を設立、2001年CSK総合研究所からミドルウェア部門が独立してCRI・ミドルウェアを設立、ミドルウェアのマルチプラットフォーム戦略を推進するためセガグループから独立、2014年東証マザーズに新規上場した。

 音声と映像のミドルウェア「CRIWARE」を開発・許諾販売している。ミドルウェアとは、オペレーティングシステム(OS)とアプリケーションソフトの中間に位置するソフトウェアの総称で、ソフトウェアとハードウェアを繋ぐ「部品」のような役割を果たす。

 ミドルウェア「CRIWARE」は、音声・映像データを圧縮する技術(自社開発の音声コーデックで「良い品質」を保ち、圧倒的な圧縮技術で「小さく軽く」を実現する技術)、および優れた再生技術(ハードウェアの特性に合わせて「きれいに再生」する技術)を強みとしている。

 現在はゲーム分野を主力としている。ミドルウェア「CRIWARE」を採用したゲームタイトル数は17年9月時点で累計4000タイトルを突破した。対応機種は累計20機種以上である。またスマホゲームへの採用率(ゲームアプリランキング上位100社における採用アプリ数の割合、17年9月時点)は30%、家庭用ゲームへの採用率(上位300位、15年12月~16年12月集計)は26%だった。

 17年9月期の事業分野別売上構成比は、ゲーム分野が61%、組み込み分野(遊戯機、家電、業務用機器、車載など)が23%、医療・ヘルスケア分野が6%、新規分野(動画圧縮、Web動画など)が10%だった。重点戦略として、スマホゲーム分野の受注拡大を国内および中国で加速するとともに、注力分野として監視カメラ、Web動画、車載などへの展開も推進している。

■18年9月期大幅増収増益予想

 18年9月期の連結業績予想は売上高が17年9月期比19.1%増の15億円、営業利益が2.5倍の3億円、経常利益が2.5倍の3億円、純利益が2.6倍の2億10百万円としている。

 17年9月期はゲーム分野が好調だが、組み込み分野の大型案件の時期ズレ発生や遊戯機の市況低迷の影響、新規分野のVOD向け大型案件失注などで減収となり、製品開発や体制強化への投資も継続して大幅減益だった。しかし18年9月期はスマホゲーム向けの好調が牽引し、組み込み分野の大型案件なども寄与して大幅増収増益予想である。

 ゲーム分野では、スマホF2Pゲーム向けの顧客売上高に応じた新料金体系で収益性向上を図り、世界最大ゲーム市場の中国での受注拡大にも注力する。組み込み分野では業務用機器向け開発で大型開発案件が寄与する。医療分野は大学や医療機関との試験的開発を継続する。新規分野では動画圧縮は車載カメラ、Web動画はEC系の受注加速に注力する。

■株価は下値固め完了感

 株価は年初来安値圏1800円~2000円近辺でモミ合う展開だが、10月安値1805円を割り込むことなく下値固め完了感を強めている。12月22日の終値は1903円、今期予想連結PERは約43倍、時価総額は約94億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線突破の動きを強めている。下値固め完了して基調転換の動きが期待される。(MM)

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