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アスカネットは18年4月期予想に上振れ余地、AIプレートは19年4月期に量産体制確立目指す
- 2017/12/27 08:14
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アスカネット<2438>(東マ)は遺影写真加工関連や写真集制作関連を主力としている。18年4月期はエアリアルイメージング(AI)事業の広告宣伝費や開発費の増加などで減益予想だが、上振れ余地がありそうだ。AI事業は樹脂製AIプレートの量産手法にメドが立ち、19年4月期に月産1万個規模の量産体制確立を目指すようだ。量産体制確立に向けて採用増加も期待される。株価は水準を切り下げたが調整一巡が期待される。
■写真加工関連を主力として新規事業AIも育成
葬儀社・写真館向け遺影写真合成・加工関連のメモリアルデザインサービス(MDS)事業、写真館・コンシューマー向けオリジナル写真集制作関連のパーソナルパブリッシングサービス(PPS)事業を主力としている。
MDS事業は葬儀関連、PPS事業はウエディング・卒業・入学イベント関連などが主力市場である。景気変動の影響を受けにくい特性や、下期の構成比が高い季節特性もある。
空中結像技術を用いた新規事業のエアリアルイメージング(AI)事業も推進している。AIプレートだけで空中ディスプレイが可能となるシンプルな構造を特色として、サイネージ、車載、医療、操作パネル、飲食、アミューズメントなど、多方面の業界・業種から注目されている。
AI事業は低コストと大量生産を可能にする本格量産技術(ファブレス形態で製造して自社ブランドで販売)の確立に取り組んでいる。方向性としては、低コスト供給が可能な樹脂製AIプレートの量産手法にメドが立ち、19年4月期に月産1万個規模の量産体制確立を目指すようだ。量産体制確立に向けて採用増加も期待される。
また17年2月には、人工知能搭載ソーシャルロボット「unibo」を開発・製造・販売するユニロボットに出資して資本業務提携している。
■18年4月期2Q累計減益だが計画超
18年4月期第2四半期累計の非連結業績は、売上高が前年同期比11.2%増の27億87百万円、営業利益が11.2%減の2億77百万円、経常利益が9.5%減の2億84百万円、純利益が8.0%減の1億95百万円だった。
AI事業で広告宣伝費、研究開発費、特許関連費用が増加したため減益だったが、PPS事業のOEM供給が好調に推移して計画超だった。売上総利益率は51.0%で1.1ポイント上昇した。販管費比率は41.0%で3.6ポイント上昇した。
MDS事業は売上高が3.8%増の11億70百万円で、営業利益が4.6%減の3億24百万円だった。人件費や広告宣伝費などの増加で微減益だが、ハード機器や額の売上が好調だった。
PPS事業は売上高が15.2%増の15億59百万円で、営業利益が40.0%増の3億40百万円だった。NTTドコモ<9437>向けOEM供給が、サービスの浸透で好調に推移し、稼働率上昇効果で大幅増益だった。
AI事業は売上高が2.5倍の58百万円だが、営業利益が1億49百万円の赤字(前年同期は48百万円の赤字)だった。国内外の展示会出展のための広告宣伝費、研究開発費、特許申請費用などが増加した。
■18年4月期はAI事業の費用増加で微減益予想だが上振れ余地
18年4月期通期の非連結業績予想(6月9日公表)は、売上高が17年4月期比4.7%増の56億96百万円、営業利益が3.7%減の7億71百万円、経常利益が3.6%減の7億76百万円、純利益が5.5%減の5億41百万円としている。
セグメント別売上高の計画は、MDS事業が3.7%増の25億16百万円、PPS事業が2.3%増の30億20百万円、AI事業が2.6倍の1億60百万円としている。MDS事業は遺影写真加工収入の着実な積み上げや葬儀演出ツールの伸長、PPS事業はOEMの伸長を見込んでいる。AI事業は中ロット案件の積み重ねに注力する。
通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48.9%、営業利益が35.9%、経常利益が36.6%、純利益が36.0%である。低水準の形だが、下期の構成比が高い季節特性を考慮すればネガティブ要因とはならない。AI事業で広告宣伝費、研究開発費、特許関連費用が増加するため減益予想だが、PPS事業のOEM供給が好調に推移して上振れ余地がありそうだ。
■株主優待制度は毎年4月末に実施
株主優待制度は毎年4月30日現在の株主に対して、所有株式数に応じて自社サービス(マイブック)割引利用券を贈呈している。100株以上400株未満所有株主に対して1000円割引利用券1枚、400株以上2000株未満所有株主に対して1000円割引利用券2枚、2000株以上所有株主に対して1000円割引利用券3枚を贈呈する。
■株価は調整一巡期待
株価は戻り高値圏2000円台から反落し、12月26日には1450円まで水準を切り下げた。調整局面だ。
12月26日の終値1452円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想EPS32円31銭で算出)は45倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は0.7%近辺、前期実績PBR(前期実績BPS274円56銭で算出)は5.3倍近辺である。時価総額は約254億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを抑える形だが、8~9月安値圏の1400円近辺が下値支持線となりそうだ。調整一巡が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)